10 / 12
10
しおりを挟む「…僕には…北村さんの辛さとか解らないけれど、理解したい。僕は北村さんに死んで欲しくない」
僕は彼女の左腕を掴んだ。
「…それは、他殺になるのが怖いんでしょ」
「そうじゃなくて!!僕は…」
涙が出てきた。
彼女の背負っているものが重すぎて…
僕は何の力にもなれなくて…
「僕の好きな人は、北村さんです…
ずっと…ずっと好きです…だから…僕は北村さんに死んで欲しくない…」
「……」
「力になりたいんだ…」
視線がぶつかる。
「頼りないかもしれないけど…」
「…吉岡…」
「北村さんは汚れてなんかない…他の誰より…キレイだよ」
僕は彼女を抱きしめた。
それは彼女が僕の背中に手を回したから…
「…本当?」
少し泣きじゃくった彼女の声…
「…うん」
「私、こんな風に抱きしめられたの、初めて…」
ギュッと彼女の腕に力がこもる。
きっと家族にも…こんな事、無かったのかな…
僕も強く抱きしめた。
「私、あんたの事、好きにならないかもよ…?」
「…うん」
「……」
何て夜…
僕達2人の頭上には、満点の星空が広がっていた。
それらを僕ら2人が独り占めしてるような気分だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる