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8.騎士同士の決闘
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第8話
「なんだなんだ?」
「入学初日に決闘だってよ!」
「しかも東大陸のルーンライト家と西大陸のローレライ家の決闘らしいぜ」
「まじかよ、格付けってことか?」
「おい!そんなこと言うなよ。万が一聞かれてたら、ただじゃ済まないぞ」
校庭の真ん中でサクラとアケビは対立していた。それを校舎の中でガヤガヤと喋りながら見ている他の貴族や騎士達。
「あの…サクラ様。なんか西大陸のローレライ家とか聞こえるんですけど」
「え?そんなこと聞こえたの?ダイヤ耳いいのね」
ダイヤは有象無象の声を聞き分ける聴力をしていた。聴力は戦場において重要なものとなっているため、ダイヤは数十人の話を聞き取れるように訓練していた。
「まあ、尺だけどその通りね。私が東大陸を納めてるルーンライト家で超貴族なんだけど。あのアケビも西大陸を納めてるローレライ家の超貴族なのよ」
「そんな人といきなり決闘するんですか!?」
貴族にも位があるのだろうが、その中でもサクラやアケビは超が付くほどの貴族なのだろう。なにせ自分から超貴族と名乗っている程である。
「西と東は結構仲が悪くてね。特にアケビはよく私に突っかかってくるのよ」
そう言いながら溜息を吐いた。
「でも今回吹っかけたのはサクラ様からですよね?」
「だって…」
サクラは拗ねたように答える。
「だって貴方を馬鹿にされたのよ…そんなの許せないに決まってるじゃない」
「サクラ様…」
サクラはダイヤの強さを信頼している。それを頭から否定されたのだ。サクラは内心穏やかではないだろう。
すると、ダイヤはサクラに跪く。
「このダイヤ!今回の決闘で必ずや勝ってませましょう!」
信頼には信頼で返すのだ。ダイヤは忠誠を誓うように約束する。
「あら、そちらだけで盛り上がって…まだ私の騎士も見てないのによくそんなことが言えますね」
アケビが腕を組んで胸を張る。恐らくだが、サクラはそんなに胸はない。当て付けのために毎回そんなポーズをしているのだ。
「そいえばまだあんたの騎士が見当たらないわね」
「ふふふ」
サクラの反応に不敵に笑うアケビ。
「私の騎士ならあそこにいます!」
そう言ってビシッと屋上に指を指す。
「とう!」
ダイヤとサクラが声の方に顔を向けると、屋上から飛び降りてくる騎士の姿が見えた。
「ズシン!」と着地すると、その反動からか、数秒動けず、プルプルしているが、その後立ち上がり金髪のイケメン顔が見える。その男は自己紹介を始める。
「お初にお目にかかります。私はアケビ=ルン=ローレライ様の騎士である。ガーバと申し…あ」
「あ」
金髪イケメンことガーバとサクラの目が合う。そう、2人は初対面じゃないのだ。
「15点じゃん」
「誰が15点だ!?」
せっかく格好いい登場をしたのに、情けない顔を見せるガーバ。
「何? ガーバ。あなたサクラと知り合いなんですか?」
「い、いや。それはですね…」
「アケビこそ、なんでこんなのを騎士にしてるの?」
「え?だってイケメ…強い騎士ですもの」
「…そうだったわね…あなたは面食いだったわね」
なんだか落胆するような態度をとる。
「誰が面食いですか!?」
アケビもプンプンと怒り出す。
「ガーバも何か言って下さい!」
「いや…その…」
サクラを見て急に塩らしくなるガーバ。過去の経験で15点と評価されたガーバはサクラにトラウマがあるかもしれない。
「…ん?」
しかし、ガーバは目の前にいる木樵の少年を見て指を指す。
「その少年は?」
「あちらの騎士のようです」
「はい?」
ガーバは思わず少年を2度見する。すると、高らかに笑い出す。
「ハハ!ハハハ!どうやら私にあんな点数をつけておきながら。こんな少年を騎士にしたとは…笑わせてくれる!」
恐らくガーバは同じような点数を出して、結果良い騎士には会えなかったとでも思っているのだろう。それで結果、こんな木樵の少年を急遽騎士にしたと、そんなことを考えているのだろう。
だが、その木樵の正体は軍事国家の元団長様なのである。
「はぁ…何か勘違いしてるようね」
それを察したサクラは溜息を吐いて、言葉を続ける。
「…確かに、このダイヤは100点満点中100点じゃないわ…」
「え?」
ダイヤは消して自己評価を高くする人間ではないが、100点じゃなかったのかと少しショックを受ける。
「100点満点中…100万点の騎士よ!」
「ええ!?」
言われたダイヤ自身が1番驚きを見せる。
「ハハハ!そんな詭弁はいいのですよ!さっさと初めて私にあんな点数をつけたことを後悔してもらいましょう」
そう言ってガーバはご自慢の大剣を構える。アケビは後ろに下がって騎士の対戦を見守る。
「ダイヤ。ちょっといい?」
「はい?」
そう言ってダイヤに耳打ちをする。
「…て言うのはどう?」
どうやらサクラはダイヤに作戦を持ちかけているようである。
「そ、それはあまりに酷では?」
「私の騎士である貴方を侮辱したのよ!それくらい当然だわ!」
どうやらサクラはダイヤを侮辱したことについて、かなり怒りを表していたらしい。それを素直に嬉しく思うダイヤがいたのであった。
「…分かりました。やってみますね」
ダイヤは笑いながら答え、ガーバと対峙するために前に出る。
「言っておくが、手加減は出来ないぞ」
「それは僕のセリフですよ。サクラ様に言われたのですから」
