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#6.物憂げ
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雫玖と出会って一日。空冥はひとり海の壁に座り、昨日のことを思い出していた。
朝に勝手に家を出たのは、決して帰ろうと思ったわけではない。むしろ、まだ帰りたくないという気持ちは増している。
雫玖のことはあまり知ることはできなかったが、人間界については多少の発見があった。
とはいえ、天界と人間界の暮らしが大きく異なるかと言われたらそうでもない。
空冥は人間界へ来る前から、天界と人間界の暮らしにはそう変わりないことを知っていた。
天界は言葉なども全て、人間界から持ち込んだものを元に作られているからである。
天界の歴史については全くと言っていいほど知らないが、空冥が生まれた時には既にそうだった。
人間界から持ち込むことに直接関わっているのは、空冥と同じくアークディアンに位置する、【エーテリアル】という族種の者たちだ。空冥は雲だが、彼らエーテリアルは霧との結びつきを持っている。
アークディアンである為、天界から出ることを許され、霧に変体することによって空間を自由に移動することができ、その能力で人間界まで降りては視察をしているのだ。
そして持ち込みたいものを見つければ特徴を記憶し天界へ戻り、【モルファー】という族種の者に生成させる。
モルファーは、物体を思い描いたものに変化させることができる。加えて人間界まで見える双眼鏡のように、人間界に存在する物に理想が足され、更に優れた物を生成できるという、極めて便利な能力を持つ族種だ。
しかしモルファー自体は珍しくなく、むしろ天界に住む一般的な人種がモルファーである。
モルファーの中でも食物、機械、建物など、更に細かく分類されるらしいが、各々得意分野がある。
その得意分野を一人一人が活かし、助け合うことで天界の生活は成り立っている。
比較的天界の方が優れた物を生み出せるが、そうではないものもあるらしい。
人間界にはテレビという、天界には言葉すら存在しない物が存在していた。
映像が流れるテレビ本体というより、物語が作り込まれ、画面の中で動く絵や、それに合わせて出る音が興味深かった。
これは空冥たちも持つスマートフォンでも見ることができるらしい。
天界にあるスマートフォンには、連絡を取る、カメラで撮影する機能しか備わっていない。
娯楽の部分で言うと、人間界の方が多いように感じる。
天界と人間界、異なる箇所はもちろん他にもある。
例えば天界の地面の基盤は雲で、やや柔らかく、太陽の熱が籠ることはない。しかし人間界の地面は固く、地面から熱が放たれているかのような熱さがあって驚いた。
建物の造りも違うが、風呂や便所など、生活に必要とされるものは変わらなかった。
あとは食べ物に大きな違いがあった。
それはエーテリアルが人間界で美味しそうな食べ物を発見しても、調理されているものは再現することができないからだ。
見た目だけでは味の特徴を掴めない為、モルファーに伝えたところで意味を成さない。
天界の飯も素材が活かされていて美味しいが、雫玖の母親が作ってくれたカレーライスという食べ物は格段に美味しく感動した。
美味しく感じたのは、おそらく味だけが理由ではないのだろう。
空冥は天界で食事をする時、一人が当たり前だった。アークディアンという地位は産まれた時には確定しており、十五にもなれば自立を強いられた。その頃から誰かと食事をした記憶はない。
食べ物の美味しさを誰かと共有できることは、幸福感を得られるのだと初めて知った。
人間界に降り立ってたった一日。
人間界の発見というより、感情の発見の方が多かったように思う。
自分の中にある知らなかった感情は、空冥にとっては知らない方が良いものだったのかもしれない。
知らなければ与えられた任務を直ちに終わらせ、何の情もなく人間界を去ることができたのだろう。
しかし既にそれは不可能で、その任務を実行したくないと思ってしまう。
雫玖に話した通り、空冥は天界の住民であり、人間界の住民とは触れ合うことのない存在である。
そして、雫玖が空冥を見つけたからここへ来たこと、雫玖の家族が雫玖の友達についての記憶が無くなっているということ、両者に嘘はないが、若干濁して話したことも事実である。
