勇者の剣を折ったせいで奴隷落ちした僕は、公爵令嬢に買われてひのきの棒で戦うことを提案されました

いとうその

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5.提案と試し狩り

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第5話

 ダイヤとサクラは町に出ていた。2人で出るのは危険だと兵士たちに言われたが「3流の兵士がいても意味ないでしょ?」と一蹴されたことにより2人でのお出かけとなった。その時ダイヤは真っ青な顔をしていた。

「サクラ様。それでどこに行くのですか?」

「雑貨店よ」

「雑貨店ですか?」

「そ、背負い籠を買いにね」

「背負い籠?」

 何故背負い籠なのかダイヤ自身わからないが、とにかくご主人様の命令である。言われるがままに、雑貨屋に行く。

 雑貨店に行くと、すぐに背負い籠を見つけることができた。料金もとても安い。と言ってもサクラほどの金持ちにはどんなものでも安いのではないかと疑問を持ってしまうが。

 とにかく、目当てのものを見つけてそれを購入する。

「ありがとうございますー」

「んじゃこれ、はい」

 背負い籠を購入しダイヤに渡す。

「? ありがとうございます」

 ダイヤは背負い籠をそのまま背負う。

「それが貴方の鞘になるからね」

「鞘ですか?」

「そ、次は武器屋に行くわよ」

「は、はあ」

 言われるがままについて行く。武器屋の扉を開けると、店主に第一声を浴びせた。

「主人!ひのきの棒を50本頂戴!」

「へ?」

「へ?」

 店の店主もダイヤも何がなんだか分からない具合であった。

「なに?ないの?」

「いや、ありますが…」

「じゃあ頂戴!そうね…料金は1万ゴールドでどうかしら?」

「え?いや!いや!幾ら50本だからってひのきの棒ですぜ?そんなにいりませんよ」

 ひのきの棒など1本50ゴールドでも高いくらいである。50本となると2500ゴールド程度。それを4倍の1万ゴールド払うと言っているのだ。

「分かってるわよ。その代わり、これからも定期的にひのきの棒50本を買うから仕入れをお願いできないかしら?」

 理由は分からないが、サクラはこれからひのきの棒を大量購入の予定らしい。そのため普段より多めにお金を払うようである。

「別に構いませんが…いいんですか?ひのきの棒ですぜ?」

「いいのいいの。どうせ変わんないんだから」

「はぁ…そうですか。とりあえずひのきの棒50本ですね。今用意しますね」

 そう言って店主は店の奥に入って行く。

「あの…」

「ん?なに?」

「多分ですけど、ひのきの棒って僕が使うんですよね?」

「そうよ」

「50本も一気に買う必要なくないですか?」

「…まだ気付いてないの?さっき言ったでしょ?その背負い籠は鞘だって」

「鞘…!」

 ここでダイヤはとあることに察した。

「お待たせしましたー」

 そんな時、店の店主が大量のひのきの棒を持ってきた。

「ありがと、この子の背負い籠に入れてくれない」

「へい」

 そう言われダイヤは後ろを向き、ひのきの棒を背負い籠に入れられる。

「これって…」

「これで貴方は50回の斬撃を放てるわね」

 サクラはニヤッと悪い顔をして笑う。ひのきの棒でも鉄の剣でも伝説の勇者の剣でも1度振っただけで粉々になってしまうなら、1番安くて軽いひのきの棒を大量に持っておけばいい。質より量の力である。

「こ、この発想はなかったです…」

「さ、冒険者ギルドに行きましょ」

「冒険者ギルドですか?」

「そ、これから試しに魔獣を狩っていくのよ」

「…それなら1度お屋敷に戻りませんか?」

「あら。どうして?」

 すると、ダイヤはにっこりと笑う。

「これから沢山の魔獣を狩ることになると思うので、運んでくれる兵士が必要だと思うので」

「…あんたも乗り気になってきたわね!楽しくなりそうだわ」

「僕も久しぶりに全力を出せそうで楽しみです!」

 お互い高揚して屋敷に戻る。

 兵士に指示を出して数十人体制でギルドに赴く。

「すみません、ギルドに加入したいんですけど」

 そう言って受付嬢に手続きを済ませ、すぐさま掲示板を見る。掲示板を一瞬見ると、ダイヤはすぐさまその場を去る。

「どうしたの?」

「え?いや、もう魔獣の場所を覚えたので」

「え?」

「え?」

「…あんた可愛い顔してとんだ戦闘狂だったのね…」

 すぐにでも今の実力を試したいのだろう、ダイヤの目はギラっと光っていた。

 森につくと、ダイヤは屈伸等の準備運動をしながら説明する。

「サクラ様は森の入り口で待っていてください。兵士の皆さんは出来るだけ軽装でいて下さい」

「え?」

「じゃないと僕に追いつけないので」

 そう言うダイヤは悪魔のように笑っていた。思わずその圧で兵士たちは急いで軽装になる。

「準備できましたね。じゃ行きますよ」

 瞬間。ダイヤは一足飛びで数十メートル先に移動する。あまりの出来事で硬直する兵士たちだが。

「お、追いかけなさい!」

 とサクラの一言で我に帰り急いで森の中を走る。

「アハハハハ!」

 ザジュ!ドカン!ドドドッ!

 狂ったような笑いと共に、森の中を爆発的な大きな音が駆け巡る。

 そして、2時間程度が経った頃だろうか、入り口にいたサクラの元にダイヤが帰ってくる。

「あー!楽しかったです!」

 背負い籠のひのきの棒は無くなっていた。

「えーと。なにをしたの?」

「えーと。ゴブリンを212頭。ウルフを114頭。オークを46頭。飛竜を23頭。キングゴブリンが5頭…」

「あ、もう言わなくていいわ」

 桁違いの数に思わず呆れてしまう。

「て言うか逆に50本でよくそこまで出来たわね」

「竜巻起こせばこれくらい余裕ですよ」

「竜巻!?…底が見えないわね…本当に」

 可愛い顔をした悪魔は、満足してお屋敷に帰った。ちなみに死体を回収した兵士たちは深夜まで作業をしていたと言う。

 次の日になると、ギルド職員が屋敷に赴いた。メイドが対応したようだがどうやらダイヤをお呼びらしい。

 ダイヤがギルド職員のところに行くと、職員はにっこりと笑ってた。なんだか気味悪い。

「良いニュースと悪いニュースがあります。どっちから聞きたいですか?」

 職員は笑ったまま質問をする。

「え?それってどう言う…」

「どっちから聞きたいですか?」

 圧が強い。なにをしたか知らないがとりあえず職員に従うことにした。

「い、良いニュースからで」

「ダイヤさんはAランクにギルドランクが上がりました」

「凄いじゃない!」

 素直に喜ぶサクラ。

「あ、ありがとうございます。それで。悪いニュースは?」

「森の生態系が貴方のせいで壊れました。半年間出禁で」

「え!?」

「ぷぷ!」

 ショックを受けるダイヤに笑うサクラ。

「そんな!?僕はこれからどうしたら」

「決定事項ですので。それでは」

 そう言って、それ以上言わずに帰っていく。

「そんな…すいませんサクラ様…僕は…僕は…」

 調子に乗ってしまった。ダイヤにまた「返金」の2文字がよぎる。

「大丈夫よ。今更森なんて行く意味ないし」

「え?じゃあ、これからどうしたから」

「どうしたもなにも…あ、そいえば言ってなかったわね」

 すると、サクラは指を指して強く宣言する。

「ダイヤ!一緒に学校に行くのよ!」
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