園芸店店長、ゲーム世界で生産にハマる!

緑牙

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1章 冒険の始まり

8話 発現するスキル 2

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「かなりスキル増えてるな。いつの間に……とりあえず、MPが一になってるのは分かった。残っていたMPをほとんど使ったから、すごい脱力感が来た……って事かな?」

《恐らくその通りですね。ただ、スキルが増えているのも異常なんですけどね……》

「じゃあ、本来はまだスキルは修得出来ないのか……」

《チュートリアルが終わっているなら、そこまで驚く事ではないのですが》


 とりあえず新しいスキルをタップして詳細を見てみる事にする。


 『投擲とうてき

〖物を投げる技術。

 スキルLVが上がることで威力や命中率が高まる〗


 『薬草学』

〖薬草に対する知識。

 スキルLVが上がると使用する薬草の効果を高め、発見にボーナスが付く。

 採取した際、薬草の品質もスキルLVに応じて高まる〗


 『調合』

〖素材を加工して薬品を生成する技能。

 スキルLVが上がると成功率が上がり、完成品の品質が高まる〗


 『錬金術』

〖素材と魔力を用いてアイテムを生成する技能。

 スキルLVが上がると成功率が上がり、完成品の品質が高まる〗


 『???』

〖未公開の為不明〗


 ……なんだかヤバそうなのが一つあるぞ……


「ナ、ナビさん……この『???』って……?」

《これは……まさか未実装のスキルでは!?》

「未実装って、持っていたらヤバイんじゃないか? すぐ運営に問い合わせた方がいいかな?」

《今のままなら効果は発揮できませんから問題はない……筈です。ですが、できるだけ早く報告はした方がいいと思います》

「了解だよ。とりあえず、この子を村に連れて行ってからにしよう」


 そういって子供を左腕で抱え上げ、村に繋がる道に向かう。色々と気になることはあるが、弱ってる子供をこれ以上放置するわけにはいかないからな。



 歩き始めて数分で村が見えてきた。村に入るのに武器持ったままってのは良くないだろうし、しまっておこう。

 武器をしまって村の入り口らしき所に近付くと、門番の人もこちらに気付いたようだ。


「ここはサイプレス村だ。貴方は冒険者のようだが村に何のご用で……?」


 なんかすごい警戒されてるな……


「それにその子は……!? サラさんの所の子じゃないか!?」


 そう言うと門番の人は槍を構えた。

 どうやら、俺が何かをしたと思われたみたいだな……


「この子は森で狼に襲われていたんです」

「な……なぜ子供が一人で森に!?」

「それは分かりません。とりあえず応急処置はしてありますが、この子をちゃんとした場所で休ませてあげてもらえませんか?
 私は村に入れなくても構いませんので」


 そう言って、俺は頭を下げた。


「いえ、助けていただいた上に応急処置まで……大変失礼致しました」

 門番の人は武器を下げると、謝罪してきた。
 そして顔を上げると、なぜか申し訳なさそうな表情に。


「大変厚かましいお願いなのですが……現在私はここを離れることが出来ないので、その子を自宅にに連れて行ってもらえないでしょうか?」

「はい、分かりました」


 即答すると、門番の人はほっとした顔をしている。
 俺としても、このまま放っていくことなんかできないからな。


「感謝致します。サラさんの家は村に入って突き当たりまで進み、右手側に見える桜色の屋根の家です」

「桜色の屋根ですね」


 門番の人に教えて貰った家を探すために村に入ると、突然視界を塞がれたかと思うほど巨大な樹が現れた。


「えっ!? こ、この樹は!?」

「おや、冒険者殿は他の町に行ったことがないのですか?」


 俺は「無いです」とうなずいた。

 というか……以前のNWOには、こんな凄い樹はなかったはずだ。


「この世界では人が集まって生活している所に、人を守護してくれる守護樹が生えているんですよ。守護範囲外からは、見えないようになっているんです」

「そうなんですか。いやそれにしても立派なイトスギだな……」

 思わず呟いてしまった。見上げても天辺が見えないし、太さも凄まじい。本来はこんな太さになる樹じゃないはずだけど。


「いとすぎ……とは? この樹はサイプレスですよ?」

「そうでしたか。私の住む場所ではイトスギと呼ばれることもあるんですよ。今度サイプレスについて詳しく教えて貰えませんか?」

「それくらいなら構いませんよ。村人なら、誰でも知っていることですから」

「ありがとうございます!」


 門番の人にお礼をして、改めて村に入る。

 森の中にあるだけあって、木で出来た建物ばかりだ。

 しかも、建物の前に看板がある所がほとんどだな。どこもお店兼自宅なのかな?

