14 / 40
13.
しおりを挟む
(ふぅ……、二人殺ったのに数が増えてるってどういうことだ……。殺れば殺るだけ標的が増える特別仕様か?)
思わず心の中で悪態をつくしかできなかった。
しかし、そうもいっていられない。
国王が現れるまでになるべく数を減らしておくしかない。
どこまで数が増えるのかわからない暗殺者に対してカイはため息を吐きながら更に次の相手を探しに行く。
ただ、わざわざ探す必要すらないレベルでそこら中に暗殺者がいた。
よほどこの国の国王は恨みを買っているようだ。
「まぁ、それは俺には関係ないことだな」
依頼を受けた以上、それを果たす。
カイがすることはそれだけだった。
(ナイフ……、足りるかな?)
一応カイの……正体不明の暗殺だとわかるようにいつも胸に挿したナイフは残すようにしていた。
でも、これだけ数が多いとナイフが足りなさそうだ。
(そうだな……。今回は国王の護衛……ということだもんな。それ用の名前があるか。あの名前を使うなら後から広める必要があるが、まぁプラークに頼めば良いか)
まぁ嫌がるだろうけどな……と、カイは苦笑を浮かべていた。
とりあえず、あの名前……、暗殺者ランク八、騎士の名前を使うには装備を調える必要があるな。
ナイフじゃなくて剣を……。まぁ準備はしてあるから……。
腰に改めて剣を携えるとカイは暗殺者を狙っていく。
◇
(暗殺者)
「おい、本当にこんな依頼を受けて良かったのか?」
「仕方ないだろう。破格の報酬だったんだから……」
「それでも、国王暗殺なんて……」
「バカ! 声がでかすぎるぞ!」
暗殺者の一人が声を大にして答える。
すると周りの人たちが一瞬騒ぎ出す。
ただ、騒動は直ぐに収まっていた。
「ふぅ……、今日がいつもの暗殺じゃなくてよかったな……」
「それよりも本当に良かったのか? 相手が国王ともなると向こうも護衛の他に暗殺者とかも雇ってるだろう?」
「噂ではランク一位を雇ったとか聞いたな。あとは他にも高ランクを何人か……」
「姿がわからないランク一位は警戒のしようがないからな。それよりも俺はランク八位が出てくるんじゃないかと思って怖いんだが?」
「騎士か……。たしか国の代表からの依頼ばかり受けるやつだったな。依頼数は少ないもののその実力は折り紙つきで急所を的確に突く剣さばき、確実な仕事、常に相手の正面から向き合って殺すスタイルからついた名前だな」
「あ、あぁ……、今回もそのクラスが出てくるんだろう……。ナンバーズクラスが……」
「そこは考えても仕方ないな。とっとと標的を殺ってしまって、逃げるに限る。――だろう?」
「それもそうだな……ぐふっ。だ、だれだ、てめぇ……」
男の胸には鋭い銀の剣が突き刺さっていた。
そのまま意識がもうろうとなる男。
「……やはり使い慣れてない武器だと微妙に位置がずれてしまうな」
カイが剣を抜くと男はそのまま血を吐いてその場に倒れる。
すると周りで悲鳴が聞こえ、周囲の人が慌てふためいていた。
「お、お前は……騎士か?」
生き残ったもう一人の男が尋ねる。
しかし、カイは何も答えることなくその場を去って行った。
◇
「うーん、やっぱりこれは目立ってしまうな……」
剣を拭い終えた後、先ほど仕留め損ねたもう一人を探ってみる。
ただ、仲間を殺されたことでおそれをなしたのか逃げていったようだ。
時間もないことだし、全員を殺さずに適度に脅しつつ行く方がよさそうだな。
「全く、面倒な仕事だ……」
カイがため息を吐いているとちょうど王城の方から高らかに笛を鳴らす音が聞こえる。
「ちっ、狙われていることを知っててなんでわざと目立つようなことをするんだ!」
悪態をつきながらも急いで王城へと駆けていく。
◇
王城付近ではすでに国王に対して魔法の攻撃が行われていた。
町中でここまで派手な攻撃をしてどうするんだ!
