105 / 258
転生〜統治(仮題)
ケロちゃん
しおりを挟む
40階のボスであるケルベロスの元へと向かったオレは、現在全力で正座させられている。どうしてそんな事になっているのかと言うと、時は少しだけ遡る。
ボス部屋の扉を開けると、そこは体感的に30階のボス部屋よりも広いようだった。当然薄暗く、ケルベロスは見えない。ゆっくりとボスへと向かいながら、ケルベロスについて話していた。
「本で読んだ事しか無いけど、ケルベロスって3つの首を持つのよね?」
「そう言われてますね。私も伝説でしか知りませんが、おそらくはかなりの強敵だと思います。」
「所詮は犬でしょ?大丈夫だって!特大って書いてあったけど、ちょっと大きいワンちゃんなら楽勝じゃない?」
「「特大?」」
「そう。あんな表現は初めて見たけど、別に気にする必要な・・・・・は?」
「「「・・・デカ!!」」」
ナディアとティナが心配そうにしていたが、少し大きいワンちゃんだと思っていたオレは、余裕だと思っていた。2人を落ち着かせようとしたのだが、うっかり口を滑らせた。それはもう饒舌と表現するのが適切な程。食用油と間違えて、潤滑油を舐めたんじゃないかと思う程に滑りまくった。
そして言葉の途中で、何やら動く山のような影を視界に捕らえた。のしのしと歩み寄って来る影は、次第にその姿を鮮明にする。それが何なのか理解した瞬間、全員が声を揃えたのだ。
あり得ない。首が3つある事?そんなのは大した問題じゃない。黒いドーベルマンが3匹いると思えばいいんだ。大切なのは頭じゃない。いや、頭も大切かもしれないが、問題なのは全身だ。オレの認識では、ケルベロスという存在は大型の狼程度の大きさだった。しかし、目の前のそれは、ヒュドラよりも大きかった。
一度『お手』をさせようものならば、人が10人まとめてぺしゃんこになるだろう。零れ落ちるヨダレに巻き込まれたら、溺れる子供も出るかもしれない。とりあえずオレは、鑑定魔法に文句を言う事にした。
「特大じゃねぇよ!超巨大じゃねぇか!!この鑑定魔法のバグ、誰か修正しておけよ!!」
「バカな事言ってるんじゃないわよ!」
「ルーク、ちょっとこっちに来なさい!」
ナディアはともかく、ついにはティナの口調も変化してしまった。かなり貴重な体験である。怒ったティナさんを見るのは、実に10年ぶりだろうか?感慨にふける間も無く、2人に襟首を掴まれてボス部屋の外へと連れ出され、現在に至る。
「あんたねぇ!大きいなら大きいって先に言いなさいよ!!」
「特大なんて、ちょっと大きい程度だと思うでしょ!?」
「ルーク?今回ばかりは、お姉ちゃんも流石に我慢の限界かなぁ?」
「「・・・ティナさん?」」
明らかに普段とは異なる口調に、オレだけでなくナディアまで不審に思ったようだ。しかし、オレにはわかる。この感じは、本気でキレている時のティナだ。逆らってはいけない。人生で1度だけ経験した事があるが、普段温厚な人程キレた時の反動は凄まじい。
「冒険者として事前の情報収集がどれだけ大切か、口を酸っぱくして教えたはずよね?」
「それはまぁ・・・はい。」
「それなのにナディアはともかく、どうして私にも言わないの!?」
「ちょっと、私はともかくって何よ!?」
「静かにしてなさい!」
「は、はい・・・。」
口を挟んだナディアが叱られたのを見て、オレはうっかりほくそ笑んでしまった。しかし、それを見逃すティナさんでは無い。『キッ!』とオレを睨み、怒りの矛先が戻って来る。
「何笑ってるの!いい!?大体ルークは毎回毎回、思慮が足りな過ぎる!そもそも何なの?大きいワンちゃん?近所で飼われてる犬じゃあるまいし!おまけに鑑定魔法の表現にまでケチつけて!!前々から言おうと思ってたけど・・・・・・・・・・・・・」
こんな感じでティナの説教は1時間近くにも及んだ。必死に耐えたオレは、ボス戦を前にして既に瀕死の状態である。お陰でオレとナディアの認識は深まっただろう。『ティナこえぇ』と。
そんなオレ達の心境を知ってか知らずか、グロッキーなオレとは対象的に、すっきりしたティナは満足そうな笑顔でオレ達に告げる。
「それでは行きましょうか?」
「「は、はい!!」」
姿勢を正したオレとナディアは、元気良く返事をする。敬礼でもしそうな程だった。僕、今日はティナお姉ちゃんの言う事聞きます!だっていい子だもん!!
