2 / 143
1章 冒険の始まり
1話 いざ、ナチュラルワールドオンライン(NWO)の世界へ! 1
しおりを挟む
俺は志田 良太
園芸店で店長をしている四十歳の園芸家であり、そしてRPG系のゲームが好きなゲーマーでもある。
六月一日の今日、ついに待ち望んでいたゲーム『ナチュラルワールドオンライン』(通称NWO)のリメイク版が発売された。
ナチュラルワールドオンラインは四年前にVRMMO RPGというジャンルのゲームとして発売された。
このゲームは自由なプレイスタイルが売りで、プレイヤーには戦士や魔法使い等のいわゆる職業が存在しない。
その代わりに多種多様なスキルがあり、スキルを習得する事で冒険はもちろん、料理 鍛冶 錬金 裁縫 木工 etc……
様々な生産職業を体験することも出来る。
冒険者として未知の世界を旅するもよし、職人や商売人として過ごすもよしと、プレイヤーの夢が現実に出来る世界だ。
しかし既存のハードでは
[操作しにくい 凄く目が疲れる 戦闘が難しすぎる]
など、良い評判はあまりなかった。
俺も鍛冶や商売をメインにプレイはしていたが、仕事で疲れた後に操作しにくい状態での長時間プレイは出来ず……
いつの間にか放置してしまっていた。
内容自体は結構気に入っていたが、こちらは操作しにくいのに敵は素早く動く。
戦闘が難し過ぎて断念したというのも、理由の一つだ。
敵からの素材が手に入り難かったら、鍛冶も商売も満足に出来ないから……
そして二年前、新たに発売されたVRコネクトというハード。
これによってVR世界は大きな発展を遂げた。
既存のVRのゲームはヘッドセットの形状の物が多く、頭部が重くなりがちだ。
操作するにもヘッドセットについているボタンの操作が主なので
[操作しにくい、首が痛くなる、目が非常に疲れる]
などの改良を求む声が沢山寄せられていたらしい。
VRコネクトはゴーグルと手袋がセットになったような機械により、仮想現実の世界にて冒険ができるという画期的なものだった。
仮想現実の世界での移動は実際に体を動かすのとほぼ変わらず、コントローラー無しでゲームが出来るようなものだ。
VRコネクトが発売されてから、様々なゲームのリメイク版が対応ソフトとして登場した。
どんなジャンルも初回生産分は数日で完売するほどの人気だったのだが──RPG物の人気は、更に桁違いだった。
オンラインではないものの、ゲームの世界に入ることができて、ボタン操作ではなく実際に自分の体を動かして冒険が出来る……
RPG好きには待望の機能だったからだ。
VRコネクト対応のRPG物は、初回生産分の即日完売は当たり前で、時には販売開始から三十分しない内に完売という事もあった。
VRコネクト自体も常に品薄で、入荷するそばからすぐに完売。
定価は三十万なのだが、インターネットでは四十五万が最安値という状況が発売から二年経った今も続いている。
去年の秋頃、ナチュラルワールドオンラインがVRコネクト対応でシステムを一新して開発中
という情報が出回りはじめてから、俺は休みの日を使って家電販売店をひたすらに巡った。
そして今年に入って四月、新品のVRコネクトを遂に手に入れる事が出来た。
この日はテンションが上がり過ぎて叫んでしまい、隣人にうるさいと怒られてしまった事は記憶に新しい……
後はNWOの発売を待つばかりだったのだが、初回販売数は八千個と少なく……入手は難しいと予想された。
数が少ないのは、VRコネクト初のオンラインRPGなので初期のバグを警戒してのことだろうか……
幸いにも仕事の有給を使い、三日徹夜で並んだ甲斐があってNWOを買うことが出来た。
ソフトが手に入った俺は、連日の徹夜で痛んだ体と懐具合の事も忘れて小躍りした。
遂に……子供の頃から憧れていた、ゲームの世界に入って冒険が出来るぞ!
確か、ゲームがプレイが出来るようになるのは──
午後三時から……だったかな?
