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☆おまけ☆

閑話5:悶絶。

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「例年通りならばこの辺りで目撃情報があったように思うのですが……」

「今年は人の手が入っていないからもう少し見つけやすいかと思ったのだがな……」

 ラスカルとリィルは難しい顔をしながら辺りを見渡している。

 地面を調べている様子は無い。

 意外とこの二人直接収穫しに来た事なくて実際はどんな風に生えてるか知らないとかなんじゃないかなぁ?

 それなら僕が誰より先に見つけて自慢してやろっと♪

「ん~もっご、ちょっとあの辺見てもらっていい?」

「いいけど……何か探し物かい?」

 僕はもっごに山道から少しそれた木々の間へ行ってもらい地面を注意深く観察した。

 クラマは僕の意図に気付いてくれたらしく後ろを付いてくる。

「お前が先に見つけてやろうって魂胆か」

「魂胆とは人聞きが悪いなぁ。あの二人はタケノコがどこに生えるのか分かってなさそうだからね~♪」

「おい、お前ら何をしている?」

 僕らがついてこないのに気付いたラスカルがこちらに向かって歩いてきた。リィルも一緒みたい。

「あのね、タケノコってのはこういう所に……ほらこういうやつだよ」

 地面に不自然な盛り上がりを見つけて手を伸ばすと……。

「ユキナ、それは触っちゃダメです!」

 リィルの声が届く前に、僕はもっごの上からそのでっぱりに手を伸ばしていた。

 ぼふっ!!

「ぎゃーっ!!」

 突然地面から紫色の煙が噴き出して僕の視界は真っ暗になる。
 というかそれどころか目が痛い!

「痛い痛い痛い痛いっ! なにこれーっ!」

「ほら言わんこっちゃない……」

 思わずもっごから転げちて地面をのた打ち回る僕にリィルが何やら魔法をかけてくれているらしいがなんも見えないので状況が分からない。

「じっとしていなさい! すぐに良くなりますから!」

「でも痛いんだってじっとしてられるかーっ! うがぁぁぁっ!」

「こらっ、暴れないで下さいっ! うわっ!!」

「ぐえっ!」

「す、すすすすいませんユキナ! そ、そんなつもりはなかったんです……!」

「よくわかんないけど痛い痛いっ!」


 その後しばらくのた打ち回ってやっとうっすら目が開くようになった頃、何故かリィルは正座させられていてクラマとラスカルに詰められていた。

「嬢ちゃん……大丈夫かい?」

「うぅ……目が痛いよぉ……というかアレは何がどうなってるの?」

「うぅん……嬢ちゃんが転げ回った時にあのリィルってエルフの足に激突して、奴が嬢ちゃんに伸し掛かるというか押し倒す形になっちまったんだよ」

 あー、あの時か。

「それで?」

「それでって……惚れた女が目の前で押し倒されたらどうなる?」

「あー、なるほどなー」

 ラスカルとクラマは物凄い殺気を込めた目でリィルを見下ろし、リィルはもうなんていうか小さく縮こまっていた。

「ねぇ二人とも、さっきのは事故だってば」

「そ、その通りですユキナ! あれは不慮の事故なのです! この人達に言ってやってください!」

「聞く耳持たぬ」
「許さん」

 あーダメだこの人達ブチ切れてる。

「リィル、もういいから早くこの目治してくれないかな……まだ痛いよ」

「待て、まだこいつをどう罰するか決まっていないのだ」
「許さん」

「あーもううるさいなぁ。君等は見てただけでしょ? リィルは僕を治療しようとして近くに来てたから巻き込まれてあんなことになっただけなんだってば。君等がリィルを責める資格ないからね?」

「ゆ、ユキナ……! ありがとうございます」

 リィルは正座を崩さずそのまま頭を地面に押し付けた。

「ちょっと、やめてよ。それより治療お願い」

 まだ二人は納得がいかない様子だったけれど僕の目を治す方が先だと今更ながら思ったらしく何も言わなかった。
 遅いんだよバーカ!

「……これでどうです? 少しは楽になりましたか?」

「……ん、まだちょっと瞼が重いけどかなり楽になったよありがと。アレってなんだったの?」

「アレはモグリンダケと言って地面の中で育つキノコです。触れると周囲に胞子をばら撒き、それが人間の目に入ると激痛を伴い放置すると失明する恐れも……すぐに解毒魔法をかけたのですが痛みはすぐに消えず……申し訳ありません」

 失明するかもしれない状況だったと知って僕は顔面蒼白になった。
 リィルの後ろでラスカルとクラマも真っ青になってる。

「二人とも……ちゃんとリィルの話聞いた? 僕にあの時すぐ治療魔法かけてくれてたからこれくらいで済んだんだよ? なのに君達ときたら……」

「す、すまぬリィル……」
「俺も悪かった……ユキナを助けてくれてありがとう」

「わ、分かってくれたのならいいのです。私もあんな事になるとは思っていなかったので二人には……勿論ユキナにも謝罪をしなければですね」

「……あんな事ってなに? ただのしかかっただけでしょ?」

「「「……」」」

 えっ、何その反応。

「もっごは見てたよね? 何があったの?」

「いや、これは知らないままの方が……」

「もっご? 言って」

 軽く言霊を込めてお願いをする。僕には知る権利があるんだからね。

「う、あ……リィルの兄ちゃんすまん……! あの時……」

 どうやらもっごの話だとリィルが僕の上に伸し掛かってきて押し倒す感じになって、うっかり唇が触れちゃった上に慌てて起き上がろうとして胸を鷲掴みにしたらしい。

 あの二人があんなにも怒っていたのはそれのせいっぽい。

 痛みでそれどころじゃなくて全然気付かなかったけど、それどこのラブコメ主人公なの……?

 ジト目でリィルを観察すると、顔を真っ赤にして両手で顔面を覆ってしまった。

 いや、乙女かよ。




――――――――――――――――――――

お読み頂きありがとうございます☆彡
キノーコ山に謎のタケーノコ捜しの旅はもうちょっとだけ続きます(笑)
あと数話は明日更新させてもらいますのでまたよろしくお願いします♪

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応援よろしくお願いします☆彡
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