雫玖に見られてしまった翌日、空冥は天界付近を監視していると、天界ともまた違う、白色だけに包まれた空間へと瞬間的に移動させられた。
そこには誰の姿もなかったが、昔よく耳にしていた、低くやや高圧的な喋り方をする声が聞こえてきた。
その声の主が自分の父親だということを、尋ねずとも理解することができた。
「失態を犯したようだな。神からの伝達だ」
数年ぶりにする息子との会話だというのに、開口一番がこの言葉なのは相変わらずで、感動など微塵もない。
父はアークディアンの中でもトップに君臨し、現在は神の側近のようなものだという。
神に危険が及びそうな場合に神を守るため戦うらしいが、今の状況のように伝達などの仕事も担っていることは初めて知る。
「人間に姿を見られてはいけないという事は理解しているな」
「はい」
久しく耳にする父の声に若干萎縮する。
「おまえがこれからする事は、見られた人間から記憶を消すということだ。頭に触れて念じれば消す事ができる」
「それは…」
「問題ない。ごく一部の記憶が消えるだけだ。人間に支障はない」
父は空冥の言葉の先を読めるかのように、問いたかった答えを言ってのけた。
自分が犯した失態故、断る選択肢など元々与えられないだろうが、人間の身体に影響がないのならと了承した。
父が言うに、神以外だと見られた本人にしか記憶を消す事は不可能であり、神の手を煩わせない為、本人に人間界へ行かせ記憶を消させる事が基本なのだという。
要するに、空冥は雫玖に姿を見られてしまった故、雫玖から空冥の記憶を消す為に人間界へ来たというわけだ。
「また対象以外の人間の記憶を消すことも可能だ。だがこれは必要に応じて、最低限で行うように」
空冥はこの措置を雫玖の家族に施していた。
眠ることで勝手に記憶が消えるなど真っ赤な嘘であり、皆が目を覚ます前、寝ている間に空冥自身が記憶を消して家を出たのだった。
この時、雫玖の記憶も消してそのまま帰ろうかとも頭を過ったが、頭に手を触れることすらできなかった。
目を閉じる雫玖を見て、空冥のことを瞳を輝かせながら見ていた姿を思い出した。またその瞳で見てほしいなどという、自分でも理解し難い欲が出てしまった。
『他に記憶されることは許されない』
その"他"に雫玖も含まれるにも関わらず、雫玖には最後は記憶を消すということを言えなかった。
おそらく今を逃してしまえば、どこで伝えたとしても酷なのを分かっていながら、隠す選択をしてしまったのだ。
雫玖が悲しい顔をすることが想像できてしまい、それを見るのが嫌だったのもあるが、雫玖が知った後同じように過ごしてくれるのか不安もあった。
空冥と過ごした日を、空冥の存在も全て記憶に残らないと知った時、それなら一緒にいたくないと言われるのではないかと恐れた。
雫玖の良心に漬け込み騙してまで、空冥は雫玖と少しでも長く同じ時を過ごしたいと思ってしまった。
「一緒にいたいな」
そう言うと、雫玖はほっとしたような顔をし、口元が緩んだように見えた。
嬉しいという感情があるのだと思うと、喜びと罪悪感で感情が絡まる。
感情の整理をしたかったが、体が熱を帯びそれどころでもなかった。
天界にいる時や人間界上空にいる時も太陽の熱を浴びたところで、体が熱くなることはなかった。しかし人間の体だと熱が籠り上手く頭も働かないらしい。
ローブの帽子を被って陽を凌いでいたが、どうも意味は成されなかった。
感情の整理は一旦諦め、雫玖の家へ今日も一緒に帰ることにする。
雫玖は心配性で過保護である。家にいてくれと言うし、また靴を空冥に譲る。
そして雫玖の家まで昨日と同じように一緒に歩くが、空冥より背が高い雫玖は、空冥に歩幅を合わせて歩いていることに気づいている。
その優しさに触れると更に体温が上昇していく感覚がした。それが外気のせいなのか、それとも違うものなのか、今の空冥に答えは分からなかった。
雫玖も自分と同じように体に熱を帯びていたりするのだろうか。
そんな疑問を抱くと空冥の歩幅が狭くなり、若干雫玖が前へと出る。視界に入る空冥より大きな手を少し見つめた後、触れてみようと手を伸ばしかけてはやめた。
雫玖と一緒にいられる時間は、決して長くはないものなのだろう。
いつかは雫玖の頭に触れ、自分自身で記憶を消さなければいけない。