今はまだ十時二十五分。
休みは明日まで取ってあるし、色々準備しておこうかな。
そう考えた俺は近所にあるスーパーに向かい、食材を買い込んで独り暮しのマンションに帰宅した。
マンションに着いて、上がったテンションのまま階段を駆け足で登っていると、二階の踊り場を通過する際に──
「わっ!」
「……っ!」
曲がり角で人にぶつかりかけてしまった……
「すみません! 大丈夫でしたか……?」
俺は申し訳ないと思い声を掛けたが、無言で鋭い視線が返ってきて心臓が縮み上がってしまった……
お隣に住む一人暮らしの女性だったのだ……
「志田さん、こんにちは」
「は、はい! こんにちは……」
「階段や廊下を走らないようにって、張り紙……してありますよね?」
冷たい目線と、怒気を含んだ声に冷や汗がだらだらと出始める……
「申し訳ありません! 嬉しいことがあって、つい……」
「ついじゃないですよ! いい年して子供みたいに……恥ずかしくないんですか!?」
更に怒らせてしまい、凹んでいると──
「……少々大声を出し過ぎてしまったようですね……」
お隣さんの声に周りを見ると、玄関のドアからこちらを覗いてる人がちらほらと見受けられた。
「志田さん、次からは気を付けてくださいね? では、失礼します」
若干冷静になった口調でそう言うと、お隣さんは早足に去っていった。
その背中に「以後、気を付けます」と声を掛けた俺は、冷静さを装って階段をゆっくりと登った。
三階の自分の部屋に入った俺は、コップに水を入れて一口で飲み干した。
「はぁ~……まいったまいった……」
溜め息をついた俺は、吹き出た汗をタオルで拭いて座り込む。
「また怒らせちゃったな……今回も、明らかに俺が悪いけど……」
以前から色々と怒られていた俺は、お隣さんに頭が上がらない。
ベランダに置いている植物の蔓がお隣のベランダに入ってしまった時から色々怒られるようになっちゃったんだよな……
色々と気を付けないと。
園芸店で店長をしている四十歳の園芸家であり、そしてRPG系のゲームが好きなゲーマーでもある。
六月一日の今日、ついに待ち望んでいたゲーム『ナチュラルワールドオンライン』(通称NWO)のリメイク版が発売された。
ナチュラルワールドオンラインは四年前にVRMMO RPGというジャンルのゲームとして発売された。
このゲームは自由なプレイスタイルが売りで、プレイヤーには戦士や魔法使い等のいわゆる職業が存在しない。
その代わりに多種多様なスキルがあり、スキルを習得する事で冒険はもちろん、料理 鍛冶 錬金 裁縫 木工 etc……
様々な生産職業を体験することも出来る。
冒険者として未知の世界を旅するもよし、職人や商売人として過ごすもよしと、プレイヤーの夢が現実に出来る世界だ。
しかし既存のハードでは
[操作しにくい 凄く目が疲れる 戦闘が難しすぎる]
など、良い評判はあまりなかった。
俺も鍛冶や商売をメインにプレイはしていたが、仕事で疲れた後に操作しにくい状態での長時間プレイは出来ず……
いつの間にか放置してしまっていた。
内容自体は結構気に入っていたが、こちらは操作しにくいのに敵は素早く動く。
戦闘が難し過ぎて断念したというのも、理由の一つだ。
敵からの素材が手に入り難かったら、鍛冶も商売も満足に出来ないから……
そして二年前、新たに発売されたVRコネクトというハード。
これによってVR世界は大きな発展を遂げた。
既存のVRのゲームはヘッドセットの形状の物が多く、頭部が重くなりがちだ。
操作するにもヘッドセットについているボタンの操作が主なので
[操作しにくい、首が痛くなる、目が非常に疲れる]
などの改良を求む声が沢山寄せられていたらしい。
VRコネクトはゴーグルと手袋がセットになったような機械により、仮想現実の世界にて冒険ができるという画期的なものだった。
仮想現実の世界での移動は実際に体を動かすのとほぼ変わらず、コントローラー無しでゲームが出来るようなものだ。
VRコネクトが発売されてから、様々なゲームのリメイク版が対応ソフトとして登場した。
どんなジャンルも初回生産分は数日で完売するほどの人気だったのだが──RPG物の人気は、更に桁違いだった。
オンラインではないものの、ゲームの世界に入ることができて、ボタン操作ではなく実際に自分の体を動かして冒険が出来る……
RPG好きには待望の機能だったからだ。
VRコネクト対応のRPG物は、初回生産分の即日完売は当たり前で、時には販売開始から三十分しない内に完売という事もあった。
VRコネクト自体も常に品薄で、入荷するそばからすぐに完売。
定価は三十万なのだが、インターネットでは四十五万が最安値という状況が発売から二年経った今も続いている。
去年の秋頃、ナチュラルワールドオンラインがVRコネクト対応でシステムを一新して開発中
という情報が出回りはじめてから、俺は休みの日を使って家電販売店をひたすらに巡った。
そして今年に入って四月、新品のVRコネクトを遂に手に入れる事が出来た。
この日はテンションが上がり過ぎて叫んでしまい、隣人にうるさいと怒られてしまった事は記憶に新しい……
後はNWOの発売を待つばかりだったのだが、初回販売数は八千個と少なく……入手は難しいと予想された。
数が少ないのは、VRコネクト初のオンラインRPGなので初期のバグを警戒してのことだろうか……
幸いにも仕事の有給を使い、三日徹夜で並んだ甲斐があってNWOを買うことが出来た。
ソフトが手に入った俺は、連日の徹夜で痛んだ体と懐具合の事も忘れて小躍りした。
遂に……子供の頃から憧れていた、ゲームの世界に入って冒険が出来るぞ!
確か、ゲームがプレイが出来るようになるのは──
午後三時から……だったかな?
今はまだ十時二十五分。
休みは明日まで取ってあるし、色々準備しておこうかな。
そう考えた俺は近所にあるスーパーに向かい、食材を買い込んで独り暮しのマンションに帰宅した。
マンションに着いて、上がったテンションのまま階段を駆け足で登っていると、二階の踊り場を通過する際に──
「わっ!」
「……っ!」
曲がり角で人にぶつかりかけてしまった……
「すみません! 大丈夫でしたか……?」
俺は申し訳ないと思い声を掛けたが、無言で鋭い視線が返ってきて心臓が縮み上がってしまった……
お隣に住む一人暮らしの女性だったのだ……
「志田さん、こんにちは」
「は、はい! こんにちは……」
「階段や廊下を走らないようにって、張り紙……してありますよね?」
冷たい目線と、怒気を含んだ声に冷や汗がだらだらと出始める……
「申し訳ありません! 嬉しいことがあって、つい……」
「ついじゃないですよ! いい年して子供みたいに……恥ずかしくないんですか!?」
更に怒らせてしまい、凹んでいると──
「……少々大声を出し過ぎてしまったようですね……」
お隣さんの声に周りを見ると、玄関のドアからこちらを覗いてる人がちらほらと見受けられた。
「志田さん、次からは気を付けてくださいね? では、失礼します」
若干冷静になった口調でそう言うと、お隣さんは早足に去っていった。
その背中に「以後、気を付けます」と声を掛けた俺は、冷静さを装って階段をゆっくりと登った。
三階の自分の部屋に入った俺は、コップに水を入れて一口で飲み干した。
「はぁ~……まいったまいった……」
溜め息をついた俺は、吹き出た汗をタオルで拭いて座り込む。
「また怒らせちゃったな……今回も、明らかに俺が悪いけど……」
以前から色々と怒られていた俺は、お隣さんに頭が上がらない。
ベランダに置いている植物の蔓がお隣のベランダに入ってしまった時から色々怒られるようになっちゃったんだよな……
色々と気を付けないと。
17
あなたにおすすめの小説
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思うので、第二の人生を始めたい! P.S.逆ハーがついてきました。
三月べに
恋愛
聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思う。だって、高校時代まで若返っているのだもの。
帰れないだって? じゃあ、このまま第二の人生スタートしよう!
衣食住を確保してもらっている城で、魔法の勉強をしていたら、あらら?
何故、逆ハーが出来上がったの?
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる