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3 騒がしく始まり、静かに終わる
お盆休み(3)
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次の日は、朝から家族で家の掃除を始めた。
母さんは使っていない部屋を含めて掃除機をかけて、拭き掃除をしている。
僕と父さんは、庭の草刈りと納屋の整理だ。
「あ、カナメはここも使ってるのか?」
「う、うん。一応気になるところの草を刈ったりしてるから……」
納屋の中に足を踏み入れた時に、父さんが気づいた。
つい最近のことだが、武器になるものを探して納屋を片付けたので、父さんが知る納屋の状態から変化があったのだ。
「そうか、それは感心だな」
父さんは鎌を手に取った。
敵を倒すには射程が足りないので僕は検討もしなかったが、本来の役目には役立つだろう。
「ちょっと研いでおくか」
さすがに油を塗ってあるとはいえ錆が出ているので、父さんは砥石を使って研ぐようだ。
僕は、最近(別の用途に)使っているナタを手に取って先に庭の草を刈り始める。
普段から草刈りをしているというのは嘘ではない。
直近はダンジョンで忙しいが、時間のあるそれまでは定期的に草刈りをしていた。
そうしないと庭に足を踏み入れることができないぐらい生えてくるし、虫も増えて不快だ。
今日は父さんが手伝ってくれるので、いつもよりしっかりと草刈りをしよう。
僕はナタを振って、庭の周辺を切り開いていく。
できれば木が生えてる際まで庭を広げておけば広く見えるし駐車スペースも増えるので、僕はひたすら密集した草を刈っていく。
「はあ、ちょっとは体力が付いたのかな……」
ダンジョンで成長した能力は、一部は外でも発揮されるとはいえ、現状せいぜい1.02倍の一部だから微々たるものだろう。
体力が付いたのは、動いていることによって素の体力が上がっていることの方が大きい。
「ちゃんと体を鍛えているようで感心だ」
「父さん」
父さんは体が大きい。
とはいえ、ボディービルダーのような太い筋肉ではなく、全体としては細身だ。
これは長距離を移動するポーターはマラソン選手みたいなものだから、あまり筋肉を太らせると持久力に難が出るということらしい。
もちろん、荷物を持つ筋肉はいるのでそこまでやせてはいないが、探索者の前衛よりは間違いなく細い。
「だけど注意しろよ、今の時期は成長期だから、ある程度の運動は必要だ」
「そうだね、高校で体育や部活をやっている程にはできないから……」
同年代は、週に決まった時間の体育の授業、そして運動部に入っていれば毎日放課後に何時間か運動している。
それに比べた僕の運動量はそれほどではない。
もっと走り込みとかサイクリングとかやる必要あるかなあ……
「そうだ、そういえばこの奥だったな」
「え?」
「カナメ、ついてこい」
そういって、父さんは草むらを進んでいく。
この先は……
そして森の中の、よく知っている開けた場所に着くと父さんは立ち止まる。
「ここにな……うちの墓があったんだ」
「こんなところに? あっちの墓地じゃ……」
「この辺りでは昔から自宅の裏に埋葬する習慣があって、ほとんどの家はそのあと共同墓地に移ったんだが、うちは近いしいつでも動かせるって後回しにしていたらそのままになっていたんだ」
「へえ……」
それでここにあんなダンジョンができたのか……
「もちろん、ここを移動するときに全部掘り返して町の方に移したんだが、もしかしたら幽霊でも出るかもしれんから知っておいてもいいかと思ってな」
出ました。全然ご先祖じゃなかったけど……
「今のところは、怖いことは起きてないよ。それより父さん、幽霊なんて信じてたんだ……」
「ああ、ダンジョンには似たようなのが出るし、意外と現実にもあるんじゃないかと思ってるぞ。まあ、見たことは無いが……」
「そうなんだ……ははは」
まあ、女神も人前に出る時代だしね。
「まあ、何もないならいいんだ。それじゃ庭の草刈りを続けよう」
「うん」
そして午前中を費やした結果として、庭はきれいになった。
まあ一か月もしないうちにまた草刈りが必要になるだろうけど……
手押しの草刈り機とか無いかな……中古で……
でもああいうのは背の高い草には意味がないしなあ……
*****
一通り家のことをやった後は、普通にゆっくりと家族で過ごした。
特筆すべきことは大阪の(母方の)おじいさんやおばあさん、そちらに集まっていた親戚とネット通話で話したことぐらいだろうか。
みんな元気そうでよかったし、僕のことを心配してくれていたが、僕が元気そうなので安心させられたと思う。
東京郊外にいる父方の親戚の方は、明日こちらに訪ねてくれることになっている。
いつもは向こうの家で集まるのだけど、今年は僕のことあるのでこちらになった。
その準備の意味もあって今日は大掃除だったわけだ。
明日は和室を隣の和室とつなげてみんなでご飯を食べる予定になっている。
ということで、いろいろ家具の配置を変えたのでいつもの和室が見慣れなくて落ち着かない。
「カナくん、なんだったら元に戻すところまで手伝おうか?」
「その辺は自分でゆっくりやるからいいよ」
実際に、時間はあるのだ。
「俺がやったらすぐだぞ?」
「大物はテレビの位置ぐらいでしょ? 僕がやってもすぐだよ」
