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国王の部屋へとやってくる。
当然のことながら昼間、この部屋はもぬけの殻だった。
ただ、夕方頃には戻ってくるはずだ。
そう思い、カイは部屋に身を潜めることにした。
◇
(国王)
ふぅ……、ようやく休めるな。それよりもまだ強欲のやつから連絡が来ないのか? いい加減あやつの暗殺を頼みたいのだが……。仲介の通りに前金は支払ったが、やはり暗殺者とかいう連中は信用ができんな。国王を殺し終えたら今度は強欲本人も殺ってしまうか……。
部屋に戻ると深々と椅子に腰掛ける。
当然のことながら自分の部屋にいるということから国王はすっかり油断しきっていた。
だからこそもう一人部屋にいるということに国王は気づいていなかった。
深々と腰掛けていると突然後ろから首元に冷たいものを突きつけられる。
「ジッとしていろ」
「えっ?」
思わず困惑した声を漏らしてしまう。
一体誰が? そもそも以前兵士が殺されて以来、警備は強化してある。
その警備を突破できるような人間がいるのか?
ただ、今の状況を考えるとそういう人物がいるからこそ今の状況なんだろう。
「お、お前は一体……」
「……お前が俺に依頼したんだろう?」
依頼した……?
……もしかして。
「お、お前は強欲か?」
「……俺自身はそう名乗ったことはないんだけどな。それよりも依頼内容について詳しく聞きに来た。後ろを振り向かずにこのまま依頼について教えろ」
「教えろも何もこの間、隣の国王を暗殺しようとして失敗した情報は仕入れているんだろう? その依頼をお前に頼んだだけだ」
「……あぁ。ただ、どういう理由で暗殺しようとしているのか……。それを聞かせろ」
「隣の国を攻め入るのに邪魔だからだ。裕福な隣の国に比べて我が国は貧しいからな」
「そうか……。それなら特に問題ないな」
「えっ……?」
何を言っているのかわからずにそのまま呆けてしまう。
するとその瞬間に首に何か刺さる感触を受ける。
「がっ……、な、何を……」
「何をってお前と同様に暗殺の依頼を受けただけだが? だからどちらの依頼を受けるか詳しい話を聞いたんだが」」
「ぐっ……」
だんだん重くなっていく体。
ただ、その前にこの城にいる兵士達に知らせないと……。
しかし、それを許してくれる相手ではなく、そのまま意識を失っていった――。
◇
「全く……、攻めてもう少し暗殺する理由があれば依頼を考慮していたのだが……」
まぁあれだけ問答無用に暗殺者を使い捨てにしていたやつだからそんなことないとは思っていたが……。
「さて、あとはこの城から出て行くことだな」
国王が死んでいることに気づかれたらすぐに騒ぎになるだろう。
そうなると身元のわからない兵士なんて、すぐに疑われてもおかしくない。
国王が死んでいることを気づかれる前に抜け出さないといけない。
急いで部屋を出るとすぐに出口へ向かっていく。
ただその途中、ブラッシュに声をかけられる。
「おっ、ようやく見つけた。部屋の皿を片付けておいてくれ」
「えっと、その……」
そんなことをしている暇はないのだが、下手に断っても疑われそうだ。
「わかりました。すぐに片付けさせていただきます」
「なかなか返事がいいな。感心だ。俺が国王になった暁には昇給させてやるからな……」
がははっと高笑いしながらブラッシュは去っていった。
それと同時に上の部屋で騒ぎになっていることに気がつく。
「もう逃げ道はないか……。それなら――」
カイはブラッシュの部屋に入り、言われた通りに皿の片付けを始める。
ただ、部屋の中にはいつの間にかかなりの量の皿が置かれ、また、部屋も乱雑に散らかっていた。
本当ならこんなところにいたくはないのだが、今は逆に助かる。
どう考えてもすぐに片付けが終わるような部屋ではない。
ただ、表面上片付けてさえ、しまえば……ずっとこの部屋を片付けていたように見えるからな。
特にブラッシュは料理人にすら嫌われる人物。
その悪評は広まっているだろう。
当然のことながら昼間、この部屋はもぬけの殻だった。
ただ、夕方頃には戻ってくるはずだ。
そう思い、カイは部屋に身を潜めることにした。
◇
(国王)
ふぅ……、ようやく休めるな。それよりもまだ強欲のやつから連絡が来ないのか? いい加減あやつの暗殺を頼みたいのだが……。仲介の通りに前金は支払ったが、やはり暗殺者とかいう連中は信用ができんな。国王を殺し終えたら今度は強欲本人も殺ってしまうか……。
部屋に戻ると深々と椅子に腰掛ける。
当然のことながら自分の部屋にいるということから国王はすっかり油断しきっていた。
だからこそもう一人部屋にいるということに国王は気づいていなかった。
深々と腰掛けていると突然後ろから首元に冷たいものを突きつけられる。
「ジッとしていろ」
「えっ?」
思わず困惑した声を漏らしてしまう。
一体誰が? そもそも以前兵士が殺されて以来、警備は強化してある。
その警備を突破できるような人間がいるのか?