 そんなことを考えながら歩いていくと、村を囲っている柵が見えてきた。

 右側を見ると屋根が桜色の家があり、やはり建物の前には看板が置いてあった。しかし看板には


 <しばらくお休み致します>


 と張り紙がしてある。
 お休みになっているのは気になるが、ここで間違い無さそうかな。


 ドアをノックしてみると──


「どちら様でしょうか……?」


 掠れるような女性の声が聞こえてきた。


「実は森で狼に襲われていた子供を助けて手当てしたのですが、こちらのお子さんだと門番の方に伺いまして……」

「っ、タンジーが!?」


 ドアがバンッと音を立てて開き女性が飛び出してきたが、急にふらついて倒れそうになった。顔色が少し悪いし……貧血気味なのかな?


「おっと……お子さんは無事だから落ち着いて下さい」


 空いていた右手で女性の肩を支えながらそう伝えると、女性の体から少し力が抜けたように感じた。


「……すみません、娘が狼に襲われていたと聞いて慌ててしまって……」

「いえいえ、自分だって子供がいたとして、その子が襲われたなんて聞いたら慌てますから」


 俺に子供はいないが、いたらどれだけ心配になるか……

 しかし今の俺には、女性に触れているこの状況の方が気になってしまう。


「その……もう手を離しても大丈夫そうですか?」

「あっ……すみません、もう大丈夫です。ありがとうございます」


 そう言って離れた女性は少し顔が赤くなっていた。ちょっと近付きすぎたかな……?


「貴女も体調悪そうですし、この子を寝かせたら自分はもう行きますね。……問題なければ、このまま寝床まで運びましょうか?」

「お手数をお掛けしますが、お願いできますか……?」

「これくらいなら大したことはないですから、大丈夫ですよ」

「ありがとうございます……ではこちらへ」

「では、お邪魔します」


 女性の案内で家に入ると、そこは大小様々な棚が置いてある部屋で、店舗のように見える。

 しかし、棚は全て空になっているな。

 女性は部屋の奥にあるドアを開けて──


「……こちらの奥が寝室です」


 と先に入っていったので、俺もその部屋に入った。

 この部屋は少し狭いが、キッチンやテーブルがあり、その奥に寝室らしき部屋があった。

 そして右奥のベッドには、痩せて苦しそうな顔で横になっている小さい子も居た……


「こちらに寝かせていただけますか……?」


 その子の二つ横のベッドに寝かせるように言われて、抱えていた子をそうっと寝かせた。

 このお宅はそれぞれ一つのベットで寝てる感じなんだな。


「……あの、そちらの子は病気なんですか?」

「はい。この子……セージは今年の春に、魔物に噛みつかれてしまって……傷は治ったんですが、何かの病気を貰ってしまったみたいで……」


 なるほど……何らかのウイルスだろうか?


「熱を出したり吐き気が強くて、食欲が無くなってしまい……ここ数日はほとんど寝てしまっているんです」


 それは、かなりヤバイな……


「起きていても、意識が余り無くて……村のお医者さんに見せても分からず、少し離れた所にあるウォールナットの町のお医者さんにも見てもらったんですが……」


 そこまで言って、女性はため息をついた。


「かなり特殊な病気らしく、治すための薬代が高過ぎて手が出せず……なにもしてもらえなかったのです……夫が生きていてくれたら、なんとかなったかも知れませんが……」


 ……ん?
 よく考えたら、この症状……
 どこかで聞いたことがあるような……?
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