「そうか?」
なお、この日の夕食はハンバーグだった。
連日ごちそうなので太りそうだなあ……
母さんは使っていない部屋を含めて掃除機をかけて、拭き掃除をしている。
僕と父さんは、庭の草刈りと納屋の整理だ。
「あ、カナメはここも使ってるのか?」
「う、うん。一応気になるところの草を刈ったりしてるから……」
納屋の中に足を踏み入れた時に、父さんが気づいた。
つい最近のことだが、武器になるものを探して納屋を片付けたので、父さんが知る納屋の状態から変化があったのだ。
「そうか、それは感心だな」
父さんは鎌を手に取った。
敵を倒すには射程が足りないので僕は検討もしなかったが、本来の役目には役立つだろう。
「ちょっと研いでおくか」
さすがに油を塗ってあるとはいえ錆が出ているので、父さんは砥石を使って研ぐようだ。
僕は、最近(別の用途に)使っているナタを手に取って先に庭の草を刈り始める。
普段から草刈りをしているというのは嘘ではない。
直近はダンジョンで忙しいが、時間のあるそれまでは定期的に草刈りをしていた。
そうしないと庭に足を踏み入れることができないぐらい生えてくるし、虫も増えて不快だ。
今日は父さんが手伝ってくれるので、いつもよりしっかりと草刈りをしよう。
僕はナタを振って、庭の周辺を切り開いていく。
できれば木が生えてる際まで庭を広げておけば広く見えるし駐車スペースも増えるので、僕はひたすら密集した草を刈っていく。
「はあ、ちょっとは体力が付いたのかな……」
ダンジョンで成長した能力は、一部は外でも発揮されるとはいえ、現状せいぜい1.02倍の一部だから微々たるものだろう。
体力が付いたのは、動いていることによって素の体力が上がっていることの方が大きい。
「ちゃんと体を鍛えているようで感心だ」
「父さん」
父さんは体が大きい。
とはいえ、ボディービルダーのような太い筋肉ではなく、全体としては細身だ。
これは長距離を移動するポーターはマラソン選手みたいなものだから、あまり筋肉を太らせると持久力に難が出るということらしい。
もちろん、荷物を持つ筋肉はいるのでそこまでやせてはいないが、探索者の前衛よりは間違いなく細い。
「だけど注意しろよ、今の時期は成長期だから、ある程度の運動は必要だ」
「そうだね、高校で体育や部活をやっている程にはできないから……」
同年代は、週に決まった時間の体育の授業、そして運動部に入っていれば毎日放課後に何時間か運動している。
それに比べた僕の運動量はそれほどではない。
もっと走り込みとかサイクリングとかやる必要あるかなあ……
「そうだ、そういえばこの奥だったな」
「え?」
「カナメ、ついてこい」
そういって、父さんは草むらを進んでいく。
この先は……
そして森の中の、よく知っている開けた場所に着くと父さんは立ち止まる。
「ここにな……うちの墓があったんだ」
「こんなところに? あっちの墓地じゃ……」
「この辺りでは昔から自宅の裏に埋葬する習慣があって、ほとんどの家はそのあと共同墓地に移ったんだが、うちは近いしいつでも動かせるって後回しにしていたらそのままになっていたんだ」
「へえ……」
それでここにあんなダンジョンができたのか……
「もちろん、ここを移動するときに全部掘り返して町の方に移したんだが、もしかしたら幽霊でも出るかもしれんから知っておいてもいいかと思ってな」
出ました。全然ご先祖じゃなかったけど……
「今のところは、怖いことは起きてないよ。それより父さん、幽霊なんて信じてたんだ……」
「ああ、ダンジョンには似たようなのが出るし、意外と現実にもあるんじゃないかと思ってるぞ。まあ、見たことは無いが……」
「そうなんだ……ははは」
まあ、女神も人前に出る時代だしね。
「まあ、何もないならいいんだ。それじゃ庭の草刈りを続けよう」
「うん」
そして午前中を費やした結果として、庭はきれいになった。
まあ一か月もしないうちにまた草刈りが必要になるだろうけど……
手押しの草刈り機とか無いかな……中古で……
でもああいうのは背の高い草には意味がないしなあ……
*****
一通り家のことをやった後は、普通にゆっくりと家族で過ごした。
特筆すべきことは大阪の(母方の)おじいさんやおばあさん、そちらに集まっていた親戚とネット通話で話したことぐらいだろうか。
みんな元気そうでよかったし、僕のことを心配してくれていたが、僕が元気そうなので安心させられたと思う。
東京郊外にいる父方の親戚の方は、明日こちらに訪ねてくれることになっている。
いつもは向こうの家で集まるのだけど、今年は僕のことあるのでこちらになった。
その準備の意味もあって今日は大掃除だったわけだ。
明日は和室を隣の和室とつなげてみんなでご飯を食べる予定になっている。
ということで、いろいろ家具の配置を変えたのでいつもの和室が見慣れなくて落ち着かない。
「カナくん、なんだったら元に戻すところまで手伝おうか?」
「その辺は自分でゆっくりやるからいいよ」
実際に、時間はあるのだ。
「俺がやったらすぐだぞ?」
「大物はテレビの位置ぐらいでしょ? 僕がやってもすぐだよ」
「そうか?」
なお、この日の夕食はハンバーグだった。
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