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第393話:六竜でもストレスは溜まる。
しおりを挟む「ふふふ、納得してくれたようでなによりだ」
俺がポコナに執筆許可を与えたその時、どこからともなくシルヴァが降臨した。
「てめぇ……どうせこの企画自体お前の立案だろうが」
「おや、それは半分正解、といった所かな。僕はポコナ姫の意思を尊重したに過ぎない」
どういう意味かと思えば、話を聞くにポコナが最初に俺の事をどうにか世界に広めて人々の希望にしたいと言い出したらしい。
しかしその時点では夢物語もいい所、お子様の可愛らしい発想止まりだった。
ポコナは、吟遊詩人が語るようなお話にしたり、歌にしたりして世界に広めたいとシルヴァに相談したらしい。
「そこで僕がもっと効率が良い方法を提案した、というわけだよ」
シルヴァは目を細めて肩を震わせた。
笑ってやがるこいつ。
結果はどうあれ俺に対しての嫌がらせが含まれていたに違いない。
「しかしね、よく考えても見たまえよ。君の人生を本にして出した所で受け入れられず、つまらない話だと切り捨てられる可能性だってあるだろう?」
「そりゃそうだ。俺なんて……」
「自己評価が低すぎる。君はね、ずっと見ていた僕が言うのもなんだけどおもしろ……いや、凄まじい人生を送っている」
「お前今面白い人生って言おうとしやがったな」
シルヴァは俺の言葉を無視して続けた。
「だが実際はどうだ? 君の人生を本にして世界中に届けたところ反響が物凄い事になっている。それはミナト……君の積み上げてきた物が実を結んだ証拠ではないか」
良いように言いやがって……。
しかし、こいつの言葉に若干救われている自分がいて恥ずかしいやら情けないやら……。
「でもシュマルなんて俺の事知ってるやつほとんどいないんじゃないか?」
「とんでもない。物凄い冒険者がいるという話は瞬く間に国中に広まったそうだし、防衛隊に所属してリザインを守った事や、先ほどポコナ姫も言っていた国家転覆の危機を救った新たな英雄として知れ渡っているよ」
俺はシュマル国内であちこちの街を回ったわけじゃない。
それなのにどうしてそんな事になる?
「タチバナとリザイン殿がね、君についてのインタビュー記事のような物を書いて国にバラまいたのだ。凄い冒険者が居るという話は既に広まっていたからね、その記事と繋がる事によって君の知名度はグンと上がったよ」
「絶対それタチバナが考えたやつだ……」
あのお調子者のやりそうな事である。
「だからこそ僕はミナト・ザ・ブレイブストーリーに君の姿を載せる事にした」
「あっ、そうだそれだ! 忘れてたが完全に盗撮じゃねーか水着姿まで載せやがって!」
それはさすがに反論してもいいはず。
「それにも理由がある。君の事を直接知っている人にとってはあの本ですぐに君を理解できるがね、それこそ噂話で聞いた事がある、程度の人達にはいまいち実感がわかないだろう?」
シルヴァは糸のような目をうっすらと開き、にやりと気持ち悪い笑みを浮かべた。
「そこで君の姿の登場という訳だ。戦闘風景だけでなく日常の風景も織り交ぜる事によってそこに人間性が表現されていく。親しみやすさを与えるのに一番効果的だろう?」
「だからって水着とか寝顔とかは要らんだろうが!」
「要るに決まってるじゃん!」
「要るに決まっておろうが」
予想外の方から反論が飛んできた。
「レナとエクスまで何言ってんだよ……」
「ミナトは自分の見た目ちゃんと理解してる?」
「貴様の美しさを世に知らしめずにどうする」
……だめだこいつら。
「二人もこう言っている時点で分かるだろう? 君はね、強くて美しいという武器を持っている。その姿を英雄譚に乗せるというのは想像以上の相乗効果を生み出すのだよ。今では世界中に君のファンクラブが存在する程だ」
「マジで言ってんのか」
世界中に俺のファンクラブだと……?
ちょっと、いいじゃん。
『君って人は本当に俗物よね……』
う、うるさいな。そこまで人に持ち上げられてた事ないんだからアイドルみたいで悪い気しないじゃんかよ。
『そうね、世界中からつまみ食いし放題って事だものね』
……お前最近お花畑すぎないか?
欲求不満なの?
『ばっ、何言ってんのかしらこの子は!? わ、私が欲求不満ですって? そんなの適度に解消してるわよ!』
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『君って人は……はぁ。この際だから白状するけど、たまに君の身体使って飲み歩いてたくらいよ。私だってストレスくらいたまるものそれくらいいいでしょ?』
……飲み歩き?
『そうよ。アルコールなんてすぐに分解されちゃうけれど、それでもちょっとは気持ちよくなれるもの』
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『お願いだから真剣に哀れむのやめてくれない?』
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