センチメントの心

真田晃

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「…私は奴隷だよ…校内のいろんな所で…もう…何度も……生きた人形…誰も解ってくれない…」

「…ごめん…」
「何も知らない吉岡がうらやましい……憎い…かな」
「……」

僕にはもう、かける言葉が見つからなかった。
担任は妻子持ちで僕の父親と同じ位の年だ。
それを彼女は、大人の都合で脅され力づくで…

「もう笑うのも疲れた。…閉じ込められたのも、いい機会だったのかも…」

彼女はフラフラと柵に向かって歩きだした。
風に流されたタバコの箱のように…

「!!」

僕は彼女の左手首を掴んだ。

「……」

その手首には、無数の傷跡……

彼女はその手を強く振り払った。
それは錯乱してではなく、強い信念で。

あの冷たい目で。

「……」

飛び降りる気だ!! 
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