園芸店店長、ゲーム世界で生産にハマる!

緑牙

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1章 冒険の始まり

2話 いざ、ナチュラルワールドオンライン(NWO)の世界へ! 2

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 さて、気を取り直して……今は十二時少し前か。 先にダウンロードだけ済ませて汗を流したら昼食を作ろう。

 先ほど購入したNWOのパッケージを開け、中からmicroSDカードと同じくらいの大きさのソフトを取り出すと、VRコネクトのゴーグルの上部分に差し込む。

 VRコネクト自体はすでにコンセントに繋いであるからすぐに起動音がして、必要なデータのダウンロードが始まったようだ。



 その後シャワーを浴びてすっきりした俺は、料理に取り掛かる。

 今日は手早く作れる、オクラとニラとベーコンの炒め物とほうれん草と豆腐の味噌汁でいいかな。

 網戸を開けてベランダに出ると、まずプランターで栽培しているニラを三株程地表から二センチ辺りで切り取った。次にほうれん草を二株根ごと引き抜いて、土を落としたら室内に戻る。



 通常スーパー等で取り扱っている野菜は、収穫されてから数日経過して店に到着して出されている。当然栄養は流失したり、配送状況によっては野菜が傷んでしまうこともある。

 しかし採りたての野菜は栄養の流失も少ないし、何より味が濃くて美味しい。

 ほうれん草は細かい根のみ取り除いて水でさっと洗ってから熱湯に入れ、灰汁あく抜きをする。一旦お湯を捨て、沸騰するまでに野菜とベーコンを一口サイズにカット。

 あとはフライパンで野菜とベーコンを炒めながら、鍋にだし入り味噌と具を入れて──数分で炒め物と味噌汁の二品が完成した。


「いただきます!」


 ご飯をよそって食べ始める。 味噌汁は二種類しか具は入れてないが、好きな具だから気にはならない。

 もぐもぐと食べながら、ちょっと味噌が濃かったな……次は気を付けよう。などと考えつつ食事を終えると、時間はすでに午後一時三十分。


「後一時間半かぁ……」


 夕御飯はおにぎりにするつもりだし、先に作っておきたいので早速食器を洗う。

 三種類のおにぎりを作ったら皿に乗せてラップをかけておき、炊飯釜と茶碗を洗う。これで洗い物は終わりだ。


「あ、確かキャラクター作成だけは先に出来るんだったよな……」


 それを思い出した俺は、ログインの準備をすることにした。といっても、さほど面倒な手順があるわけではない。

 起きた時に不快な思いをしないために、トイレを済ませ、エアコンを調節し、コップ1杯の水を飲み、接触冷感の敷き布団カバーをセットした布団に横になれば準備は完了だ。



 VRコネクトを頭と両手にセットして目を閉じ、ゴーグルの横にある電源ボタンを手探りで押し込む。

 起動した音がして、機械的な音声が「起動コマンドを発声してください」と言ってきた。一言「ログイン」と声を出すと、機械の作動音と共に若干のめまいのようなものを感じた。



 機械の作動音が遠ざかったのでゆっくりと目を開けると、見晴らしがいい草原のような部屋の真ん中に立っていた。

 ここはVRコネクトの待機空間。いわゆるホームってやつだな。景色が草原なのは個人的な趣味だけど。

「メニューを表示」と呟くと、目の前に設定やTV、動画等いくつかのメニュー画面が現れた。

 その中にナチュラルワールドオンライン(以下NWO)の名前を見つけたのでタップすると、草原は、まるで夜になったようにゆっくりと暗くなり──

 完全に暗くなると、遠くで機械の作動音が聞こえた──と思った時には視界が真っ白に塗り潰された。

 あまりの眩しさに目を瞑ってしまい、そーっと目を開けると……そこは四方八方が鏡で出来ているような部屋だった。



 特に案内がないため、メニュー画面を出そうとしていると機械的な音声が聞こえてきた。


「ここはNWOにて使用するキャラクター作成を行う部屋となります。体型があまりにも現実の体とかけ離れていると、NWO内部での移動などに支障が出る事もございますので、ご注意下さい」

 ふむ、やはり実際に自分が動くゲームだからアバターにも制約があるんだな。

「また、冒険を始めてからの修正には多大な費用と素材が必要となりますので、そちらもご注意下さい」

 多大な費用に素材か……まあ、とりあえずミスの無いようにして順番にやってみるかな。



 性別──男。

 顔──今の俺を少し若くした感じかな。

 目──黒だな。

 髪──黒。 

 髪型──真ん中分けで、目にかからない程度の長さ。

 体型──うーん、やはり太め……だよな……違和感は感じたくないし……はぁ……。

 身長──百七十センチくらいかな。

 顔のオプション──傷やらほくろを好きに付けれるのか。なら、顎の下に髭を少々。

 さて次は、基本の戦闘スキルを選ぶ……か。選んだスキルに応じた武器を貰えるようだな。

 選択肢は、拳術 蹴術 剣術 棍術 斧術 盾術 弓術 槍術か。



 リメイクされたNWOにどんなモンスターが居るか分からないし、少し距離を開けながら使える槍がいいかな?

 弓は扱いが難しそうだし、と言うか盾って……武器じゃないよな? 盾で殴るという事か!? うーん……初期の選択肢には微妙な気がする。

 とりあえず槍術だな。 一応説明を見るか。


 『槍術』

〖槍全般の重さの軽減や空気抵抗を下げ、扱い易くなる。

 使い込む事で更に扱い易くなり、防御力の割合無視、貫通力の大幅なボーナスなどがプラスされる〗


 ふむ……技が使える、とかではないんだな。しかし扱い易くなるならさほど問題はないかな。槍術を選択……っと。

 最後にキャラクター名を決める……か。

「リョウ」だな。昔からゲームの主人公には、この名前だったしな。



「以上でキャラクター作成を終わりますが、最後に確認をお願いします。修正したい箇所があれば修正を、問題が無ければ完了を押して下さい」

 再び機械的な音声が聞こえ、修正と完了の選択肢が目の前に現れる。

「当面はスキルも見た目も変える事は出来ないので、ご注意下さい」


 スキルは変えるつもりはないから問題無し。

 作成したアバターが自らの体に反映されたので、歩いたり飛び跳ねたりと自分の体をチェックしたが、特に違和感はないため完了をタップする。


「キャラクター作成が完了したため、旅人の祭壇への転移を開始します」

「あれ? まだプレイできる時間じゃないよね?」


 思わず口に出してしまった……しかし視界の右上には現在時刻が午後二時十五分と出ている。気になるのも当然だろう。

 しかし返答は無く、視界が徐々にぶれ始める。見ていると酔いそうなので、俺は目を瞑った。

 十秒程経って、風を感じたような気がしたので目を開けると──そこは森の中にある祭壇の上だった。

 その祭壇は旅人の祭壇と呼ばれていて、NWOの住人(NPC)には冒険者が召喚されてくる場所として知られているらしい。

 ちなみに事前に公開されていた情報によると、リメイクされたこの世界の生物は全て独自のAIを持っていて、地域によって違う考え方や生活をしているとの事だ。


「……えっと……最初はどうするんだっけ?」


 一人呟くと、頭の中に声が聞こえてきた。


《ようこそNWOの世界へ》
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