駅前のカフェの端で

解説

この物語は、ホラーのような冷たさをもちながら、ホラーでもなんでもない、ひっそりとした静寂な世界を書きました。

主人公の私が入ったカフェで、年配の男に会うところからこの話は始まります。
“私”にはあえて服装などの描写は避けました。なぜなら、主人公は現代で生きているからです。
反対に、年配の男の服装は、明治時代あたりをイメージしました。
今までの日本文化に外国文化が混ざり合い、時代が大きく変化をするときです。
だから、年配の男が語る物語も、舞台は明治となります。
その時代、地下鉄があったのか。電車がいくつもの車両に分かれていたのか。そこはわかりません。わかりませんが、この物語には、地下鉄も車両が分かれた電車も必要でした。
地下鉄は社会を意味します。いつの時代だって社会は、不透明なもので、暗く窮屈な場所であるような気がします。
そして、電車は明治時代にとって、文明の乗り物だったと思います。

電車の中について。
『揺られる人々は、皆、虚ろな表情をしている。』
これは、社会に無関心で、ただ時代に流される人たちを指します。
前の車両へ移ると、歌う人たちが出てきます。その歌は、この電車が、最後にはどうなるかを歌っています。青い光が何かは、このあと解説させていただきます。
さらに車両を前にして、場面は進みます。
ここではアナウンスが鳴ります。アナウンスから聞こえたもの、大きな獣の唸り声。これは、警告です。
動物には、危機察知能力があると聞いたことがあります。
その機器察知は、野生の生き物であるほど強いと思い、大きなとしました。
アナウンスが止まった直後、一人の若者が登場します。
ここで唯一のセリフが『これを爆破させる！』
“これ”は電車のことで、前の解説どおり電車は文明の乗り物です。
つまり、この若者には社会に不満を持ち、社会の変化に馴染めない者。若者の服装の描写も、それを意味するように書きました。
ここで青い光についてですが、それは若者が握っていた爆発物のことであり、薬品の色のことでした。今の現代のようになんでも材料が簡単に手に入る、といったことはないと思い、簡易で粗悪な作りをしたものをイメージして欲しくて、ここは爆弾とは書かず、ふわっと黒い塊といった表現にしました。
青い光は若者の社会に対する怒りであり、反発であり。テロです。
最後、この電車は黒い壁に突っ込み、バラバラとなります。
この結末をどう捉えるかは、物語を読んだ方の自由として、解説はしません。

この物語を最後までお読みいただき、ありがとうございました。