そのいつかを思い浮かべ、唇を噛み締めながら、引っ込めた手を静かに握り力を込めた。
朝に勝手に家を出たのは、決して帰ろうと思ったわけではない。むしろ、まだ帰りたくないという気持ちは増している。
雫玖のことはあまり知ることはできなかったが、人間界については多少の発見があった。
とはいえ、天界と人間界の暮らしが大きく異なるかと言われたらそうでもない。
空冥は人間界へ来る前から、天界と人間界の暮らしにはそう変わりないことを知っていた。
天界は言葉なども全て、人間界から持ち込んだものを元に作られているからである。
天界の歴史については全くと言っていいほど知らないが、空冥が生まれた時には既にそうだった。
人間界から持ち込むことに直接関わっているのは、空冥と同じくアークディアンに位置する、【エーテリアル】という族種の者たちだ。空冥は雲だが、彼らエーテリアルは霧との結びつきを持っている。
アークディアンである為、天界から出ることを許され、霧に変体することによって空間を自由に移動することができ、その能力で人間界まで降りては視察をしているのだ。
そして持ち込みたいものを見つければ特徴を記憶し天界へ戻り、【モルファー】という族種の者に生成させる。
モルファーは、物体を思い描いたものに変化させることができる。加えて人間界まで見える双眼鏡のように、人間界に存在する物に理想が足され、更に優れた物を生成できるという、極めて便利な能力を持つ族種だ。
しかしモルファー自体は珍しくなく、むしろ天界に住む一般的な人種がモルファーである。
モルファーの中でも食物、機械、建物など、更に細かく分類されるらしいが、各々得意分野がある。
その得意分野を一人一人が活かし、助け合うことで天界の生活は成り立っている。
比較的天界の方が優れた物を生み出せるが、そうではないものもあるらしい。
人間界にはテレビという、天界には言葉すら存在しない物が存在していた。
映像が流れるテレビ本体というより、物語が作り込まれ、画面の中で動く絵や、それに合わせて出る音が興味深かった。
これは空冥たちも持つスマートフォンでも見ることができるらしい。
天界にあるスマートフォンには、連絡を取る、カメラで撮影する機能しか備わっていない。
娯楽の部分で言うと、人間界の方が多いように感じる。
天界と人間界、異なる箇所はもちろん他にもある。
例えば天界の地面の基盤は雲で、やや柔らかく、太陽の熱が籠ることはない。しかし人間界の地面は固く、地面から熱が放たれているかのような熱さがあって驚いた。
建物の造りも違うが、風呂や便所など、生活に必要とされるものは変わらなかった。
あとは食べ物に大きな違いがあった。
それはエーテリアルが人間界で美味しそうな食べ物を発見しても、調理されているものは再現することができないからだ。
見た目だけでは味の特徴を掴めない為、モルファーに伝えたところで意味を成さない。
天界の飯も素材が活かされていて美味しいが、雫玖の母親が作ってくれたカレーライスという食べ物は格段に美味しく感動した。
美味しく感じたのは、おそらく味だけが理由ではないのだろう。
空冥は天界で食事をする時、一人が当たり前だった。アークディアンという地位は産まれた時には確定しており、十五にもなれば自立を強いられた。その頃から誰かと食事をした記憶はない。
食べ物の美味しさを誰かと共有できることは、幸福感を得られるのだと初めて知った。
人間界に降り立ってたった一日。
人間界の発見というより、感情の発見の方が多かったように思う。
自分の中にある知らなかった感情は、空冥にとっては知らない方が良いものだったのかもしれない。
知らなければ与えられた任務を直ちに終わらせ、何の情もなく人間界を去ることができたのだろう。
しかし既にそれは不可能で、その任務を実行したくないと思ってしまう。
雫玖に話した通り、空冥は天界の住民であり、人間界の住民とは触れ合うことのない存在である。
そして、雫玖が空冥を見つけたからここへ来たこと、雫玖の家族が雫玖の友達についての記憶が無くなっているということ、両者に嘘はないが、若干濁して話したことも事実である。
雫玖に見られてしまった翌日、空冥は天界付近を監視していると、天界ともまた違う、白色だけに包まれた空間へと瞬間的に移動させられた。
