勇者の剣を折ったせいで奴隷落ちした僕は、公爵令嬢に買われてひのきの棒で戦うことを提案されました

いとうその

文字の大きさ
7 / 22

7.入学式

しおりを挟む
第7話

「それでは、新入生入場」

 合図とともに新入生が入ってくる。新入生は2列で入場する。右に貴族、左にそれを護衛する騎士である。

「サ、サクラ様…」

「なに?」

 神聖な場の為、2人は小声で話す。

「僕だけ浮いてませんか」

「………」

 他の参列者は重厚な装備や冒険者風の格好をしており、皆自信に溢れている。しかし、ダイヤの学校は騎士と言うより木樵に近い。背中には背負い籠を背負っており、中身は大量のひのきの棒。まるで山に芝刈りをして帰ってきた少年のようだった。

 ちなみに右側の貴族達はサクラも合わせて指定された綺麗な制服を着ている。

 どうやら周りもダイヤに気付いて、ざわついている。

「…ね」

「ね。じゃないですよ…」

 ダイヤは周りの温度差に恥ずかしさすら感じ始めてきた。新入生が入場し、準備してある席に座る。すると、司会進行をしている男が話し始める。

「それでは、新入生代表として、サクラ=フィル=ルーンライト様よりご挨拶をいただきます」

「はい」

 すると、サクラは立ち上がって台に上がる。

「へ?」

 いきなりのことで困惑するダイヤ。台上にいるサクラは喋り始める。

「この度は私たちの門出に集まっていただきありがとうございます」

 それからは、ダイヤには分からない難しい言葉をサクラが話し続けていた。そして、挨拶が終わると一礼して台から降りてくる。

「へ?」

「びっくりした?」

 サクラは悪戯が成功したように笑う。

「教えておいてくださいよ…」

「貴方のそう言う顔が見たかったからね」

 サクラは笑い続ける。

 その後も、入学式は続き、特にそれ以上に何事もなく終了した。

「えっと…この後は教室で自己紹介ですよね?」

「そ、騎士達は教室の後ろにいる感じね」

「分かりました!」

 そう言うわけで、校舎の中に入り、1年B組の教室に入る。ここがサクラの教室である。サクラが教室の椅子に座り、ダイヤは教室の後ろに待機する。大勢の騎士達が待機しており、ぎゅうぎゅうになる。

「ちょ!ちょ!」

 ぎゅうぎゅうに詰められて身動きが取れなくなる。両隣にいる騎士は「ぷっ」と笑っていた。

 そんなことをしていると、担任の教師らしき眼鏡をかけた老婆が入ってくる。

「はい。皆さん。この度はご入学おめでとうございます」

 その後、ありきたりな話をした後に、自己紹介の話になった。

 次々と貴族の少年少女が挨拶すると、ついにサクラの順番になった。

「続いて、サクラ=フィル=ルーンライトさん。自己紹介をお願いします」

「はい」

 そう言って立ち上がる。周りがざわつく。

「私はサクラ=フィル=ルーンライト。東大陸を納めてるルーンライト家の令嬢。見ての通り、貴方達とは一線違う超貴族だけど。普通にサクラと呼んでくれると助かるわ」

 サクラが大袈裟に挨拶する。それに、ダイヤは耳を疑った。東大陸を納めている?確かにお屋敷は豪華なものだったが、まさかそんな大貴族だったとは思っていなかったのだ。

「それと。私の騎士を紹介するわ」

「ふぇ?」

 未だに挟まれているため、情けない声を上げる。

「…あそこで挟まれて、木樵っぽい格好してるのが私の騎士のダイヤ。あんなんでも、この中にいる2.3流の騎士とはレベルが違うわ。あんまり舐めてると殺されるかもしれないから気をつけてね」

 そうニッコリ笑ってそのまま座る。

「い、いや!そんなことしないですって!」

 ダイヤは必死に訴えるが、時すでに遅し、周りにいる騎士はすごい殺意をダイヤに向ける。思わず縮こまる。

「す、素敵な自己紹介ありがとうございました。続いて…」

 そう言ってどんどん自己紹介が終わっていく。その間も、ダイヤは殺意とぎゅうぎゅうで精神的にも物理的にも押しつぶされそうになっていた。

 一頻り自己紹介が終わり、担任の話も終わると、今日はこれで終わりとなった。席を立ち、ダイヤの元へ向かうサクラ。ダイヤも生徒達と騎士がいなくなり、やっとぎゅうぎゅうから解放されたところであった。

「ひ、酷いですよ!サクラ様!あんな自己紹介!」

「だって本当のことでしょ?」

「そうかもしれないですけど…」

「あ、否定はしないのね」

 ダイヤは軍事国家の元団長である。こんなところにいる騎士に遅れを取るとは思えない。それは真実である。

「あら、サクラさん」

 そこに、とある女性に声がかけられる。赤髪のセミロングに、胸がでかい女性はサクラと同じ制服を着ている。そういえば同じクラスにいた生徒である。

「…また面倒なのが」

 するとサクラはそっぽを向く。

「何か言いました?」

「いえ、なにも」

 サクラは笑顔で返す。

「それにしても、サクラさんが同じ学校とは驚きました。これからは仲良くしましょうね」

 そう言って赤髪はサクラに向けて手を出す。

「はぁ…そんな気はないくせによくそんな言葉が言えるわね。アケビ」

 アケビと呼ばれた少女は胸を強調する様に仁王立ちをする。

「まあ、そんなことないですよ。それにしてもサクラさんがそんな弱そうな騎士を連れてとっても可哀想です」

「…なんですって?」

 サクラはアケビに向けて敵意を向けるように目をギラっと睨む。

「あら?聞こえませんでしたか?こんな弱そうな騎士を連れているサクラさんが可哀想だなって思っただけです」

 なんだか険悪なムードである。すると、サクラはポケットにしまっていた手袋をアケビに向けて当てる。

「そんなことを言うのなら…決闘をしましょう!」

「え?」

「騎士同士の決闘を示す手袋ですか…いいでしょう。後悔しても遅いですよ!」

 どうやら手袋を当てるのが決闘の印らしあ。ダイヤの意見など関係なしに、騎士同士の決闘が始まるようである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。

ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」 実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて…… 「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」 信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。 微ざまぁあり。

処理中です...