そうして、バチバチに闘志を燃やしながら騎士達はお互いを見つめていた。
「なんだなんだ?」
「入学初日に決闘だってよ!」
「しかも東大陸のルーンライト家と西大陸のローレライ家の決闘らしいぜ」
「まじかよ、格付けってことか?」
「おい!そんなこと言うなよ。万が一聞かれてたら、ただじゃ済まないぞ」
校庭の真ん中でサクラとアケビは対立していた。それを校舎の中でガヤガヤと喋りながら見ている他の貴族や騎士達。
「あの…サクラ様。なんか西大陸のローレライ家とか聞こえるんですけど」
「え?そんなこと聞こえたの?ダイヤ耳いいのね」
ダイヤは有象無象の声を聞き分ける聴力をしていた。聴力は戦場において重要なものとなっているため、ダイヤは数十人の話を聞き取れるように訓練していた。
「まあ、尺だけどその通りね。私が東大陸を納めてるルーンライト家で超貴族なんだけど。あのアケビも西大陸を納めてるローレライ家の超貴族なのよ」
「そんな人といきなり決闘するんですか!?」
貴族にも位があるのだろうが、その中でもサクラやアケビは超が付くほどの貴族なのだろう。なにせ自分から超貴族と名乗っている程である。
「西と東は結構仲が悪くてね。特にアケビはよく私に突っかかってくるのよ」
そう言いながら溜息を吐いた。
「でも今回吹っかけたのはサクラ様からですよね?」
「だって…」
サクラは拗ねたように答える。
「だって貴方を馬鹿にされたのよ…そんなの許せないに決まってるじゃない」
「サクラ様…」
サクラはダイヤの強さを信頼している。それを頭から否定されたのだ。サクラは内心穏やかではないだろう。
すると、ダイヤはサクラに跪く。
「このダイヤ!今回の決闘で必ずや勝ってませましょう!」
信頼には信頼で返すのだ。ダイヤは忠誠を誓うように約束する。
「あら、そちらだけで盛り上がって…まだ私の騎士も見てないのによくそんなことが言えますね」
アケビが腕を組んで胸を張る。恐らくだが、サクラはそんなに胸はない。当て付けのために毎回そんなポーズをしているのだ。
「そいえばまだあんたの騎士が見当たらないわね」
「ふふふ」
サクラの反応に不敵に笑うアケビ。
「私の騎士ならあそこにいます!」
そう言ってビシッと屋上に指を指す。
「とう!」
ダイヤとサクラが声の方に顔を向けると、屋上から飛び降りてくる騎士の姿が見えた。
「ズシン!」と着地すると、その反動からか、数秒動けず、プルプルしているが、その後立ち上がり金髪のイケメン顔が見える。その男は自己紹介を始める。
「お初にお目にかかります。私はアケビ=ルン=ローレライ様の騎士である。ガーバと申し…あ」
「あ」
金髪イケメンことガーバとサクラの目が合う。そう、2人は初対面じゃないのだ。
「15点じゃん」
「誰が15点だ!?」
せっかく格好いい登場をしたのに、情けない顔を見せるガーバ。
「何? ガーバ。あなたサクラと知り合いなんですか?」
「い、いや。それはですね…」
「アケビこそ、なんでこんなのを騎士にしてるの?」
「え?だってイケメ…強い騎士ですもの」
「…そうだったわね…あなたは面食いだったわね」
なんだか落胆するような態度をとる。
「誰が面食いですか!?」
アケビもプンプンと怒り出す。
「ガーバも何か言って下さい!」
「いや…その…」
サクラを見て急に塩らしくなるガーバ。過去の経験で15点と評価されたガーバはサクラにトラウマがあるかもしれない。
「…ん?」
しかし、ガーバは目の前にいる木樵の少年を見て指を指す。
「その少年は?」
「あちらの騎士のようです」
「はい?」
ガーバは思わず少年を2度見する。すると、高らかに笑い出す。
「ハハ!ハハハ!どうやら私にあんな点数をつけておきながら。こんな少年を騎士にしたとは…笑わせてくれる!」
恐らくガーバは同じような点数を出して、結果良い騎士には会えなかったとでも思っているのだろう。それで結果、こんな木樵の少年を急遽騎士にしたと、そんなことを考えているのだろう。
だが、その木樵の正体は軍事国家の元団長様なのである。
「はぁ…何か勘違いしてるようね」
それを察したサクラは溜息を吐いて、言葉を続ける。
「…確かに、このダイヤは100点満点中100点じゃないわ…」
「え?」
ダイヤは消して自己評価を高くする人間ではないが、100点じゃなかったのかと少しショックを受ける。
「100点満点中…100万点の騎士よ!」
「ええ!?」
言われたダイヤ自身が1番驚きを見せる。
「ハハハ!そんな詭弁はいいのですよ!さっさと初めて私にあんな点数をつけたことを後悔してもらいましょう」
そう言ってガーバはご自慢の大剣を構える。アケビは後ろに下がって騎士の対戦を見守る。
「ダイヤ。ちょっといい?」
「はい?」
そう言ってダイヤに耳打ちをする。
「…て言うのはどう?」
どうやらサクラはダイヤに作戦を持ちかけているようである。
「そ、それはあまりに酷では?」
「私の騎士である貴方を侮辱したのよ!それくらい当然だわ!」
どうやらサクラはダイヤを侮辱したことについて、かなり怒りを表していたらしい。それを素直に嬉しく思うダイヤがいたのであった。
「…分かりました。やってみますね」
ダイヤは笑いながら答え、ガーバと対峙するために前に出る。
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そうして、バチバチに闘志を燃やしながら騎士達はお互いを見つめていた。
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