そこには誰の姿もなかったが、昔よく耳にしていた、低くやや高圧的な喋り方をする声が聞こえてきた。
その声の主が自分の父親だということを、尋ねずとも理解することができた。
「失態を犯したようだな。神からの伝達だ」
数年ぶりにする息子との会話だというのに、開口一番がこの言葉なのは相変わらずで、感動など微塵もない。
父はアークディアンの中でもトップに君臨し、現在は神の側近のようなものだという。
神に危険が及びそうな場合に神を守るため戦うらしいが、今の状況のように伝達などの仕事も担っていることは初めて知る。
「人間に姿を見られてはいけないという事は理解しているな」
「はい」
久しく耳にする父の声に若干萎縮する。
「おまえがこれからする事は、見られた人間から記憶を消すということだ。頭に触れて念じれば消す事ができる」
「それは…」
「問題ない。ごく一部の記憶が消えるだけだ。人間に支障はない」
父は空冥の言葉の先を読めるかのように、問いたかった答えを言ってのけた。
自分が犯した失態故、断る選択肢など元々与えられないだろうが、人間の身体に影響がないのならと了承した。
父が言うに、神以外だと見られた本人にしか記憶を消す事は不可能であり、神の手を煩わせない為、本人に人間界へ行かせ記憶を消させる事が基本なのだという。
要するに、空冥は雫玖に姿を見られてしまった故、雫玖から空冥の記憶を消す為に人間界へ来たというわけだ。
「また対象以外の人間の記憶を消すことも可能だ。だがこれは必要に応じて、最低限で行うように」
空冥はこの措置を雫玖の家族に施していた。
眠ることで勝手に記憶が消えるなど真っ赤な嘘であり、皆が目を覚ます前、寝ている間に空冥自身が記憶を消して家を出たのだった。
この時、雫玖の記憶も消してそのまま帰ろうかとも頭を過ったが、頭に手を触れることすらできなかった。
目を閉じる雫玖を見て、空冥のことを瞳を輝かせながら見ていた姿を思い出した。またその瞳で見てほしいなどという、自分でも理解し難い欲が出てしまった。
『他に記憶されることは許されない』
その"他"に雫玖も含まれるにも関わらず、雫玖には最後は記憶を消すということを言えなかった。
おそらく今を逃してしまえば、どこで伝えたとしても酷なのを分かっていながら、隠す選択をしてしまったのだ。
雫玖が悲しい顔をすることが想像できてしまい、それを見るのが嫌だったのもあるが、雫玖が知った後同じように過ごしてくれるのか不安もあった。
空冥と過ごした日を、空冥の存在も全て記憶に残らないと知った時、それなら一緒にいたくないと言われるのではないかと恐れた。
雫玖の良心に漬け込み騙してまで、空冥は雫玖と少しでも長く同じ時を過ごしたいと思ってしまった。
「一緒にいたいな」
そう言うと、雫玖はほっとしたような顔をし、口元が緩んだように見えた。
嬉しいという感情があるのだと思うと、喜びと罪悪感で感情が絡まる。
感情の整理をしたかったが、体が熱を帯びそれどころでもなかった。
天界にいる時や人間界上空にいる時も太陽の熱を浴びたところで、体が熱くなることはなかった。しかし人間の体だと熱が籠り上手く頭も働かないらしい。
ローブの帽子を被って陽を凌いでいたが、どうも意味は成されなかった。
感情の整理は一旦諦め、雫玖の家へ今日も一緒に帰ることにする。
雫玖は心配性で過保護である。家にいてくれと言うし、また靴を空冥に譲る。
そして雫玖の家まで昨日と同じように一緒に歩くが、空冥より背が高い雫玖は、空冥に歩幅を合わせて歩いていることに気づいている。
その優しさに触れると更に体温が上昇していく感覚がした。それが外気のせいなのか、それとも違うものなのか、今の空冥に答えは分からなかった。
雫玖も自分と同じように体に熱を帯びていたりするのだろうか。
そんな疑問を抱くと空冥の歩幅が狭くなり、若干雫玖が前へと出る。視界に入る空冥より大きな手を少し見つめた後、触れてみようと手を伸ばしかけてはやめた。
雫玖と一緒にいられる時間は、決して長くはないものなのだろう。
いつかは雫玖の頭に触れ、自分自身で記憶を消さなければいけない。
そのいつかを思い浮かべ、唇を噛み締めながら、引っ込めた手を静かに握り力を込めた。
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