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5 隣人は仲間になりたそうにこちらを見ている
馴染んでしまう
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「お邪魔しまーす」
「いらっしゃい」
「あ、これうちの祖父母からです」
「あら、悪いわね、ありがたくいただくわ」
「そのやり取りに、僕が含まれていないのは何か問題では?」
「そういえば……」
「そうですね」
顔を見合わせるエリスとミノリだった。
さて、なぜこんなに馴染んでいるのかというと、ミノリがエリスと契約することで、完全に身内になったからだ。
例の「しもべがなんとかかんとか」という儀式で、これでミノリはエリスを裏切れなくなったらしい。
というか、僕もエリスを裏切れないのか……まあ、その気もないけどね。
最初に訪れた時からミノリは何度か訪ねてきた。
その結果として、徐々に互いの人柄や事情の共有が進み、最終的には仲間となることになったのだ。
もちろんそれには彼女の押しの強さも影響しているに違いない。
2回目から名字ではなくミノリ呼びを求めるのは、ちょっと距離感がおかしい気がする。
ともかく、こうしてエリスも二人目の仲間ができたわけで、今も天狗少女の姿をさらしてミノリと楽しく話をしている。
「あ、お茶は任せて」
僕は一応おもてなしをする側なので、一同のお茶を用意する。
こちらに来てからの生活で、飲み物はお茶が多くなった。
もともと実家にいるときもジュースはあまり飲まなかったが……
そしていただいた神社のお供えのお下がりを皿に乗せ、お茶と共に居間のこたつに持っていく。
「ありがとうございます」
「ありがとう」
「何を話してたの?」
「今後のミノリの育成方針」
「すいません、自分のことばかりで……」
「いや、そりゃスキル手に入ったんだから当然だよ」
ミノリは11月の体験会で善光寺ダンジョンに入り、無事にファーストスキルを手に入れた。
もともと霊感を持ち、先祖伝来の術も使えるミノリだからファーストスキルはそっち方面かと思ったが、そんなことはなく、〈引力〉〈斥力〉のスキルを手に入れた。
そう、なんとファーストスキルなのに2つあるのだ。
とはいえ、実際にはこれらを総称する名前が無いからそうなっているだけで、要は引っ張ったり遠ざけたりする力のことだ。
「やっぱり、吹き飛ばしが有効かな」
僕は自分の意見を述べる。
初めの方に戦うモンスターはほとんど接近戦を挑んでくるので、〈斥力〉で弾き飛ばすのは安全で有効に思える。
「それもそうだけど、こっちが突っ込むのも捨てがたいわよ」
エリスの意見は、攻撃の補助に使うというものだった。
確かに、足と地面を〈斥力〉で反発させれば素早い移動ができるかもしれない。
「だけど、地面と足で使っても上に跳び上がるだけじゃないの?」
「そうなのよね。だから何か道具を作らないといけないのよ」
例えば陸上のスタートブロックみたいに、横に力を駆けることができるものだろうか?
ただ、スキルの作用だからもっと垂直に立ったものの方がいいだろうし、道具を作ったとしても設置が難しい。
「そうなのよね。だから、ちょっとすぐには実現しないという結論になったのよ」
「私としてはもう片方の〈引力〉の使い道が思いつかなくて……」
ミノリの疑問はもっともだ。
敵を倒すことができるファーストスキルの効果としては、〈引力〉は使い道が見当たらない。
そういう意味でも〈引力〉〈斥力〉は本質的に1つのスキルということなのだろう。
「あ、でもうまく使えば壁歩きとかできそう」
「おおっ、ついに私も忍者になれるんですね。ボウズコロスベシ」
前は往生とか言っていたのに、ついに直接的に殺すと言い切っている。殺意が高まっていないか?
とはいえ、彼女の事情はあの後聞いて知っている。
神社が貧乏なのに対して、寺は葬式や法事のお布施収入がかなりあり、いつもうらやましく思っていたそうだ。
そして近場で最も栄えている善光寺に、ダンジョンのついでに訪れたところ、より一層お坊さんに対する敵意が増したそうだ。
「仏教もキリスト教もイスラム教も敵です。ボウズなので」
言い切ってしまった。
キリスト教のボウズはトンスラと呼ばれる頭のてっぺんを剃る髪型があるのでわからなくはないが、イスラム教? と思って聞いてみると、「あのターバンはハゲ隠しに違いない」との答えが返ってきた。
それは彼女の偏見だろうと思う。
ともかく、ボウズスレイヤーは世界の大宗教のほとんどにケンカを売る好戦的な存在のようで、ぜひ実現しないことを望む。宗教戦争なんてまっぴらだ。
「ともかく、一回ダンジョンに潜ってみたいですね」
「エリスがどこかつれていってあげなよ」
「その時はカナメも付いてきてくれるのよね?」
「うーん、いいけど、テストとか大丈夫なの?」
僕の方は2学期末のテストで、正直勉強の方は不安がない。
だが、ミノリは受験があるはずで、ダンジョンなどにうつつを抜かしている暇は無いはずだ。
「大丈夫、ほら、私はスマホも持っていない真面目な中学生ですよ」
そうなのだ、彼女は家の方針でスマホを持っていない。
というか、あの神社のあたりも携帯の電波は届いていないから、家にいても通信手段としては役に立たないという事情もあるのだろう。
そんなわけで、暇だから勉強時間はしっかりとれていると彼女は主張した。
「じゃあ、一回ぐらいいいか」
「やった、じゃあ妖怪退治に使う武器を持っていきますね」
「それって、持ち出していいものなの?」