ただ、今の状況を考えるとそういう人物がいるからこそ今の状況なんだろう。
「お、お前は一体……」
「……お前が俺に依頼したんだろう?」
依頼した……?
……もしかして。
「お、お前は強欲か?」
「……俺自身はそう名乗ったことはないんだけどな。それよりも依頼内容について詳しく聞きに来た。後ろを振り向かずにこのまま依頼について教えろ」
「教えろも何もこの間、隣の国王を暗殺しようとして失敗した情報は仕入れているんだろう? その依頼をお前に頼んだだけだ」
「……あぁ。ただ、どういう理由で暗殺しようとしているのか……。それを聞かせろ」
「隣の国を攻め入るのに邪魔だからだ。裕福な隣の国に比べて我が国は貧しいからな」
「そうか……。それなら特に問題ないな」
「えっ……?」
何を言っているのかわからずにそのまま呆けてしまう。
するとその瞬間に首に何か刺さる感触を受ける。
「がっ……、な、何を……」
「何をってお前と同様に暗殺の依頼を受けただけだが? だからどちらの依頼を受けるか詳しい話を聞いたんだが」」
「ぐっ……」
だんだん重くなっていく体。
ただ、その前にこの城にいる兵士達に知らせないと……。
しかし、それを許してくれる相手ではなく、そのまま意識を失っていった――。
◇
「全く……、攻めてもう少し暗殺する理由があれば依頼を考慮していたのだが……」
まぁあれだけ問答無用に暗殺者を使い捨てにしていたやつだからそんなことないとは思っていたが……。
「さて、あとはこの城から出て行くことだな」
国王が死んでいることに気づかれたらすぐに騒ぎになるだろう。
そうなると身元のわからない兵士なんて、すぐに疑われてもおかしくない。
国王が死んでいることを気づかれる前に抜け出さないといけない。
急いで部屋を出るとすぐに出口へ向かっていく。
ただその途中、ブラッシュに声をかけられる。
「おっ、ようやく見つけた。部屋の皿を片付けておいてくれ」
「えっと、その……」
そんなことをしている暇はないのだが、下手に断っても疑われそうだ。
「わかりました。すぐに片付けさせていただきます」
「なかなか返事がいいな。感心だ。俺が国王になった暁には昇給させてやるからな……」
がははっと高笑いしながらブラッシュは去っていった。
それと同時に上の部屋で騒ぎになっていることに気がつく。
「もう逃げ道はないか……。それなら――」
カイはブラッシュの部屋に入り、言われた通りに皿の片付けを始める。
ただ、部屋の中にはいつの間にかかなりの量の皿が置かれ、また、部屋も乱雑に散らかっていた。
本当ならこんなところにいたくはないのだが、今は逆に助かる。
どう考えてもすぐに片付けが終わるような部屋ではない。
ただ、表面上片付けてさえ、しまえば……ずっとこの部屋を片付けていたように見えるからな。
特にブラッシュは料理人にすら嫌われる人物。
その悪評は広まっているだろう。
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