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しおりを挟む散らばっていた欠片が、全て繫がった瞬間──視界が涙で滲んでいく。
胸の奥にある、繊細で柔らかな部分が深く抉られ……
息も、出来ない──
夏祭りの夜──僕を小屋へと導き、そこで遭った二十年前の惨劇を見せたのは……事件の真相を伝え、小山内先生への想いを僕に託そうとしていたからだと、思っていた。
……でも、そうじゃ無かった。
何て浅はかだったんだ、僕は。
死しても尚、身体を思い通りにされる光景を……誰かに見られたいと思う訳、ないじゃないか。
あの時の情景が脳裏に蘇り、全身から血の気が引いていく。
蒸し風呂のように、暑い部屋。
肌に纏わり付く、汗。
荒い、息遣い。
鼻を刺激する、腐敗臭。
そこに混じる、精子の臭い。
淡い月光に照らし出された、奇行の数々──
あそこまで僕に見せたのは……
僕が、何れ辿るであろう未来を案じて、警告したかっただけ。
ただ、それだけ──
「……」
どうしよう。
震えが……止まらない。
何も知らず……もし、あのまま溝口先生と親密な関係を続けていたとしたら……
きっと僕も、黒川くん達のように襲われて……
なのに、僕は──
黒川くんに、酷い事をしてしまった。
何の確証もなく、千明先輩の話を鵜呑みにして……
その上、溝口先生に素っ気なくされたってだけで……押し倒して、首を……
この手で──
「んじァ………次は、お前の番だ」
直ぐ隣から手が伸び、二の腕を掴まれてハッと我に返る。
見れば、ニヤついた狐目が僕を間近に捕らえ、じっと見据えていた。
「これだけの情報を教えてやったんだ。……俺の質問には、全て正直に答えろよ」
「……」
何処から取り出してきたんだろう。僕の目の前に小型のボイスレコーダーを掲げて見せると、録音ボタンを押し、静かにテーブルの上に置く。
脅しともとれる、言葉の圧。
録音を示す、点灯した赤いランプ。
視界いっぱいに映るそれに、もう後戻り出来ないと言われているようで……身体に緊張が走る。
「夏祭り当日の行動に関して、不可解な点が幾つかある」
「……」
これから、尋問が始まる。
僕の心情など、お構いなしに。
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