押し倒されたら異世界で聖女になってました。何故か勇者な彼に邪険にされるわ魔王に求婚されるわでうまく行きません(>_<)★本編+後日談完結★

monaka

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☆おまけ☆

閑話3:きのたけ戦争。

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 三人の冷たい視線にさらされる事十数秒。
 その沈黙を破ってくれたのはラスカルだった。

「と、とにかくだ。我々はこれからキノーコ山へ向かう」

 なにその美味しそうな名前の山。

「なるほど、キノーコ山に行くという事はアレが目当てですね!」

 急にリィルがテンション上がって食いついてきた。

「そのキノーコ山とかいうふざけた名前の山に何があるというんだ?」

 やっぱりクラマ的にも変な名前だなと思ったらしい。この世界の人にはこの感覚分からないかもしれないなぁ。

 ……でもきのこくらいこの世界だってあるでしょ? なんで違和感もたないんだろ。

「貴様等は知らぬだろうがキノーコ山と言えば珍味として重宝されている食材の産地でな。滅多にお目にかかれる物ではないが……」

「へぇ、特別なきのことか?」

「いや、勿論きのこがよく取れるという事でキノーコ山などというふざけた名前をつけられたのだろうが……」

 あ、やっぱりこの人達の中でもキノーコ山ってのは変な名前なんだね。ちょっと安心した。

「きのこじゃないならなんだろ……? そんなに美味しいの?」

 その質問に答えてくれたのはリィルだった。

「ユキナが知らなくても無理はありません。市場でも滅多に出回りませんし、どこかの馬鹿魔王が街を隔離してからは採りに行く事もできませんでしたからね」

「なんだと貴様! そのおかげでシャドウ達から守られていたというのを忘れたのか!」

「ならば事前に説明の一つも入れておくのが筋という物でしょう!?」

「馬鹿者め人間に説明した所で理解出来たはずもあるまい!」

 まーた始まったよ。

「はいはい、喧嘩はそのくらいにしとこうね? じゃあそのなんだっけ? 珍味のやつ探しに行こうよ♪」

「そ、そうですね……ではタケーノコ探しに」
「ぶふーっ!」

 思わず吹いてしまった。
 クラマもこちらをチラチラ見ながら苦笑いしている。

「ど、どうしたんですユキナ?」

「だ、大丈夫……心配しないでリィル」

 きのこの山にたけのこ探しに行くとか軽く戦争案件じゃんか。

 ……この人達に説明しても分ってもらえないだろうけど。

 それにしても……。

「そ、そのタケーノコってのはそんなに美味しいの?」

「無論だ。私はあれほど美味な食材を知らん」

「それは楽しみだね♪ そうと決まれば早速キノーコ山にタケーノコを……ひひっ」

 ダメだ笑うってこんなの。

「おい勇者、ユキナはどうしてしまったのだ?」

「……俺達にはお前らの知らん事情があるんだ」

 ラスカルとリィルは不思議そうに首を傾げながらも、それ以上深く突っ込んできたりはしなかった。

 正直どうしてそんなに笑っているのかと聞かれてもうまく説明できる気がしないので助かる。

「でさ、そのキノーコ山まではどうやっていくの? 歩いて行けるような距離?」

「普通に徒歩で行けば行くのに半日、帰りに半日かかりますので山に入る時間も考えると二日ほど必要ですがそのあたりは魔王がどうにかして下さるでしょう。そのくらい役にたっていただかないと」

「ふっ、このエルフ言いよるわ。しかしこいつの言う通り移動は問題無く私が転移で連れて行ってやろう。山の麓までだがな」

「あれ? そのタケーノコが生えてる場所まで行く訳じゃないんだ? 冒険したいしそれくらいで丁度いいけど」

 聞けばタケーノコっていうのはかなりの珍味、珍品らしいのでそう簡単に見つけられる物じゃないらしい。
 山の麓から探しつつ登っていって、見つけ次第収穫、帰還っていう流れになるそうだ。

「準備が良ければすぐにでも出発するがどうだ?」

 その言葉に全員が頷く。
 文句言ってたクラマもタケーノコが気になってきたみたいだ。

 僕らの知ってるタケノコだったら珍しい物じゃないけれど……。
 僕にとってはタケーノコが重要なんじゃなくて皆で外におでかけって所が重要なので問題無い。

「よし、では出発だ」

 言うが早いかラスカルは転移魔法を起動し、一瞬にして山の麓まで移動……したはいいんだけど久しぶりだから忘れてた。

「うぼげぇぇぇぇぇっ!!」

「うわっ、ユキナ!? 大丈夫ですか!?」

 ラスカルとクラマはこれを予想していたようで転移後すぐに僕から距離を取っていた。

 このはくじょうものどもめ……!

「うっ、えっぐ……うげぇ……」

「嬢ちゃん大丈夫かい?」

「もっご、ユキナはどうしてしまったのです!?」

「あぁ……嬢ちゃんは転移酔いしやすい体質なんだよ。転移の後はいつもこんな感じさぁ」

 もっごとリィルは僕の背中を優しくさすってくれた。
 この二人くらいだよ僕の事心配してくれるのは……まったくラスカルとクラマときたら……。

「そういう事は早く言って下さい。それくらい私が居れば心配ありません」

 そう言ってリィルが僕に何か魔法をかけてくれた。

「うっ……うっ……あ、あれ? 気持ち悪くないや」

 さっきまでの気持ち悪さが嘘のように頭がスッキリしている。

「私が酔い止めの魔法をかけました。もう大丈夫ですよ」

 振り返るとリィルのにこやかな笑顔が迎えてくれる。

「す、すごい……! リィルありがとう! やっぱりリィルについてきてもらって良かったよ♪ それに比べておまえらーっ!」

「ちっ」
「ふん」

 リィルが差し出してくれたハンカチで口元を拭いながらラスカルとクラマを睨みつけると、二人はバツが悪そうに目を逸らしつつリィルに対して舌打ちなんかしてる。

「ユキナ、貴女が辛い時、必ず私が癒して差し上げますからね」

 本当に僕の事を想うのならばこうあるべきでしょーが!

 少しくらいリィルの爪の垢でも煎じて飲ませた方がいいかもしれない。


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