18 / 57
2 幽霊少女は権限を求める
ダンジョンマネージャー
しおりを挟む
「このSTAって何? PAと何が違うの?」
『STAが耐久、PAが力みたいなものよ。って、やっぱりそっち側に目が行くのね……』
「うん、わかってる。意味ないよね」
そこに記された数字はもともと僕が持っている腕力や耐久力に対して倍率で強化されるものらしいが、そこには1.01より大きい数字は一つもない。つまり……僕の能力はダンジョンの中においては1%未満の上昇率でしかないということだ。
『1年とかまじめにダンジョン探索してれば、そのうち元の倍ぐらいの力は出るようになるから、まあ気長に鍛えればいいんじゃない?』
「そうなんだよねえ」
確かに地道に筋トレをするよりも効率はいいかもしれないがその程度だ。
お母さんが前に言っていたように、意味がないからステータス表示の研究は進んでいないというのは納得できる。
『それよりもスキルね。こっちはスキル名と倍率があるけど……電波は1.012、なかなか優秀じゃない』
「やっぱり接近戦するよりはこっちをメインにした方がよさそうかな?」
『そうね、カナメは体も大きくないし……』
「そうかなあ……」
お父さんが190cm、お母さんが150(疑惑)cmなので、身長が高くなるか低くなるかはどちらの可能性もあるけど、今のところ165cmあるから平均ぐらいのはずだ。
『身長だけじゃなくて体の分厚さとかね。やせすぎじゃない?』
「それはそうだね」
今朝の風呂でも思ったことだ。自分でも同意できる。
「やっぱりスキルかあ……」
『リソースがないからこのダンジョンではできないけど、チップが見つかったら積極的に手に入れたほうがいいわね。ゆっくりしか育っていかないから……』
1日とはいえ、あの濃い探索で、1.012つまり1.2%の成長だ。
仮に週1で探索しても1年では5割増しにもならないだろう。
エリスの言う通り早めにスキルを増やしていかないと25年後の世界衝突時点でも大した威力にはならないだろう。
チップ、というのはスキルチップと呼ばれる小さい金属片だ。
これを肌に押し付けるとスキルが身につき、チップは崩れてなくなる。
ダンジョンの宝物で一番価値があるといわれているもので、そのまま持ち帰って売買もされている。
高いものになると異次元収納や鑑定になるのだが、これらはタイミングによっては億を超えることもある。
比較的安いものは一時型水球などだが、これでも数十万円はする。
ただの水玉で攻撃力はほとんどないし、一時的ということで後に水が残るわけでもないから飲み水としても使えない。
それでもとっさにモンスターの動きを阻害することができるので全く無用というわけでもないのだ。
『それで、今後の話だけど……他の最下級ダンジョンを攻略していきましょう』
「でも、隠されてるんだよね?」
有用性が低いということで入口が隠され、普通には入ることができないということだったはずだ。
『そこは、ある程度は私が封印を担当したものがあるから覚えているし、ダンジョンマスターの隠し機能で近隣のダンジョンの場所については知ることができるの』
「そんな機能があるんだね……」
『もともと、私たちが直接ダンジョンを管理するつもりがなかったのよ。だから各ダンジョン内のことはダンジョンマスターに、そして地域のダンジョンをまとめて管理・調整するためにダンジョンマネージャーという存在を置くはずだったの』
「ダンジョンマネージャー? 聞いたことない」
ダンジョンマスターはまあわかる。
創作の中でも突然転生してダンジョンマスターになってダンジョンを運営、発展させていくタイプのものは多かったし、なんとなくわかる。
だけど、彼女が言うようにダンジョンを複数まとめて管理するという存在は想像の外にある。
だけど、現実に日本は女神がそのダンジョンマネージャーとなって、国内の重要、一般ダンジョンを管理している。
その意味では元女神のエリスが同じようにダンジョンを複数管理するというのはできそうな気もする。
『まあ、コンビニの店長がダンジョンマスターで、ダンジョンマネージャーが本社のエリアマネージャーみたいなものね』
「そのたとえは……わかりやすいのかそうでないのか不明だね」
意外と女神は日本の経済にも詳しいということだろうか?