「伝承では、ケルベロスはそれぞれの首が魔法を放つと伝えられています。まずは遠距離から様子を見て、火魔法を放つ首がルーク、氷がナディア、風が私の担当にしましょう。いいですか?」
「「イエス、サー!!」」
気を取り直して、今度はティナさんが扉を開く。警戒しながら進んで行くと、ケルベロスは部屋の中央で待ち構えていた。飛び出したい衝動を抑え、ティナ隊長の指示を仰ぐ。
「ナディアは横に回って撹乱!私はナディアの反対側に回りますので、ルークは正面から魔法で注意を引きつけて下さい!」
「「イエス、サー!」」
「2人とも、後で覚えていて下さいね?」
オレとナディアの悪ふざけに、ティナが笑顔でそう告げる。目が笑っていなかったのは、多分気のせいだろう。・・・そう思おう。
ティナとナディアが横に周り込めるよう、特大のファイアーアローとアイスアローを連発する。左の首がファイアーアローを氷のブレスで相殺し、真ん中の首がアイスアローを炎のブレスで相殺した。つまり、左がナディア、真ん中がオレ、右がティナの担当という事になる。
真ん中はハズレなのだが、ティナとナディアの危険が少なくなったと思えば安い物である。と言うのも、左右の首はすぐに真ん中を向く事が出来る。しかし横の相手に対しては、体を動かす必要があるので隙が出来やすいのだ。見掛けによらず俊敏な動きをするので、些細な事ではあるのだが。
今更ではあるが、禁術を使わないのはヒュドラの時と同じ理由である。今回はオレとのレベル差を考え、単独での特攻は遠慮した。オレより速かったら、ガブっといかれてしまうからだ。まぁ、パクっといかれるの間違いだったが・・・。
遠距離攻撃の手段が無いナディアを援護する為、オレは左の首を集中的に攻撃する。その隙をついてナディアが接近すると、強烈な『おかわり』が繰り出された。説明しておくが『お手』は右手である。どうでもいいね。
実に長く感じられた数分間であるが、何度もナディアの援護をしていると、不意に冷たい視線が突き刺さるのを感じた。これは、『ナディアばかり援護しやがって』というティナ隊長の物である。あの方を怒らせてはいけない。ナディアの動きに注意しなければならず全く余裕は無いのだが、オレは渋々ティナ隊長の援護も引き受ける事にした。火・氷・風魔法に加え、時折土魔法も放つオレは、魔力よりも集中力に負担を強いられる。
泣きたい気持ちでいっぱいだが、ティナ隊長の為なので歯を食いしばる。強烈な一撃をお見舞いしてやろうなんて考えも過るが、勝手な行動は後が怖いので論外だ。
ナディアの攻撃しか与えられなかったのだが、ティナがダメージを与えられるようになると状況は一変する。雪椿によって体を斬りつけられる度、ケルベロスの動きは鈍くなっていく。打撲よりも裂傷の方が有効なのだろう。
長く続いた膠着状態が崩れると、あとは呆気ない物だった。決定打と言える一撃がナディアとティナによって繰り出されると、ケルベロスは動きを止め、大きな衝撃と共に床へと横たわる。倒した事を確認すると、ティナとナディアが戻って来た。
あちこち怪我をしているようだったので、すぐさま回復魔法を使用する。流石に無傷での勝利とはいかなかったが、無事で何よりだ。嫁入り後だから、傷がついても良い訳ではない。程々に働いて貰えれば充分である。横になってせんべいを食いながら、昼ドラを観てさえいなければ不満など無い。
「ありがとう、ルーク。」
「援護して頂けて助かりました。ですが、ナディアばかり贔屓するのはズルいと思いますよ?少し傷つきました。ですからお詫びに今度、私のお願いを聞いて下さいね?」
「いや、あれはナディアに遠距離攻撃の手段が無かったからで・・・」
「言い訳ですか?男らしくありませんよね?」
「それは・・・はい。わかりました。」
ティナの言おうとしている事はわかる。全員の武器を作る以上、遠距離攻撃の手段も用意すべきなのだ。好き勝手に放浪して、そうしなかったオレの落ち度である。あれ?何時から皆の武器職人になったんだ?・・・考えるのはよそう。
「それではケロちゃんを回収して、先に進みましょう。」
「「ケロちゃん?」」