とはいえ、妖怪退治に使うものならアンデッド系のダンジョンが良いかもしれない。
一応エリスにそのあたりをリクエストしておく。
このようにして、週末にミノリも加えたダンジョン攻略が決定した。
「いらっしゃい」
「あ、これうちの祖父母からです」
「あら、悪いわね、ありがたくいただくわ」
「そのやり取りに、僕が含まれていないのは何か問題では?」
「そういえば……」
「そうですね」
顔を見合わせるエリスとミノリだった。
さて、なぜこんなに馴染んでいるのかというと、ミノリがエリスと契約することで、完全に身内になったからだ。
例の「しもべがなんとかかんとか」という儀式で、これでミノリはエリスを裏切れなくなったらしい。
というか、僕もエリスを裏切れないのか……まあ、その気もないけどね。
最初に訪れた時からミノリは何度か訪ねてきた。
その結果として、徐々に互いの人柄や事情の共有が進み、最終的には仲間となることになったのだ。
もちろんそれには彼女の押しの強さも影響しているに違いない。
2回目から名字ではなくミノリ呼びを求めるのは、ちょっと距離感がおかしい気がする。
ともかく、こうしてエリスも二人目の仲間ができたわけで、今も天狗少女の姿をさらしてミノリと楽しく話をしている。
「あ、お茶は任せて」
僕は一応おもてなしをする側なので、一同のお茶を用意する。
こちらに来てからの生活で、飲み物はお茶が多くなった。
もともと実家にいるときもジュースはあまり飲まなかったが……
そしていただいた神社のお供えのお下がりを皿に乗せ、お茶と共に居間のこたつに持っていく。
「ありがとうございます」
「ありがとう」
「何を話してたの?」
「今後のミノリの育成方針」
「すいません、自分のことばかりで……」
「いや、そりゃスキル手に入ったんだから当然だよ」
ミノリは11月の体験会で善光寺ダンジョンに入り、無事にファーストスキルを手に入れた。
もともと霊感を持ち、先祖伝来の術も使えるミノリだからファーストスキルはそっち方面かと思ったが、そんなことはなく、〈引力〉〈斥力〉のスキルを手に入れた。
そう、なんとファーストスキルなのに2つあるのだ。
とはいえ、実際にはこれらを総称する名前が無いからそうなっているだけで、要は引っ張ったり遠ざけたりする力のことだ。
「やっぱり、吹き飛ばしが有効かな」
僕は自分の意見を述べる。
初めの方に戦うモンスターはほとんど接近戦を挑んでくるので、〈斥力〉で弾き飛ばすのは安全で有効に思える。
「それもそうだけど、こっちが突っ込むのも捨てがたいわよ」
エリスの意見は、攻撃の補助に使うというものだった。
確かに、足と地面を〈斥力〉で反発させれば素早い移動ができるかもしれない。
「だけど、地面と足で使っても上に跳び上がるだけじゃないの?」
「そうなのよね。だから何か道具を作らないといけないのよ」
例えば陸上のスタートブロックみたいに、横に力を駆けることができるものだろうか?
ただ、スキルの作用だからもっと垂直に立ったものの方がいいだろうし、道具を作ったとしても設置が難しい。
「そうなのよね。だから、ちょっとすぐには実現しないという結論になったのよ」
「私としてはもう片方の〈引力〉の使い道が思いつかなくて……」
ミノリの疑問はもっともだ。
敵を倒すことができるファーストスキルの効果としては、〈引力〉は使い道が見当たらない。
そういう意味でも〈引力〉〈斥力〉は本質的に1つのスキルということなのだろう。
「あ、でもうまく使えば壁歩きとかできそう」
「おおっ、ついに私も忍者になれるんですね。ボウズコロスベシ」
前は往生とか言っていたのに、ついに直接的に殺すと言い切っている。殺意が高まっていないか?
とはいえ、彼女の事情はあの後聞いて知っている。
神社が貧乏なのに対して、寺は葬式や法事のお布施収入がかなりあり、いつもうらやましく思っていたそうだ。
そして近場で最も栄えている善光寺に、ダンジョンのついでに訪れたところ、より一層お坊さんに対する敵意が増したそうだ。
「仏教もキリスト教もイスラム教も敵です。ボウズなので」
言い切ってしまった。
キリスト教のボウズはトンスラと呼ばれる頭のてっぺんを剃る髪型があるのでわからなくはないが、イスラム教? と思って聞いてみると、「あのターバンはハゲ隠しに違いない」との答えが返ってきた。
それは彼女の偏見だろうと思う。
ともかく、ボウズスレイヤーは世界の大宗教のほとんどにケンカを売る好戦的な存在のようで、ぜひ実現しないことを望む。宗教戦争なんてまっぴらだ。
「ともかく、一回ダンジョンに潜ってみたいですね」
「エリスがどこかつれていってあげなよ」
「その時はカナメも付いてきてくれるのよね?」
「うーん、いいけど、テストとか大丈夫なの?」
僕の方は2学期末のテストで、正直勉強の方は不安がない。
だが、ミノリは受験があるはずで、ダンジョンなどにうつつを抜かしている暇は無いはずだ。
「大丈夫、ほら、私はスマホも持っていない真面目な中学生ですよ」
そうなのだ、彼女は家の方針でスマホを持っていない。
というか、あの神社のあたりも携帯の電波は届いていないから、家にいても通信手段としては役に立たないという事情もあるのだろう。
そんなわけで、暇だから勉強時間はしっかりとれていると彼女は主張した。
「じゃあ、一回ぐらいいいか」
「やった、じゃあ妖怪退治に使う武器を持っていきますね」
「それって、持ち出していいものなの?」
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