蛍火

真田晃

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47.止めてくれ

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戸惑いを、隠せなかった。

《……では、現場からお伝えします》
神妙な面持ちのニュースキャスターから現場のリポーターに切り替わると、事件のあった小屋と被害者達の顔写真が映し出される。

でも、それは……僕の知ってる白川ではなかった。
表情に陰りを感じるものの、魅了する程のミステリアスな雰囲気は見当たらない。

「……」

それよりも何よりも。
一番驚いたのは……僕だ。

あの日。パトカーの後部座席から見た、ルームミラーに映る僕の顔が──転校生の白川光音、そのものだったから。





「……遅くなって、すまない」

駅前にある、レトロな雰囲気の喫茶店。
カランとドアに付いた鈴を鳴らして入ってきたのは、約束をしていた小山内先生だった。
いつものタンクトップ姿とは違い、緩めのTシャツにカーゴパンツ。僕の姿を見つけるなり片手を上げ、向かいの席に座る。
お冷やとおしぼりを持ってきたウエイトレスに片手で礼を伝えると、ビニールからおしぼりを取り出し、豪快に顔を拭く。

「……」

ふと思い出される、小山内先生の机にあった写真立て。
そこに写っていたのは、爽やかな笑顔のイケメン。いま目の前に居る先生と、同一人物とは思えない程の。

「それで、話というのは……」
「……」

折り畳んだおしぼりを、くるくると器用に丸めてテーブルの端に置くと、むさ苦しい髭面の顔が満面な笑みを浮かべる。
親父臭い見た目と一連の行動に恥ずかしさが込み上げて俯くと、テーブルに身を乗り出した先生が、僕の頭をわしゃわしゃする。

「ああ、悪かった! こういうオッサンが一緒だと、恥ずかしいよな。俺も小さい頃、よく親父がおしぼりで顔を………」
「──黒川光くんに、会いました!」

先生の言葉を遮り、唐突に本題に入る。
先生は、場を和ませようとしてくれていたんだろう。でも、それに付き合う余裕なんて、今の僕にはない。
神妙な面持ちで視線を先生に向ければ、戸惑った表情に変わった先生が、そっと僕から手を退ける。

「……」
「信じて貰えないかもしれませんが──
夏祭り本番の夜。どういう訳か、二十年前に僕だけが遡ってて。
あの日、黒川くんに何があったのか……見せられたんです」


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