何、その可愛らしい名前。ナディアにもわからなかったようで、オレ達は揃って首を傾げる。その様子を見て、ティナが説明してくれる。
「ケルベロスだからケロちゃんです。でも、ケロちゃんは食べられるのでしょうか?」
「ケロちゃんって・・・。」
ティナのネーミングセンスに、ナディアは絶句してしまった。そんなに可愛らしい姿じゃないと思います。でも、地球でも犬は昔食べられてたと聞いた気がする。確か・・・・
「1白2赤3黒4ブチって聞いた事あるから、多分食べられると思うよ?」
「何よ、それ?」
「美味しい順番だって。白い犬が1番美味しいらしくて・・・ケロちゃんは黒いから3番目かな?」
「・・・誰情報なの?」
「ん?前世の記憶。戦後の貧しい時代に、田舎の各家が持ち回りで飼ってる犬を食べたって話を聞いた事がある。ウソかホントか知らないけどね?」
オレの説明に、ナディアは体を掻き抱いて身震いする。犬を飼ってたオレだって、犬を食べようとは思わない。動物は愛でるべき存在なのだ。モフモフは崇高なのである!
「恐ろしい世界ね・・・この世界に産まれて良かったと、初めて思ったわ。」
「3番目ですか・・・1番じゃないのは残念ですが、食べてみればわかりますね!」
ナディアが怖い想像をしている中、ティナは楽しい想像をしていたらしい。オレ、確か『近所で飼われてる犬じゃあるまいし!』って叱られた気がするんですけど・・・。
結局ティナの中でも犬扱いだよね!?
ボス部屋の扉を開けると、そこは体感的に30階のボス部屋よりも広いようだった。当然薄暗く、ケルベロスは見えない。ゆっくりとボスへと向かいながら、ケルベロスについて話していた。
「本で読んだ事しか無いけど、ケルベロスって3つの首を持つのよね?」
「そう言われてますね。私も伝説でしか知りませんが、おそらくはかなりの強敵だと思います。」
「所詮は犬でしょ?大丈夫だって!特大って書いてあったけど、ちょっと大きいワンちゃんなら楽勝じゃない?」
「「特大?」」
「そう。あんな表現は初めて見たけど、別に気にする必要な・・・・・は?」
「「「・・・デカ!!」」」
ナディアとティナが心配そうにしていたが、少し大きいワンちゃんだと思っていたオレは、余裕だと思っていた。2人を落ち着かせようとしたのだが、うっかり口を滑らせた。それはもう饒舌と表現するのが適切な程。食用油と間違えて、潤滑油を舐めたんじゃないかと思う程に滑りまくった。
そして言葉の途中で、何やら動く山のような影を視界に捕らえた。のしのしと歩み寄って来る影は、次第にその姿を鮮明にする。それが何なのか理解した瞬間、全員が声を揃えたのだ。
あり得ない。首が3つある事?そんなのは大した問題じゃない。黒いドーベルマンが3匹いると思えばいいんだ。大切なのは頭じゃない。いや、頭も大切かもしれないが、問題なのは全身だ。オレの認識では、ケルベロスという存在は大型の狼程度の大きさだった。しかし、目の前のそれは、ヒュドラよりも大きかった。
一度『お手』をさせようものならば、人が10人まとめてぺしゃんこになるだろう。零れ落ちるヨダレに巻き込まれたら、溺れる子供も出るかもしれない。とりあえずオレは、鑑定魔法に文句を言う事にした。
「特大じゃねぇよ!超巨大じゃねぇか!!この鑑定魔法のバグ、誰か修正しておけよ!!」
「バカな事言ってるんじゃないわよ!」
「ルーク、ちょっとこっちに来なさい!」
ナディアはともかく、ついにはティナの口調も変化してしまった。かなり貴重な体験である。怒ったティナさんを見るのは、実に10年ぶりだろうか?感慨にふける間も無く、2人に襟首を掴まれてボス部屋の外へと連れ出され、現在に至る。
「あんたねぇ!大きいなら大きいって先に言いなさいよ!!」
「特大なんて、ちょっと大きい程度だと思うでしょ!?」
「ルーク?今回ばかりは、お姉ちゃんも流石に我慢の限界かなぁ?」
「「・・・ティナさん?」」
明らかに普段とは異なる口調に、オレだけでなくナディアまで不審に思ったようだ。しかし、オレにはわかる。この感じは、本気でキレている時のティナだ。逆らってはいけない。人生で1度だけ経験した事があるが、普段温厚な人程キレた時の反動は凄まじい。
