3 / 3
魔力検査
しおりを挟むナターシャとして生を受けてから早いことで6年が経った。殿下を探さなければいけないことはわかっているのだが、私は弱いままの自分では殿下に会いたくはなかった。5歳の頃と比べて、筋肉のつきも良くなってきたと思われる。ついこの間、6歳になったということで陛下からお許しがでて木剣ではなく真剣を持つことが可能になった。6歳で真剣を持つということはかなり異例の事態らしく、私の鍛錬の際はかなりの医師たちが付き添っている。正直言ってやりずらい。だが、皇女という立場を考えれば妥当なのだろう。そして、今日も今日とて鍛錬に勤しもうとしていた時、侍従からあることを伝えられた。
「魔力検査?」
「はい。左様でございます。この国では6歳になった際、一律として魔力検査を受けなければなりません」
そんなものルージュとして生きていた時代はなかったのだが。いやあったのかもしれないな。私がそういう場にいなかっただけで。
「そうか。わかった。だが魔力検査にはどんな意味があるんだ」
「少し長くなってしまうので、どうぞ殿下はお掛けください」
「そうか、ではあなたも座るといい」
そう私が言えば、目の前の侍従は目を見開いた。
「なぜ、座らない」
「殿下の目の前に座るなど畏れ多いです」
「なるほど、なら目の前ではない場所に座るといい」
侍従はさらに困ったような表情をした。あぁ、そうか。私もこのような経験があったな。そう私はふと過去のことを思い出した。私も目の前の侍従みたいに、殿下に言われた時は困惑していたな。自然と頬がふっと緩む。なら、彼女に無理強いはできないな。
「申し訳ない、あなたが好きな姿勢で話してくれ」
「殿下のお心遣い感謝致します」
深く彼女は礼をし、話し始めた。
「このランチェード大陸では魔法を使うための魔力が存在していることはご存知ですか?」
「あぁ。数千年前に突如使用することが可能になった、と聞いている」
私がルージュとして生きていた時代にはなかった概念だった。ここで生まれてから数日、侍従たちが不思議な力を使っていたのを見て、あぁあれはここ最近生まれた技術なのだなと思ったのを覚えている。だが実際にはルージュとして生きていた時代と変わらない時代に生まれたものだった。
「そうでございます。魔法を使用する際には、それに応じた魔力を消費いたします。その魔力とは生まれながらにして持てる量が決まっております」
難易度の高く、豪華である魔法を使うには、かなりの魔力を消費しなければならない。ならば、生まれつき魔力量が少ないものは、一生涯そういった魔法を使えないのかと言ったら必ずしもそうとは言えない。なぜなら、鍛錬をすることで少しずつ魔力量を増やすことができるからだ。ただし、その鍛錬というものが非常に危険で最悪の場合命を落とすことがあるため、試した者は少なく確実とまでは言えないのだ。
「魔力は便利なものであり、その反面危険なものでもあります。殿下はご存じでしょうか。魔力が暴走してしまう事例があることを」
「魔力が暴走……それは初耳だ」
私は彼女の言葉を聞いて少し考え始めた。魔力の暴走、か。魔力を使えば必ず魔力は元あったように回復する。だが、それが永遠と回復し続けてしまったら…?魔力の暴走はそうやって考えるのが自然だろうか。とりあえずちゃんと話を聞くか。
「すまない、少し考え込んでしまった」
「考えはまとまりましたでしょうか」
「あぁ、とりあえずは」
そう答えれば、彼女は笑ってただこちらを見る。なるほど、一度話してみろと言っているのか。
「私は、魔力の許容量を超えて魔力を回復してしまうから魔力の暴走が起こってしまうのだろうと。そう考えたのだが……」
話終わった後、彼女を伺ってみれば、顎に手を置き考え込んでいる姿勢を見せていた。何か私は変なことを言ったのだろうか、そう確認しようと口を開きかけたその時彼女は私の方へ前進し目を輝かせた。
「素晴らしいお考えでございます!」
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
気がついたら自分は悪役令嬢だったのにヒロインざまぁしちゃいました
みゅー
恋愛
『転生したら推しに捨てられる婚約者でした、それでも推しの幸せを祈ります』のスピンオフです。
前世から好きだった乙女ゲームに転生したガーネットは、最推しの脇役キャラに猛アタックしていた。が、実はその最推しが隠しキャラだとヒロインから言われ、しかも自分が最推しに嫌われていて、いつの間にか悪役令嬢の立場にあることに気づく……そんなお話です。
同シリーズで『悪役令嬢はざまぁされるその役を放棄したい』もあります。
夫が大変和やかに俺の事嫌い?と聞いてきた件について〜成金一族の娘が公爵家に嫁いで愛される話
はくまいキャベツ
恋愛
父親の事業が成功し、一気に貴族の仲間入りとなったローズマリー。
父親は地位を更に確固たるものにするため、長女のローズマリーを歴史ある貴族と政略結婚させようとしていた。
成金一族と揶揄されながらも社交界に出向き、公爵家の次男、マイケルと出会ったが、本物の貴族の血というものを見せつけられ、ローズマリーは怯んでしまう。
しかも相手も値踏みする様な目で見てきて苦手意識を持ったが、ローズマリーの思いも虚しくその家に嫁ぐ事となった。
それでも妻としての役目は果たそうと無難な日々を過ごしていたある日、「君、もしかして俺の事嫌い?」と、まるで食べ物の好き嫌いを聞く様に夫に尋ねられた。
(……なぜ、分かったの)
格差婚に悩む、素直になれない妻と、何を考えているのか掴みにくい不思議な夫が育む恋愛ストーリー。
ニュクスの眠りに野花を添えて
獅子座文庫
恋愛
過去のトラウマで人前で声が出せなくなった伯爵令嬢ラニエラ・アンシルヴィアは辺境の男爵、オルテガ・ルファンフォーレとの政略結婚が決まってしまった。
「ーーあなたの幸せが此処にない事を、俺は知っています」
初めて会った美しい教会で、自身の為に一番美しく着飾った妻になる女の、真っ白なヴェールを捲る男は言う。
「それでもあなたには此処にいてもらうしかない」
誓いの口づけを拒んだその口で、そんな残酷なことを囁くオルテガ。
そしてラニエラの憂鬱な結婚生活が始まったーーーー。
【完結】悪役令嬢は何故か婚約破棄されない
miniko
恋愛
平凡な女子高生が乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。
断罪されて平民に落ちても困らない様に、しっかり手に職つけたり、自立の準備を進める。
家族の為を思うと、出来れば円満に婚約解消をしたいと考え、王子に度々提案するが、王子の反応は思っていたのと違って・・・。
いつの間にやら、王子と悪役令嬢の仲は深まっているみたい。
「僕の心は君だけの物だ」
あれ? どうしてこうなった!?
※物語が本格的に動き出すのは、乙女ゲーム開始後です。
※ご都合主義の展開があるかもです。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。
【完結】婚約者なんて眼中にありません
らんか
恋愛
あー、気が抜ける。
婚約者とのお茶会なのにときめかない……
私は若いお子様には興味ないんだってば。
やだ、あの騎士団長様、素敵! 確か、お子さんはもう成人してるし、奥様が亡くなってからずっと、独り身だったような?
大人の哀愁が滲み出ているわぁ。
それに強くて守ってもらえそう。
男はやっぱり包容力よね!
私も守ってもらいたいわぁ!
これは、そんな事を考えているおじ様好きの婚約者と、その婚約者を何とか振り向かせたい王子が奮闘する物語……
短めのお話です。
サクッと、読み終えてしまえます。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる