27 / 57
3 騒がしく始まり、静かに終わる
お盆休み(3)
しおりを挟む
次の日は、朝から家族で家の掃除を始めた。
母さんは使っていない部屋を含めて掃除機をかけて、拭き掃除をしている。
僕と父さんは、庭の草刈りと納屋の整理だ。
「あ、カナメはここも使ってるのか?」
「う、うん。一応気になるところの草を刈ったりしてるから……」
納屋の中に足を踏み入れた時に、父さんが気づいた。
つい最近のことだが、武器になるものを探して納屋を片付けたので、父さんが知る納屋の状態から変化があったのだ。
「そうか、それは感心だな」
父さんは鎌を手に取った。
敵を倒すには射程が足りないので僕は検討もしなかったが、本来の役目には役立つだろう。
「ちょっと研いでおくか」
さすがに油を塗ってあるとはいえ錆が出ているので、父さんは砥石を使って研ぐようだ。
僕は、最近(別の用途に)使っているナタを手に取って先に庭の草を刈り始める。
普段から草刈りをしているというのは嘘ではない。
直近はダンジョンで忙しいが、時間のあるそれまでは定期的に草刈りをしていた。
そうしないと庭に足を踏み入れることができないぐらい生えてくるし、虫も増えて不快だ。
今日は父さんが手伝ってくれるので、いつもよりしっかりと草刈りをしよう。
僕はナタを振って、庭の周辺を切り開いていく。
できれば木が生えてる際まで庭を広げておけば広く見えるし駐車スペースも増えるので、僕はひたすら密集した草を刈っていく。
「はあ、ちょっとは体力が付いたのかな……」
ダンジョンで成長した能力は、一部は外でも発揮されるとはいえ、現状せいぜい1.02倍の一部だから微々たるものだろう。
体力が付いたのは、動いていることによって素の体力が上がっていることの方が大きい。
「ちゃんと体を鍛えているようで感心だ」
「父さん」
父さんは体が大きい。
とはいえ、ボディービルダーのような太い筋肉ではなく、全体としては細身だ。
これは長距離を移動するポーターはマラソン選手みたいなものだから、あまり筋肉を太らせると持久力に難が出るということらしい。
もちろん、荷物を持つ筋肉はいるのでそこまでやせてはいないが、探索者の前衛よりは間違いなく細い。
「だけど注意しろよ、今の時期は成長期だから、ある程度の運動は必要だ」
「そうだね、高校で体育や部活をやっている程にはできないから……」
同年代は、週に決まった時間の体育の授業、そして運動部に入っていれば毎日放課後に何時間か運動している。
それに比べた僕の運動量はそれほどではない。
もっと走り込みとかサイクリングとかやる必要あるかなあ……
「そうだ、そういえばこの奥だったな」
「え?」
「カナメ、ついてこい」
そういって、父さんは草むらを進んでいく。
この先は……
そして森の中の、よく知っている開けた場所に着くと父さんは立ち止まる。
「ここにな……うちの墓があったんだ」
「こんなところに? あっちの墓地じゃ……」
「この辺りでは昔から自宅の裏に埋葬する習慣があって、ほとんどの家はそのあと共同墓地に移ったんだが、うちは近いしいつでも動かせるって後回しにしていたらそのままになっていたんだ」
「へえ……」
それでここにあんなダンジョンができたのか……
「もちろん、ここを移動するときに全部掘り返して町の方に移したんだが、もしかしたら幽霊でも出るかもしれんから知っておいてもいいかと思ってな」
出ました。全然ご先祖じゃなかったけど……
「今のところは、怖いことは起きてないよ。それより父さん、幽霊なんて信じてたんだ……」
「ああ、ダンジョンには似たようなのが出るし、意外と現実にもあるんじゃないかと思ってるぞ。まあ、見たことは無いが……」
「そうなんだ……ははは」
まあ、女神も人前に出る時代だしね。
「まあ、何もないならいいんだ。それじゃ庭の草刈りを続けよう」
「うん」
そして午前中を費やした結果として、庭はきれいになった。
まあ一か月もしないうちにまた草刈りが必要になるだろうけど……
手押しの草刈り機とか無いかな……中古で……
でもああいうのは背の高い草には意味がないしなあ……
*****
一通り家のことをやった後は、普通にゆっくりと家族で過ごした。
特筆すべきことは大阪の(母方の)おじいさんやおばあさん、そちらに集まっていた親戚とネット通話で話したことぐらいだろうか。
みんな元気そうでよかったし、僕のことを心配してくれていたが、僕が元気そうなので安心させられたと思う。
東京郊外にいる父方の親戚の方は、明日こちらに訪ねてくれることになっている。
いつもは向こうの家で集まるのだけど、今年は僕のことあるのでこちらになった。
その準備の意味もあって今日は大掃除だったわけだ。
明日は和室を隣の和室とつなげてみんなでご飯を食べる予定になっている。
ということで、いろいろ家具の配置を変えたのでいつもの和室が見慣れなくて落ち着かない。
「カナくん、なんだったら元に戻すところまで手伝おうか?」
「その辺は自分でゆっくりやるからいいよ」
実際に、時間はあるのだ。
「俺がやったらすぐだぞ?」
「大物はテレビの位置ぐらいでしょ? 僕がやってもすぐだよ」
「そうか?」
なお、この日の夕食はハンバーグだった。
連日ごちそうなので太りそうだなあ……