「冒険者として事前の情報収集がどれだけ大切か、口を酸っぱくして教えたはずよね?」
「それはまぁ・・・はい。」
「それなのにナディアはともかく、どうして私にも言わないの!?」
「ちょっと、私はともかくって何よ!?」
「静かにしてなさい!」
「は、はい・・・。」
口を挟んだナディアが叱られたのを見て、オレはうっかりほくそ笑んでしまった。しかし、それを見逃すティナさんでは無い。『キッ!』とオレを睨み、怒りの矛先が戻って来る。
「何笑ってるの!いい!?大体ルークは毎回毎回、思慮が足りな過ぎる!そもそも何なの?大きいワンちゃん?近所で飼われてる犬じゃあるまいし!おまけに鑑定魔法の表現にまでケチつけて!!前々から言おうと思ってたけど・・・・・・・・・・・・・」
こんな感じでティナの説教は1時間近くにも及んだ。必死に耐えたオレは、ボス戦を前にして既に瀕死の状態である。お陰でオレとナディアの認識は深まっただろう。『ティナこえぇ』と。
そんなオレ達の心境を知ってか知らずか、グロッキーなオレとは対象的に、すっきりしたティナは満足そうな笑顔でオレ達に告げる。
「それでは行きましょうか?」
「「は、はい!!」」
姿勢を正したオレとナディアは、元気良く返事をする。敬礼でもしそうな程だった。僕、今日はティナお姉ちゃんの言う事聞きます!だっていい子だもん!!
「伝承では、ケルベロスはそれぞれの首が魔法を放つと伝えられています。まずは遠距離から様子を見て、火魔法を放つ首がルーク、氷がナディア、風が私の担当にしましょう。いいですか?」
「「イエス、サー!!」」
気を取り直して、今度はティナさんが扉を開く。警戒しながら進んで行くと、ケルベロスは部屋の中央で待ち構えていた。飛び出したい衝動を抑え、ティナ隊長の指示を仰ぐ。
「ナディアは横に回って撹乱!私はナディアの反対側に回りますので、ルークは正面から魔法で注意を引きつけて下さい!」
「「イエス、サー!」」
「2人とも、後で覚えていて下さいね?」
オレとナディアの悪ふざけに、ティナが笑顔でそう告げる。目が笑っていなかったのは、多分気のせいだろう。・・・そう思おう。
ティナとナディアが横に周り込めるよう、特大のファイアーアローとアイスアローを連発する。左の首がファイアーアローを氷のブレスで相殺し、真ん中の首がアイスアローを炎のブレスで相殺した。つまり、左がナディア、真ん中がオレ、右がティナの担当という事になる。
真ん中はハズレなのだが、ティナとナディアの危険が少なくなったと思えば安い物である。と言うのも、左右の首はすぐに真ん中を向く事が出来る。しかし横の相手に対しては、体を動かす必要があるので隙が出来やすいのだ。見掛けによらず俊敏な動きをするので、些細な事ではあるのだが。
今更ではあるが、禁術を使わないのはヒュドラの時と同じ理由である。今回はオレとのレベル差を考え、単独での特攻は遠慮した。オレより速かったら、ガブっといかれてしまうからだ。まぁ、パクっといかれるの間違いだったが・・・。
遠距離攻撃の手段が無いナディアを援護する為、オレは左の首を集中的に攻撃する。その隙をついてナディアが接近すると、強烈な『おかわり』が繰り出された。説明しておくが『お手』は右手である。どうでもいいね。
実に長く感じられた数分間であるが、何度もナディアの援護をしていると、不意に冷たい視線が突き刺さるのを感じた。これは、『ナディアばかり援護しやがって』というティナ隊長の物である。あの方を怒らせてはいけない。ナディアの動きに注意しなければならず全く余裕は無いのだが、オレは渋々ティナ隊長の援護も引き受ける事にした。火・氷・風魔法に加え、時折土魔法も放つオレは、魔力よりも集中力に負担を強いられる。
泣きたい気持ちでいっぱいだが、ティナ隊長の為なので歯を食いしばる。強烈な一撃をお見舞いしてやろうなんて考えも過るが、勝手な行動は後が怖いので論外だ。