電子レンジとかIHとかはいまいちピンと来ていなかった様子だけど……
『私もスケルトン以外のダンジョンマスターを支配したいし、そうなれば私の力も増すからカナメの助けも、もっとできるようになるわ。だから……』
二人の共闘関係は、まずエリスが一つ利益を得た形だ。
だけど、彼女もスケルトンの体では不便なこともあるだろうし、まだまだ満足しているようには見えない。
そして僕の方もまだ目的に達していない。
都会で再び住むためには、もっとスキルに習熟して電磁波の悪い影響を排除できるようになるか、別のスキルでそれを抑えるものを手に入れるしかないそうだ。
だから、彼女の目的はより多くのダンジョンの攻略。
僕の目的は成長またはスキルの取得。
「わかったよ。これからもよろしくね」
『ええ、こちらこそ』
骸骨じゃない彼女の笑顔は、控えめに言ってもとてもかわいいと思って、僕はちょっとドキッとした。
『STAが耐久、PAが力みたいなものよ。って、やっぱりそっち側に目が行くのね……』
「うん、わかってる。意味ないよね」
そこに記された数字はもともと僕が持っている腕力や耐久力に対して倍率で強化されるものらしいが、そこには1.01より大きい数字は一つもない。つまり……僕の能力はダンジョンの中においては1%未満の上昇率でしかないということだ。
『1年とかまじめにダンジョン探索してれば、そのうち元の倍ぐらいの力は出るようになるから、まあ気長に鍛えればいいんじゃない?』
「そうなんだよねえ」
確かに地道に筋トレをするよりも効率はいいかもしれないがその程度だ。
お母さんが前に言っていたように、意味がないからステータス表示の研究は進んでいないというのは納得できる。
『それよりもスキルね。こっちはスキル名と倍率があるけど……電波は1.012、なかなか優秀じゃない』
「やっぱり接近戦するよりはこっちをメインにした方がよさそうかな?」
『そうね、カナメは体も大きくないし……』
「そうかなあ……」
お父さんが190cm、お母さんが150(疑惑)cmなので、身長が高くなるか低くなるかはどちらの可能性もあるけど、今のところ165cmあるから平均ぐらいのはずだ。
『身長だけじゃなくて体の分厚さとかね。やせすぎじゃない?』
「それはそうだね」
今朝の風呂でも思ったことだ。自分でも同意できる。
「やっぱりスキルかあ……」
『リソースがないからこのダンジョンではできないけど、チップが見つかったら積極的に手に入れたほうがいいわね。ゆっくりしか育っていかないから……』
1日とはいえ、あの濃い探索で、1.012つまり1.2%の成長だ。
仮に週1で探索しても1年では5割増しにもならないだろう。
エリスの言う通り早めにスキルを増やしていかないと25年後の世界衝突時点でも大した威力にはならないだろう。
チップ、というのはスキルチップと呼ばれる小さい金属片だ。
これを肌に押し付けるとスキルが身につき、チップは崩れてなくなる。
ダンジョンの宝物で一番価値があるといわれているもので、そのまま持ち帰って売買もされている。
高いものになると異次元収納や鑑定になるのだが、これらはタイミングによっては億を超えることもある。
比較的安いものは一時型水球などだが、これでも数十万円はする。
ただの水玉で攻撃力はほとんどないし、一時的ということで後に水が残るわけでもないから飲み水としても使えない。
それでもとっさにモンスターの動きを阻害することができるので全く無用というわけでもないのだ。
『それで、今後の話だけど……他の最下級ダンジョンを攻略していきましょう』
「でも、隠されてるんだよね?」
有用性が低いということで入口が隠され、普通には入ることができないということだったはずだ。
『そこは、ある程度は私が封印を担当したものがあるから覚えているし、ダンジョンマスターの隠し機能で近隣のダンジョンの場所については知ることができるの』
「そんな機能があるんだね……」
『もともと、私たちが直接ダンジョンを管理するつもりがなかったのよ。だから各ダンジョン内のことはダンジョンマスターに、そして地域のダンジョンをまとめて管理・調整するためにダンジョンマネージャーという存在を置くはずだったの』
「ダンジョンマネージャー? 聞いたことない」
ダンジョンマスターはまあわかる。
創作の中でも突然転生してダンジョンマスターになってダンジョンを運営、発展させていくタイプのものは多かったし、なんとなくわかる。
だけど、彼女が言うようにダンジョンを複数まとめて管理するという存在は想像の外にある。
だけど、現実に日本は女神がそのダンジョンマネージャーとなって、国内の重要、一般ダンジョンを管理している。
その意味では元女神のエリスが同じようにダンジョンを複数管理するというのはできそうな気もする。
『まあ、コンビニの店長がダンジョンマスターで、ダンジョンマネージャーが本社のエリアマネージャーみたいなものね』
「そのたとえは……わかりやすいのかそうでないのか不明だね」
意外と女神は日本の経済にも詳しいということだろうか?
電子レンジとかIHとかはいまいちピンと来ていなかった様子だけど……
『私もスケルトン以外のダンジョンマスターを支配したいし、そうなれば私の力も増すからカナメの助けも、もっとできるようになるわ。だから……』
二人の共闘関係は、まずエリスが一つ利益を得た形だ。
だけど、彼女もスケルトンの体では不便なこともあるだろうし、まだまだ満足しているようには見えない。
そして僕の方もまだ目的に達していない。
都会で再び住むためには、もっとスキルに習熟して電磁波の悪い影響を排除できるようになるか、別のスキルでそれを抑えるものを手に入れるしかないそうだ。
だから、彼女の目的はより多くのダンジョンの攻略。
僕の目的は成長またはスキルの取得。
「わかったよ。これからもよろしくね」
『ええ、こちらこそ』
骸骨じゃない彼女の笑顔は、控えめに言ってもとてもかわいいと思って、僕はちょっとドキッとした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる