園芸店店長、ゲーム世界で生産にハマる!

緑牙

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1章 冒険の始まり

9話 病気の正体は……

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 魔物に噛みつかれて、傷は治ったが熱や吐き気がある……

 起きていても意識があまり無い……

 もしかして麻痺してて口も動かないから、意識があまり無いように思えてるのでは……?

 だとしたらこれは……狂犬病の可能性があるかも?


「あの、魔物って犬系とか猫系の類いのやつでしたか?」

「……え? えぇ。確か傷を見てくれたお医者さんは、狼の魔物と言っていましたが……もしや、病気に心当たりがあるのですか!?」

「可能性として思い当たるものはあるんですが、治療法までは……」


 そう言うと、女性は明らかに落ち込んだように俯いてしまった。


「期待させてしまい、申し訳ないですが……自分ではお力にはなれなそうです……」

「そうですか……いえ、貴方様に責はございません」


 女性はそう言って顔を上げたが、その表情は辛い気持ちを押し殺しているように俺には見えた。


「お礼が大変遅くなってしまいましたが、私はサラといいます。娘のタンジーを助けていただき、ありがとうございました」


 病気の事に思考を割いていたから、助けたことを忘れかけていたな……


「私はリョウと申します。自分は出来ることをしたまでですよ」


 サラさんとタンジーちゃん、寝たきりなのは確かセージ君と言っていたかな。

 サラさんは分からないが、子供達は植物と同じ名前なんだな。


「それに、タンジーの怪我の治療までしていただき、なんとお礼を言っていいか……」

「いえ、自分は応急手当をしただけですから。ちゃんとお医者さんに見てもらった方がいいかも知れません」


 ……あまり言いたくはないが、傷の件は話しておかないと……


「それと、非常に言いにくいのですが……タンジーちゃんに傷を負わせたのも狼の魔物でした」


 サラさんが愕然がくぜんとした表情を浮かべて涙を流していた……俺は無力だな……


「ですが俺がタンジーちゃんに与えたのは、中級の万能薬です」


 万能薬という名前なんだから、きっと効果はあるはず……!


「絶対ではないでしょうが、怪我直後に処置をしたのでセージ君のように進行はしていないはずです。……どうか諦めないでください」

「中級万能薬!? そんな高価なものを……ありがとうございます……」


 どうやら、中級でも万能薬は高価らしいな。

 なんにしても、サラさんが少し落ち着いてくれたみたいで良かった。


「しかし、なぜタンジーちゃんは一人で森に居たんでしょうか?」

「恐らく、セージの治療費の足しにするために、薬草を探しに行ったのではないかと……」

「それは、普通門番の方が止めるんじゃないんですか? 子供一人で森に行くなんて危険過ぎると思いますが……」

「……普段なら止めてくれるはずです。ですが、訳あって最近は人手が足りず……門番を交代でお一人がやって下さっているので……」


 門番となると、最低でも二人くらいはいるイメージがあるな。


「なにかに注意をとられている間に、抜けて出してしまうこともあるのかも知れません……」


 いやいや、門番ですら人手が足りないって……この村大丈夫か……?


「あ、いけない……つい色々話し込んでしまいました。体調が良くなさそうなのに、すみませんでした!」


 俺は思わずガバッと頭を下げた。


「あ、頭を上げてください……タンジーの命の恩人に頭を下げさせるなんて、タンジーに怒られてしまいます……」


 とその時、どこかで「くぅ~」と言う小さな音が……


「そう言えば自分も小腹が空きましたし、どこか軽食を食べれるところはありますか?」


 そう言った時、自分からも「ぐぅ~~」と言う大きな音が……

 サラさんは顔を真っ赤にしていたが少し笑ってくれた。

 ナイスタイミング、俺の腹!


「でしたら村にある宿屋で軽食も扱っていますから、そちらに行ってみてはいかがでしょうか?」

「それはいいですね! 今夜泊まる場所も探したかったから丁度いいです」


 そう伝えると、サラさんは「少しお待ちください……」と言って紙に何かを書き始めた。




「……お待たせしました。ここに今回のお礼として割り引きしてもらうように書いておきましたので、これを持って行ってください」


 そう言って渡された紙には──


〖マーガレットさんへ

 タンジーの命の恩人さんなので、宿代を割り引きして欲しいのです。よろしくお願いします   

サラ〗


 と書いてあった。


「これはありがたいです! 手持ちが余り無いもので……助かります!」

「タンジーの命を助けて下さったので、本当はしっかりおもてなしをさせていただきたかったのですが……」

「いえいえ、たまたま通り掛かったので出来ることをしたまでです。あまり気にしないでくださいね」


 実際、あの現場に出くわしたのが自分じゃなかったとしても、他の人達も同じ行動をするんじゃないかな?


「では、私はこれで失礼させていただきます。タンジーちゃんが目覚めたら、〖一人で森に行くような無茶はみんなが心配するから良くないぞ〗と伝えておいて下さい」


 タンジーちゃんへ伝言をお願いして、俺は玄関に向かった。



「宿屋はINNの看板が出ている建物です。二階建てで目立つからすぐ分かると思います」


 見送りに来てくれたサラさんが宿屋の特徴を教えてくれた。

 うん、分かりやすい!


「ありがとうございます」

「リョウさん、是非またお越しください。タンジーも喜ぶと思いますので!」

「わかりました、また近いうちに伺いますね。ではお邪魔しました!」


 会釈して宿屋に向かう。ヤバイ、本気で腹減ったな……


《うーん、凄い腹減った……とりあえずなんでもいいから早く食べたい!》
《もう! なにか食べたいなら、ストレージのフルーツを食べたらいいのでは!?》


 思わずビクッとして立ち止まる。素で、ナビさんのこと忘れてた……。


《あれ……? さっき念飛ばしちゃってた……?》
《ええ、それはもう……ものすごく強い念でしたよ?》

 間髪入れずに返事が返ってくる……もしかして、なんか怒ってる……?

《ええと……ナビさん、なにか怒って……》
《怒ってなんかいませんよ? 忘れられていたとか、空腹の念が強すぎてうるさいとか、全然思ってませんよ!!》


《……ごめんなさい……》


 ……めっちゃ怒ってらっしゃる……

 でもなんか、お隣さんを思い出す怒り方だな……


《あの……次から気を付けます……》

《……はぁ……リョウさん、お忘れですか? 私は村まで案内したらお別れなんですよ? 今回は緊急事態でしたから、まだ居ますが……本来ならもう居ませんよ》

「え……」


 思わず口を開けてほうけてしまった……。
 
 その言葉は、次がないと言ってるようなものだから。

 なぜか、ナビさんはずっと一緒に居てくれるのが当たり前のように感じてしまっていたから──


《……とりあえず、お腹を満たしてきてはいかがですか? それくらいの時間なら、ちゃんと待ってますから》


  俺の態度に呆れるような声で言われたが、正直何を言われたのか、あまり頭には入ってこなかった。

 でも、少し落ちつかないとまともに話が出来ない気がするのは確かだから──


「……うん、なにか食べたら部屋で話そう……」


 そう言うのがやっとだった。
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