ナディアの攻撃しか与えられなかったのだが、ティナがダメージを与えられるようになると状況は一変する。雪椿によって体を斬りつけられる度、ケルベロスの動きは鈍くなっていく。打撲よりも裂傷の方が有効なのだろう。
長く続いた膠着状態が崩れると、あとは呆気ない物だった。決定打と言える一撃がナディアとティナによって繰り出されると、ケルベロスは動きを止め、大きな衝撃と共に床へと横たわる。倒した事を確認すると、ティナとナディアが戻って来た。
あちこち怪我をしているようだったので、すぐさま回復魔法を使用する。流石に無傷での勝利とはいかなかったが、無事で何よりだ。嫁入り後だから、傷がついても良い訳ではない。程々に働いて貰えれば充分である。横になってせんべいを食いながら、昼ドラを観てさえいなければ不満など無い。
「ありがとう、ルーク。」
「援護して頂けて助かりました。ですが、ナディアばかり贔屓するのはズルいと思いますよ?少し傷つきました。ですからお詫びに今度、私のお願いを聞いて下さいね?」
「いや、あれはナディアに遠距離攻撃の手段が無かったからで・・・」
「言い訳ですか?男らしくありませんよね?」
「それは・・・はい。わかりました。」
ティナの言おうとしている事はわかる。全員の武器を作る以上、遠距離攻撃の手段も用意すべきなのだ。好き勝手に放浪して、そうしなかったオレの落ち度である。あれ?何時から皆の武器職人になったんだ?・・・考えるのはよそう。
「それではケロちゃんを回収して、先に進みましょう。」
「「ケロちゃん?」」
何、その可愛らしい名前。ナディアにもわからなかったようで、オレ達は揃って首を傾げる。その様子を見て、ティナが説明してくれる。
「ケルベロスだからケロちゃんです。でも、ケロちゃんは食べられるのでしょうか?」
「ケロちゃんって・・・。」
ティナのネーミングセンスに、ナディアは絶句してしまった。そんなに可愛らしい姿じゃないと思います。でも、地球でも犬は昔食べられてたと聞いた気がする。確か・・・・
「1白2赤3黒4ブチって聞いた事あるから、多分食べられると思うよ?」
「何よ、それ?」
「美味しい順番だって。白い犬が1番美味しいらしくて・・・ケロちゃんは黒いから3番目かな?」
「・・・誰情報なの?」
「ん?前世の記憶。戦後の貧しい時代に、田舎の各家が持ち回りで飼ってる犬を食べたって話を聞いた事がある。ウソかホントか知らないけどね?」
オレの説明に、ナディアは体を掻き抱いて身震いする。犬を飼ってたオレだって、犬を食べようとは思わない。動物は愛でるべき存在なのだ。モフモフは崇高なのである!
「恐ろしい世界ね・・・この世界に産まれて良かったと、初めて思ったわ。」
「3番目ですか・・・1番じゃないのは残念ですが、食べてみればわかりますね!」
ナディアが怖い想像をしている中、ティナは楽しい想像をしていたらしい。オレ、確か『近所で飼われてる犬じゃあるまいし!』って叱られた気がするんですけど・・・。
結局ティナの中でも犬扱いだよね!?
10
あなたにおすすめの小説
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方
tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。
しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。
追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが?
どうなる俺の田舎でのスローライフ???
【完結】奪われたものを取り戻せ!〜転生王子の奪還〜
伽羅
ファンタジー
事故で死んだはずの僕は、気がついたら異世界に転生していた。
しかも王子だって!?
けれど5歳になる頃、宰相の謀反にあい、両親は殺され、僕自身も傷を負い、命からがら逃げ出した。
助けてくれた騎士団長達と共に生き延びて奪還の機会をうかがうが…。
以前、投稿していた作品を加筆修正しています。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる