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5 隣人は仲間になりたそうにこちらを見ている
来訪、目撃者
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蜘蛛のダンジョン……違った、8本足のダンジョンをクリアして数日後。
亜のダンジョンの攻略のために一度昼夜逆転になってから、ようやく元に戻せたと感じる平日のことだった。
そろそろ適当なダンジョン近くの換金所に手元の在庫を持ち込もうと考えて居たところに、なぜかピンポーンと呼び鈴を鳴らす音がする。
「あれ? なんか通販頼んでたかな? ……まあいいや、エリス、ちょっと消えてて」
「はいはい……『っと、あ、私のポテトチップス食べちゃダメだよ』」
「エリスのじゃないはずだけどね」
僕の買い置きだ。
それはともかく、僕は玄関に回り、舗装路に面した門の方に向かう。
「通販としても置き配のはずなんだけどなあ……」
そして現地についてみると、そこにはなんか同年代ぐらいの女の子がいた。
「何か御用ですか?」
「あ、あなたは神を信じますか?」
あ、だめな感じ。
「えっと、特定の宗教には興味はないんですが……」
どうやったら追い返せるだろう? きつく当たって近所の人だったりして今後この家だけごみ収集されなくなったり回覧板が回ってこなかったら嫌なんだけど……
「そうですか……じゃあ、幽霊の存在は信じますか?」
「え? まあ見たことはないけど、一概に否定できないかなあ……」
「なるほど……ダウト! あなた幽霊としゃべってたじゃないですか!」
「へえ……って、何を言ってるんですか? 幽霊としゃべったことなんてないですよ」
少なくとも人前では……
「いいえ、確かにしゃべっていました。他の人の目はごまかせても私の眼はごまかせません」
「というか、君、どこの誰?」
「ふふん、私こそは神社本庁の裏で暗躍する秘密組織、ボウズスレイヤーの一員なのです。ボウズ、オウジョウスベシ」
「本当?」
「冗談です」
「そうか、良かった」
そんな宗教戦争が起こっているなどとは考えたくないものな。
「とにかく、私はあなたがなんか幽霊と会話しながら自転車をこいでいる姿を見たのです」
そうか、夏のことか……確かに、夏に何度か自転車をこいでダンジョンに行ったことがある。一応気を付けていたはずだけど……
「で、仮にそれが事実だとして、何か問題でもあるんですか?」
「私にも、幽霊さんに会わせてください」
「そうだなあ……」
とりあえず目の前のこの子は、幽霊が見えるらしい。そして、どうやらこの近くで僕が夜中にダンジョン攻略に出かけているのを見かけているらしい……うん、近く?
「僕を見かけたっていうのはいつ頃? お盆より前? 後?」
「前です。8月頭ぐらいだったはずです」
なるほど、ということはあの隣山のダンジョンだ。たしか、ボスが天狗だったはず。でも、あの時は途中でなんか人通りがあると思って隠れたっけ……
『いいんじゃない?』
「あ、幽霊さん」
「エリス⁉ いいの?」
エリスの存在は秘密じゃなかったの?
『とりあえず家に上げちゃおう』
「あ、うん、エリスがいいなら……」
ということで僕はその子を家に案内することになった。
*****
「改めまして、私は山返神社の娘で八城ミノリです」
「僕は宗崎カナメ。15歳の高校1年生」
「高校生?」
「ああ、ちょっとした事情で人混みが苦手なんで、通信制の高校」
『そして私がエリス・ベル』
「すごい、ちゃんと会話できる幽霊って初めてです」
ということは、今までも幽霊自体は見えていたのか……
そのあたりの事情を詳しく聞いてみる。
秋深くなってもまだ明るい午後4時、これぐらいなら夕飯にも影響しないだろうと、僕はポテトチップスの新しい袋を皿にあけてこたつテーブルの上に出す。飲み物は気温も低いので紅茶にした。
座布団に正座した少女、八城ミノリは、遠慮がちではあったが出されたものをつまみながら、事情を話す。
山返神社、それはあの天狗がボスのダンジョンを上ったところにある神社のことだった。
そしてあの日、彼女は夏休みの宿題の自由研究で、あのダンジョンのあたりで昆虫採集をしていたという。
その時、僕たちの姿を見たらしい。
「え? 中学生?」
「そうです。今年で中3なので宗崎さんの一つ下ですね。年齢も14ですよ」
『あれ? それだと……もしかしてスキルじゃなしに元から幽霊が見えてるってこと?』
「そうですね。うちは割と霊験あらたかな由緒ある神社ですから」
「へえ、そこは僕と違うのか……」
と、僕の方の事情もある程度話すことになった。
とはいえ、せいぜいがスキルの影響で幽霊が見え、スキルは幽霊に有効で、ついでにマイナス効果があるので山奥に引っ越さなくてはいけなくなった、程度のことだ。
今のところ、エリスは外国人の幽霊ということにしてあって、女神とかそのあたりのことは伏せてある。仮に明かしてよいと思ったらエリスが自分で明かすだろう。
「なるほど、つまり聖属性のスキルというわけですね、いいなあ……私は来月なんですよ」
「ああ、体験会? そうだね、僕も2月生まれで12月だったよ」
「私も山返神社の発展と私のお小遣いのために、ぜひとも退魔系のスキルが欲しいんですよね」
なるほど、実家のことを考えているのはわかるが俗っぽいこともわかる。
「そういえば、元から幽霊が見えるってご家族もそうなの?」
「そうですね、一応由緒ある退魔系の神社ですから」
「あるんだ……そういうの」
ダンジョンも大概神秘だと思うけど、意外にこの世界も元からファンタジーだったのだなあ。
亜のダンジョンの攻略のために一度昼夜逆転になってから、ようやく元に戻せたと感じる平日のことだった。
そろそろ適当なダンジョン近くの換金所に手元の在庫を持ち込もうと考えて居たところに、なぜかピンポーンと呼び鈴を鳴らす音がする。
「あれ? なんか通販頼んでたかな? ……まあいいや、エリス、ちょっと消えてて」
「はいはい……『っと、あ、私のポテトチップス食べちゃダメだよ』」
「エリスのじゃないはずだけどね」
僕の買い置きだ。
それはともかく、僕は玄関に回り、舗装路に面した門の方に向かう。
「通販としても置き配のはずなんだけどなあ……」
そして現地についてみると、そこにはなんか同年代ぐらいの女の子がいた。
「何か御用ですか?」
「あ、あなたは神を信じますか?」
あ、だめな感じ。
「えっと、特定の宗教には興味はないんですが……」
どうやったら追い返せるだろう? きつく当たって近所の人だったりして今後この家だけごみ収集されなくなったり回覧板が回ってこなかったら嫌なんだけど……
「そうですか……じゃあ、幽霊の存在は信じますか?」
「え? まあ見たことはないけど、一概に否定できないかなあ……」
「なるほど……ダウト! あなた幽霊としゃべってたじゃないですか!」
「へえ……って、何を言ってるんですか? 幽霊としゃべったことなんてないですよ」
少なくとも人前では……
「いいえ、確かにしゃべっていました。他の人の目はごまかせても私の眼はごまかせません」
「というか、君、どこの誰?」
「ふふん、私こそは神社本庁の裏で暗躍する秘密組織、ボウズスレイヤーの一員なのです。ボウズ、オウジョウスベシ」
「本当?」
「冗談です」
「そうか、良かった」
そんな宗教戦争が起こっているなどとは考えたくないものな。
「とにかく、私はあなたがなんか幽霊と会話しながら自転車をこいでいる姿を見たのです」
そうか、夏のことか……確かに、夏に何度か自転車をこいでダンジョンに行ったことがある。一応気を付けていたはずだけど……
「で、仮にそれが事実だとして、何か問題でもあるんですか?」
「私にも、幽霊さんに会わせてください」
「そうだなあ……」
とりあえず目の前のこの子は、幽霊が見えるらしい。そして、どうやらこの近くで僕が夜中にダンジョン攻略に出かけているのを見かけているらしい……うん、近く?
「僕を見かけたっていうのはいつ頃? お盆より前? 後?」
「前です。8月頭ぐらいだったはずです」
なるほど、ということはあの隣山のダンジョンだ。たしか、ボスが天狗だったはず。でも、あの時は途中でなんか人通りがあると思って隠れたっけ……
『いいんじゃない?』
「あ、幽霊さん」
「エリス⁉ いいの?」
エリスの存在は秘密じゃなかったの?
『とりあえず家に上げちゃおう』
「あ、うん、エリスがいいなら……」
ということで僕はその子を家に案内することになった。
*****
「改めまして、私は山返神社の娘で八城ミノリです」
「僕は宗崎カナメ。15歳の高校1年生」
「高校生?」
「ああ、ちょっとした事情で人混みが苦手なんで、通信制の高校」
『そして私がエリス・ベル』
「すごい、ちゃんと会話できる幽霊って初めてです」
ということは、今までも幽霊自体は見えていたのか……
そのあたりの事情を詳しく聞いてみる。
秋深くなってもまだ明るい午後4時、これぐらいなら夕飯にも影響しないだろうと、僕はポテトチップスの新しい袋を皿にあけてこたつテーブルの上に出す。飲み物は気温も低いので紅茶にした。
座布団に正座した少女、八城ミノリは、遠慮がちではあったが出されたものをつまみながら、事情を話す。
山返神社、それはあの天狗がボスのダンジョンを上ったところにある神社のことだった。
そしてあの日、彼女は夏休みの宿題の自由研究で、あのダンジョンのあたりで昆虫採集をしていたという。
その時、僕たちの姿を見たらしい。
「え? 中学生?」
「そうです。今年で中3なので宗崎さんの一つ下ですね。年齢も14ですよ」
『あれ? それだと……もしかしてスキルじゃなしに元から幽霊が見えてるってこと?』
「そうですね。うちは割と霊験あらたかな由緒ある神社ですから」
「へえ、そこは僕と違うのか……」
と、僕の方の事情もある程度話すことになった。
とはいえ、せいぜいがスキルの影響で幽霊が見え、スキルは幽霊に有効で、ついでにマイナス効果があるので山奥に引っ越さなくてはいけなくなった、程度のことだ。
今のところ、エリスは外国人の幽霊ということにしてあって、女神とかそのあたりのことは伏せてある。仮に明かしてよいと思ったらエリスが自分で明かすだろう。
「なるほど、つまり聖属性のスキルというわけですね、いいなあ……私は来月なんですよ」
「ああ、体験会? そうだね、僕も2月生まれで12月だったよ」
「私も山返神社の発展と私のお小遣いのために、ぜひとも退魔系のスキルが欲しいんですよね」
なるほど、実家のことを考えているのはわかるが俗っぽいこともわかる。
「そういえば、元から幽霊が見えるってご家族もそうなの?」
「そうですね、一応由緒ある退魔系の神社ですから」
「あるんだ……そういうの」
ダンジョンも大概神秘だと思うけど、意外にこの世界も元からファンタジーだったのだなあ。
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