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第二章 人と、金と…
46.
ピンポーン
チャイムの音で目が覚める。
いつの間に、眠ってしまったんだろう……
折り返し電話して、ちゃんと断ろうと思っていたのに。
こめかみを押さえながら立ち上がり、ふらふらしながら玄関へと向かう。
「……果穂ちゃん」
開けたドアの向こうにいる、安藤先輩。
走って来たのか。息が少しだけ荒い。
「……せんぱ……」
「熱は──?」
「……え……」
「ごめん。……やっぱり昨日、部屋まで送れば良かったな」
「……」
普段余裕のある先輩が、何時になく狼狽えている。
別に、先輩が責任感じる事なんかないのに……
「……これ」
後頭部に手をやった先輩が、持っていたコンビニ袋を差し出す。
「何がいいか解らなくて。
……とりあえず、俺が風邪引いた時に欲しいものを、適当に買ってきたから」
「……え」
受け取った袋を広げて見れば、あればいいなと思うものばかり。
レトルトのお粥、ポカリ、冷えピタ、風邪用の栄養ドリンク剤──
……どう、して。
どうしてここまで……
ゾクッ、と体が震える。
「俺も独り暮らししてて。風邪引くと、結構辛いの知ってるからさ。……あ、何か欲しいものとかあったら、遠慮なく言えよな」
「……」
──こんな事、して貰うような間柄じゃない。
なのに、何で……
何で……
……おかしいよ、先輩……
「……あ、じゃあ。これ渡したかっただけだから」
「………」
「風邪、早く直せよ」
爽やかな笑顔を残し、先輩が去っていく。
きっと、親切心からしてくれたんだろう。……けど……
「……」
受け取ったビニール袋をギュッと握る。
パーソナルスペースに、スッと踏み込んでくる、この感じ。
大山さんと似ているけど、違う。
……何か、嫌。
チャイムの音で目が覚める。
いつの間に、眠ってしまったんだろう……
折り返し電話して、ちゃんと断ろうと思っていたのに。
こめかみを押さえながら立ち上がり、ふらふらしながら玄関へと向かう。
「……果穂ちゃん」
開けたドアの向こうにいる、安藤先輩。
走って来たのか。息が少しだけ荒い。
「……せんぱ……」
「熱は──?」
「……え……」
「ごめん。……やっぱり昨日、部屋まで送れば良かったな」
「……」
普段余裕のある先輩が、何時になく狼狽えている。
別に、先輩が責任感じる事なんかないのに……
「……これ」
後頭部に手をやった先輩が、持っていたコンビニ袋を差し出す。
「何がいいか解らなくて。
……とりあえず、俺が風邪引いた時に欲しいものを、適当に買ってきたから」
「……え」
受け取った袋を広げて見れば、あればいいなと思うものばかり。
レトルトのお粥、ポカリ、冷えピタ、風邪用の栄養ドリンク剤──
……どう、して。
どうしてここまで……
ゾクッ、と体が震える。
「俺も独り暮らししてて。風邪引くと、結構辛いの知ってるからさ。……あ、何か欲しいものとかあったら、遠慮なく言えよな」
「……」
──こんな事、して貰うような間柄じゃない。
なのに、何で……
何で……
……おかしいよ、先輩……
「……あ、じゃあ。これ渡したかっただけだから」
「………」
「風邪、早く直せよ」
爽やかな笑顔を残し、先輩が去っていく。
きっと、親切心からしてくれたんだろう。……けど……
「……」
受け取ったビニール袋をギュッと握る。
パーソナルスペースに、スッと踏み込んでくる、この感じ。
大山さんと似ているけど、違う。
……何か、嫌。
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