センチメントの心

真田晃

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「私にはレンアイなんて出来ない…ツライ…友達の恋バナとかノロケ聞くのも……だって私…」

じっと北村の横顔を見る。
もう辺りは暗くてはっきりとは見えない。

「どうして担任が、私が仮病したりしても無関心なの解る?…最初は先生からなんだよ…私に告って…入学してすぐ…断ってもしつこくて…」
「……」
「だけど普通の人、吉岡には解んないだろうけど…家で色々あって帰りたくなくて…ここでタバコ吸って…帰ろうとしたら閉じ込められて……頼れるの、先生しかいなくて…」
「…北村」

「最後まで話させて!…私…ここで先生に…」
「……」
「ここで先生に!!」

僕の手に力が入る。

「…もう、いいよ」
「もう、いい…?どういう事?!」

「犯された…んだろ?脅迫されて…」

「…!!」

急に北村は立ち上がって僕の前に立った。
風が吹いたらスカートの中が見えてしまいそうだった。

…でも、そんな事考えられなかった。

バシッ!!

彼女の平手打ち

「解ったフリなんてするなバカッ」
「……」

僕は訳が解らず左頬をおさえた。

見上げると、彼女の大きな瞳からは悲しみの涙があふれていた。
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