もし殺すことができたとしてもあとは騎士達に殺されて終わりだ。
自分が死んでもいい……なんて言うのは暗殺者じゃなくて、ただの自殺志願者だ。
生き残ってなんぼの仕事だろう……。
それもわからないやつか……。と思わずため息も吐きたくなる。
最近はランキングなんてできたせいで暗殺者の数が増えすぎてダメだ。どうせ直ぐに死んでいくのに……。
「とりあえずアルマの結界がある以上、国王は大丈夫だ。あとは、攻撃を防がれても逃げていかないやつだけを狙えば――」
思わず心の中で悪態をつくしかできなかった。
しかし、そうもいっていられない。
国王が現れるまでになるべく数を減らしておくしかない。
どこまで数が増えるのかわからない暗殺者に対してカイはため息を吐きながら更に次の相手を探しに行く。
ただ、わざわざ探す必要すらないレベルでそこら中に暗殺者がいた。
よほどこの国の国王は恨みを買っているようだ。
「まぁ、それは俺には関係ないことだな」
依頼を受けた以上、それを果たす。
カイがすることはそれだけだった。
(ナイフ……、足りるかな?)
一応カイの……正体不明の暗殺だとわかるようにいつも胸に挿したナイフは残すようにしていた。
でも、これだけ数が多いとナイフが足りなさそうだ。
(そうだな……。今回は国王の護衛……ということだもんな。それ用の名前があるか。あの名前を使うなら後から広める必要があるが、まぁプラークに頼めば良いか)
まぁ嫌がるだろうけどな……と、カイは苦笑を浮かべていた。
とりあえず、あの名前……、暗殺者ランク八、騎士の名前を使うには装備を調える必要があるな。
ナイフじゃなくて剣を……。まぁ準備はしてあるから……。
腰に改めて剣を携えるとカイは暗殺者を狙っていく。
◇
(暗殺者)
「おい、本当にこんな依頼を受けて良かったのか?」
「仕方ないだろう。破格の報酬だったんだから……」
「それでも、国王暗殺なんて……」
「バカ! 声がでかすぎるぞ!」
暗殺者の一人が声を大にして答える。
すると周りの人たちが一瞬騒ぎ出す。
ただ、騒動は直ぐに収まっていた。
「ふぅ……、今日がいつもの暗殺じゃなくてよかったな……」
「それよりも本当に良かったのか? 相手が国王ともなると向こうも護衛の他に暗殺者とかも雇ってるだろう?」
「噂ではランク一位を雇ったとか聞いたな。あとは他にも高ランクを何人か……」
「姿がわからないランク一位は警戒のしようがないからな。それよりも俺はランク八位が出てくるんじゃないかと思って怖いんだが?」
「騎士か……。たしか国の代表からの依頼ばかり受けるやつだったな。依頼数は少ないもののその実力は折り紙つきで急所を的確に突く剣さばき、確実な仕事、常に相手の正面から向き合って殺すスタイルからついた名前だな」
「あ、あぁ……、今回もそのクラスが出てくるんだろう……。ナンバーズクラスが……」
「そこは考えても仕方ないな。とっとと標的を殺ってしまって、逃げるに限る。――だろう?」
「それもそうだな……ぐふっ。だ、だれだ、てめぇ……」
男の胸には鋭い銀の剣が突き刺さっていた。
そのまま意識がもうろうとなる男。
「……やはり使い慣れてない武器だと微妙に位置がずれてしまうな」
カイが剣を抜くと男はそのまま血を吐いてその場に倒れる。
すると周りで悲鳴が聞こえ、周囲の人が慌てふためいていた。
「お、お前は……騎士か?」
生き残ったもう一人の男が尋ねる。
しかし、カイは何も答えることなくその場を去って行った。
◇
「うーん、やっぱりこれは目立ってしまうな……」
剣を拭い終えた後、先ほど仕留め損ねたもう一人を探ってみる。
ただ、仲間を殺されたことでおそれをなしたのか逃げていったようだ。
時間もないことだし、全員を殺さずに適度に脅しつつ行く方がよさそうだな。
「全く、面倒な仕事だ……」
カイがため息を吐いているとちょうど王城の方から高らかに笛を鳴らす音が聞こえる。
「ちっ、狙われていることを知っててなんでわざと目立つようなことをするんだ!」
悪態をつきながらも急いで王城へと駆けていく。
◇
王城付近ではすでに国王に対して魔法の攻撃が行われていた。
町中でここまで派手な攻撃をしてどうするんだ!
もし殺すことができたとしてもあとは騎士達に殺されて終わりだ。
自分が死んでもいい……なんて言うのは暗殺者じゃなくて、ただの自殺志願者だ。
生き残ってなんぼの仕事だろう……。
それもわからないやつか……。と思わずため息も吐きたくなる。
最近はランキングなんてできたせいで暗殺者の数が増えすぎてダメだ。どうせ直ぐに死んでいくのに……。
「とりあえずアルマの結界がある以上、国王は大丈夫だ。あとは、攻撃を防がれても逃げていかないやつだけを狙えば――」
1
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる