Sudisutic gun

当日ですね 『ちょっとグロいです！注意！』

とうとうクレバトールの日がやってきた。始めは司会者の大きな声と管楽器の高らかな音色で始まった。
 クレバトールは本来、殺し屋達の腕くらべとして始まった。それが受け継がれていく中で進化を遂げ、今ではチーム戦のゲームとなった。

「さあ、やって参りました！狂った者達による狂ったゲーム！！！今回参加するチームは10組です！」
若い女の司会者は順番にチームの名前を読んでいく。最後にラガルトの名前を呼ぶといっせいに会場が沸いた。ほとんどは歓声や歓喜の声であったのだが、中にはブーイングもちらほらと飛び交っていた。
ライラットはそんな様子には目もくれず、自分の使う武器の手入れをしていた。相変わらず憎たらしいやつである。自分がラガルトに入ってきたのはこの男を殺すため。何度も暗殺を試みたが全く効かなかった。むしろライラットは強くなった。あのコルコット不条理の姫はとにかくしつこかった。
 スッと息を吐いて心の中で叫ぶ。
「やっと、やっと、、、、！！！！私は今日のために全てを注いできた。普通の人生を諦めて、いつ死んでもおかしくない状況に飛び込んで、それでも生きてきた。……生きてきたのよ。見てて、お父さん。許さない。ぜぇったい、ぜぇったい。」



 彼女が生まれたのは都会から少し離れた、自然の豊かな場所だった。優しいお母さん、たくましいお父さん、それから小さな弟と一緒に、静かに、幸せに暮らしていた。
 そんな日々が壊れたのは、弟の5歳の誕生日だった。何か特別なことをしたわけではない。いつものように弟の誕生日プレゼントを買いに行った。ただ、それだけだった。
 家のドアを開けてから最初に目に入ってきたのは血まみれになった母だった。母が庇うようにして抱きしめていたのは足を片方無くした弟である。
｢お、おか、、、、さん？｣
まだ幼かった少女には刺激が強すぎた。手足は震え、サアーっと血の気が引いていくような、そんな感覚。
「お父さん！お父さんはどこにいるの！？」
叫ぶ。必死に。
 

 いた。


2人。同じ顔、同じ身長、同じ髪型、同じ服装、同じ声で。返事をした。
「、、、こ、、、せ。」
え？
2人が同時に笑い、口を開いた。そして確かに言った。

「片方を、殺せ。」