Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜

橘 霞月

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転生〜統治(仮題)

魔の森の考察

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翌日が最後の、半日で授業の終わる日だった。オレは、嫁さん達と一緒に食堂で昼食を摂る事にした。クララに美味しい食事というものを味わって貰う為だ。感動してくれていたので、ご馳走した甲斐がある。今後は一般の校舎にある食堂で食事をして貰い、その味に近付くように料理を研究して貰う事に決まった。

今日から暫くの間、クララには調理器具や食材、生活用品といった物を買い揃えて貰う事になっている。それまで料理研究会の活動はお休みだ。なのでオレは、ずっと気になっていた事の確認をしようと思う。

城へ戻ったオレは、ナディアに声を掛けた。

「ちょっと時間ある?付き合って欲しい場所があるんだけど?」
「別にいいわよ?」

即答だったので、ナディアを連れて転移した。説明を省いたので、怒られるかもしれないが今更である。

「ここは・・・森?何処なの?」
「魔の森」
「はぁ!?何て所に連れて来るのよ!」
「もうナディアは大丈夫だと思うよ?ティナと一緒に行動して、随分と強くなったでしょ?」
「それはそうかもしれないけど・・・」
「それに、目的は魔物の討伐じゃないんだ。」

不思議そうに首を傾げるナディアに説明する。不自然なこの森について、オレが考えている事を。
・魔物の数が異様に多い。
・周辺と比較し、この森の魔物は強過ぎる。
・森から1歩でも離れると、魔物に襲われる事が無い。

この中で検証したいのは、3つ目に関して。オレ1人だと、偶然が重なったと言われる可能性があるので、今回はナディアに手伝って貰う。離れた場所で魔物と遭遇、ほぼ同時に森から脱出を繰り返して貰う。そして、通信の魔道具でタイミングを計りながら繰り返す事10数回。合流したナディアも確信したようだった。

「この森、確かに変ね。魔物が森の外に出ないんじゃなくて・・・出られない感じ?まるでダンジョンみたい。」
「ダンジョン?ダンジョンがあるの?」
「あら?ルークは知らなかったのね?世界中に点在してるわよ?遺跡だったり洞窟だったり、まぁ色々な形態だけど・・・森は聞いた事が無いわね。」
「そうか、それなら説明が付くかもしれないね。そうなると一番奥は・・・何処だ!?」

ナディアがズッコケた。コントの練習に来た訳ではないが、オレだって何でも知っている訳じゃない。

「全く・・・いい?この国とミーニッツ共和国の国境を全て遮る形で、魔の森は広がっているの。東側はベルクト王国にまで続いているわね。」
「そこが入り口って事か。なら、西側は?」
「この国と南のミリス、カイルの西側には天険と呼ばれるイリヌス山脈があるんだけど、その山間を縫うように続いてるって噂よ。イリヌスは何処も標高が高いから、誰も確認しに行かないのよね。って、ルークの住んでたエリド村もイリヌスにあるんでしょ?」

懐かしいな・・・いや、この前行って来たっけ。オレもスフィアに地理を教わるまで知らなかったが、エリド村は超危険地帯に存在しているようだった。

「カイル王国西側の山奥だね。なんか・・・危険地帯なんだって?」
「そ、そんな所にあったの!?・・・いい?イリヌス山脈全域が生息する魔物のランクが高い事もあって、背後から他国に攻め込まれる心配が無いの。そういう理由で、カイルとミリスの王都はイリヌス山脈近くにあるのよ。」
「この国は?」
「この国は、西側はイリヌス山脈、北側は魔の森に面しているから、西寄りに王都を配置したみたいね。守りよりも攻めを重視していたのもあるでしょうけど・・・。」
「じゃあ、西に向かえばいいのか。あ、そう言えば、ナディアは明日暇?」
「え?私?嫌よ!そんな危険地帯になんて、行きたくないわ!!戦闘なら、カレンかティナを誘えばいいじゃない!?」

カレンとティナには気付かれたくない。そんな想いが顔に出ていたのか、ナディアに問い質される。

「何か、ワケありって感じね?」
「カレンは隠し事が多いから、今更なんだけど・・・問題はティナなんだよね。恐らくティナも、何かを隠してる。」
「どうしてそうなるのよ?」
「ティナのレベルはナディアよりも高い。それなのに、魔の森には近付こうともしない。それと関係があるのかわからないけど、今言ったレベルの件もあるかな。」
「レベルって、冒険者ギルドの魔道具?特別問題は無さそうだったけど、何かあるの?」

ここからはオレの推測。ティナは何故かレベルの確認をしたがらない。まるで、測定不能という結果を恐れているかのように。騒がれるのを好まない性格なのは知っているが、オレやカレンという存在がいる今の状況で、その心配は杞憂だろう。

「確かに・・・私がギルドに寄る度に勧めてみたけど、1度も確認しなかったわね。私もティナと行動したお陰で、測定不能になっちゃったけど・・・。」
「オレが最後に確認したかったのは、その魔道具かな。この世界で生きるなら、レベル100で測定不能になれば充分のはず。だったら、どうして200なんて上限を設けたのか?それ以前に性能の限界だった可能性もあるけど、それにしてはキリが良すぎる。誰かが意図的に上限を設定したような気がするんだ。」
「確かにティナの件は納得出来るけど、上限なんて・・・それこそ何の為よ?」
「その辺は情報不足でわからないかな。だからナディアには、あの魔道具を借りて来てほしい。いや、こちらから出向いた方が良さそうだ。」

そうだな。魔の森の探索は明日1日、もしくは明後日の2日掛ける事にして、今日は魔道具の方を片付けてしまおうか。

「それじゃあ、ナディアの元職場に挨拶に行こうか?」
「え!?ちょ、ちょっと待って!心の準備というものが!!」
「そんなの待ってたら明日になっちゃうよ。はい、観念してね~。」
「い、いやぁぁぁぁぁ!」

ナディアが逃げようとしたので、オレは後ろから抱き着いて転移魔法を使用した。奥さんがお世話になりましたからね。お土産持参で挨拶に伺いますよ。
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