母さんは使っていない部屋を含めて掃除機をかけて、拭き掃除をしている。
僕と父さんは、庭の草刈りと納屋の整理だ。
「あ、カナメはここも使ってるのか?」
「う、うん。一応気になるところの草を刈ったりしてるから……」
納屋の中に足を踏み入れた時に、父さんが気づいた。
つい最近のことだが、武器になるものを探して納屋を片付けたので、父さんが知る納屋の状態から変化があったのだ。
「そうか、それは感心だな」
父さんは鎌を手に取った。
敵を倒すには射程が足りないので僕は検討もしなかったが、本来の役目には役立つだろう。
「ちょっと研いでおくか」
さすがに油を塗ってあるとはいえ錆が出ているので、父さんは砥石を使って研ぐようだ。
僕は、最近(別の用途に)使っているナタを手に取って先に庭の草を刈り始める。
普段から草刈りをしているというのは嘘ではない。
直近はダンジョンで忙しいが、時間のあるそれまでは定期的に草刈りをしていた。
そうしないと庭に足を踏み入れることができないぐらい生えてくるし、虫も増えて不快だ。
今日は父さんが手伝ってくれるので、いつもよりしっかりと草刈りをしよう。
僕はナタを振って、庭の周辺を切り開いていく。
できれば木が生えてる際まで庭を広げておけば広く見えるし駐車スペースも増えるので、僕はひたすら密集した草を刈っていく。
「はあ、ちょっとは体力が付いたのかな……」
ダンジョンで成長した能力は、一部は外でも発揮されるとはいえ、現状せいぜい1.02倍の一部だから微々たるものだろう。
体力が付いたのは、動いていることによって素の体力が上がっていることの方が大きい。
「ちゃんと体を鍛えているようで感心だ」
「父さん」
父さんは体が大きい。
とはいえ、ボディービルダーのような太い筋肉ではなく、全体としては細身だ。
これは長距離を移動するポーターはマラソン選手みたいなものだから、あまり筋肉を太らせると持久力に難が出るということらしい。
もちろん、荷物を持つ筋肉はいるのでそこまでやせてはいないが、探索者の前衛よりは間違いなく細い。
「だけど注意しろよ、今の時期は成長期だから、ある程度の運動は必要だ」
「そうだね、高校で体育や部活をやっている程にはできないから……」
同年代は、週に決まった時間の体育の授業、そして運動部に入っていれば毎日放課後に何時間か運動している。
それに比べた僕の運動量はそれほどではない。
もっと走り込みとかサイクリングとかやる必要あるかなあ……
「そうだ、そういえばこの奥だったな」
「え?」
「カナメ、ついてこい」
そういって、父さんは草むらを進んでいく。
この先は……
そして森の中の、よく知っている開けた場所に着くと父さんは立ち止まる。
「ここにな……うちの墓があったんだ」
「こんなところに? あっちの墓地じゃ……」
「この辺りでは昔から自宅の裏に埋葬する習慣があって、ほとんどの家はそのあと共同墓地に移ったんだが、うちは近いしいつでも動かせるって後回しにしていたらそのままになっていたんだ」
「へえ……」
それでここにあんなダンジョンができたのか……
「もちろん、ここを移動するときに全部掘り返して町の方に移したんだが、もしかしたら幽霊でも出るかもしれんから知っておいてもいいかと思ってな」
出ました。全然ご先祖じゃなかったけど……
「今のところは、怖いことは起きてないよ。それより父さん、幽霊なんて信じてたんだ……」
「ああ、ダンジョンには似たようなのが出るし、意外と現実にもあるんじゃないかと思ってるぞ。まあ、見たことは無いが……」
「そうなんだ……ははは」
まあ、女神も人前に出る時代だしね。
「まあ、何もないならいいんだ。それじゃ庭の草刈りを続けよう」
「うん」
そして午前中を費やした結果として、庭はきれいになった。
まあ一か月もしないうちにまた草刈りが必要になるだろうけど……
手押しの草刈り機とか無いかな……中古で……
でもああいうのは背の高い草には意味がないしなあ……
*****
一通り家のことをやった後は、普通にゆっくりと家族で過ごした。
特筆すべきことは大阪の(母方の)おじいさんやおばあさん、そちらに集まっていた親戚とネット通話で話したことぐらいだろうか。
みんな元気そうでよかったし、僕のことを心配してくれていたが、僕が元気そうなので安心させられたと思う。
東京郊外にいる父方の親戚の方は、明日こちらに訪ねてくれることになっている。
いつもは向こうの家で集まるのだけど、今年は僕のことあるのでこちらになった。
その準備の意味もあって今日は大掃除だったわけだ。
明日は和室を隣の和室とつなげてみんなでご飯を食べる予定になっている。
ということで、いろいろ家具の配置を変えたのでいつもの和室が見慣れなくて落ち着かない。
「カナくん、なんだったら元に戻すところまで手伝おうか?」
「その辺は自分でゆっくりやるからいいよ」
実際に、時間はあるのだ。
「俺がやったらすぐだぞ?」
「大物はテレビの位置ぐらいでしょ? 僕がやってもすぐだよ」
「そうか?」
なお、この日の夕食はハンバーグだった。
連日ごちそうなので太りそうだなあ……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる