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第10話 【エリナ視点】断罪
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――『ルクレール』でクロードに別れを告げた日の翌日。
呼び出しに応じる形で、私は懇意にして頂いているさる高貴な方のお屋敷から、数日ぶりにグレイハート邸へ向かった。
外は雨。雨は嫌いじゃない。馬車が時おり水溜まりを踏む音が心地いい。立ち上る泥と草のにおいも、なかなか悪くない。
正門前で馬車が止まるや否や、衛兵が無言で近づいてきた。軽蔑を込めた視線で私を一撫でし、無言のまま背を向ける。無機質な足音に先導され、当主の書斎へと辿り着く。
扉をくぐると、ひたりと、静まり返った空気がまとわりつく。
厚いカーテンに遮られた室内は暗く、辛気臭い。仄かなシャンデリアの明かりだけが、黒檀の大机越しにグレイハート侯爵の顔を照らしていた。深い皴が刻まれた冷たく武骨な見た目は、まるで古びた石像だ。
大机の手前には左にアデライド、右にレオがそれぞれ椅子に座っていた。
アデライドは私が入ってくるなり、ものすごい形相でこちらを見てきた。悪い魔女のような顔。憎しみと怒りで歪み、醜いったらなかった。それとは対照的に、レオはといえば、すっかり気力を失った情けない顔をしていた。どちらの顔も、あまりに極端で、思わず笑いそうになる。
アデライドは私の表情の変化に気が付いたのか、音を立てて椅子から立ち上がり、こちらにまっすぐ指先を突きつける。
「あなた……よくも、よくも……またこの家の門をくぐれましたね……!」
「呼ばれたので来ただけですが」
顔もあわせず言ってやると、甲高い罵声が彼女の口から次々と叫ばれる。……貴族のくせに、随分小物っぽい反応ですこと。
金切り声を遮るようにグレイハート侯爵が鋭く咳払いをする。瞬間、アデライドはぐっと口をつぐみ、この場に再び静寂が戻った。
グレイハート侯爵は見たことがないほどの眼光で、私を見た。色素の薄いヘーゼルの瞳はレオと同じ色なのに……圧が、全く違う。
彼は、岩のように重く、固い声で告げる。
「……エリナ・バレット。今日、ここに呼ばれた理由はわかっているな」
じわりと手汗が滲む。首筋にも、冷たいものが伝った気がした。
でも、この空気に負けたくなくて、私は改めて背筋を伸ばし直す。だって、クロードは『私の強さに憧れる』と言ってくれた。だから最後まで……強くありたい。
「さあ。心当たりが色々あって分かりません」
決意して吐いた言葉は、我ながら挑発的に聞こえた。アデライドは興奮を隠そうともせず、私に一歩踏み出す。
「何ですかその態度は! どれだけ私たちを馬鹿にするつもりです?!」
しかし、グレイハート侯爵に目で制され、わなわな震えつつ、椅子に腰を下ろした。
「アデライドから、君が我がグレイハート家の財産を隠れて売り払ったと聞いているが、それは真実か?」
ようやく本題か。貴族というのは何事にも前置きが長くてまどろっこしい。
「はい。真実です」
「その行いが罪だと、分かっていたのかね」
「……ええ」
『ルクレール』でクロードに出会ってから、私は彼に溺れていった。彼の顔が見たくて、彼の声が欲しくて……次から次へとシャンパンを注いでもらった。
けれど、当然のことながらそれには金が必要だった。はじめは独身時代に贈ってもらった宝飾品を売って金を作っていたけれど、そんなものはすぐ、底をついた。
ならば、とやったことはふたつ。ひとつめは、高貴なお方に『相談』をして援助頂くこと。ふたつめは、グレイハート家の倉庫に眠っていた金目の物を密かに売り払うこと。
そうしなければ私は『ルクレール』に通えず、心を壊しただろう。だから私の行いは、心を生かすためにやったこと。……開き直ってる? ええ、その通り。
――開き直って何が悪い?!
「あなた! この女は……この女は、私とレオの想い出の品を何もかも盗んで、売ってしまったのよ! レオが初めて食事をした、銀のスプーンもよ!」
アデライドが掠れ、上ずる声で訴えるようにグレイハート侯爵に叫ぶ。侯爵は微動だにせず、アデライドに目を向けることさえしない。
「……その他、社交界で複数の男性から援助を受けていると聞いている」
「はい。義母でもない方に毎日いびられて大変だとお話したら、哀れに思って下さった方がお金を恵んで下さいました」
アデライドは私を振り返り、キィっと短く唸った。……へえ、貴族って、本当にこんな風に鳴くのね。
「いびられて?! 家庭教師までつけて、教育を授けてあげて……その言いざまはなんなの? その上、レオというものがありながら、この女は……!」
「そ、そんな……エリナ、その話は嘘じゃ、なかったの……?」
アデライドが髪を振り乱す横で、レオがようやく動揺したような素振りを見せる。久しぶりに会ったけれど、のろまなのは相変わらずのようだ。
「窃盗の上、家の評判を下げるような売春まがいの行為……君をこれ以上、我が家に置いておくことはできない」
アデライドとレオの発言など最初からなかったかのように、グレイハート侯爵は私にそう、宣告した。
少し前まで、自分を殺してでもしがみつこうとしていたこの家。けれど今、そこから追い出されることを宣告され……逆に、胸の重しが失せた気がした。
「さらに、君を自由にする気もない。我が家の醜聞がこれ以上広まることは、到底許容できない」
私は自由になった肺で、深く、大きく息を吸い……覚悟を決め、ただひとつ、問う。
「……私を、どうするおつもりですか」
「辺境の修道院へ送る。そこで一生を送りなさい」
……どんな沙汰が下されるかと思えば、そんなことか。噂話で聞いていた罰より、よほど温情にあふれている。
「そんな、生温い! きちんと我が家としても仕置きを……」
「前時代的な処罰をすれば我が家の品格に関わる。控えなさい」
アデライドがほとんど額がぶつかるような距離でグレイハート侯爵に食い下がったが、あっさりとその提案は却下された。ざまあない。
「父上、あの……」
レオが少し顔を引き締め立ち上がり、何かを言いかけたが……。
「も、申し訳ありません……」
グレイハート侯爵の視線を受けると、すぐに小さくなって椅子に座った。彼が何を主張しようとしたのか分からないが……驚くぐらい興味が湧かなかった。私の中で、彼は終わってしまったのだと、改めて実感する。
「話は終わりだ。……エリナ・バレットを連れていけ。準備が整うまで地下牢につないで、逃さぬように」
侯爵の命令を受け、ふたりの衛兵が私の背後に立つ。乱暴に後ろ手を縛られ、追い立てられるように部屋を出る。
手首に食い込む縄の感触が、じわじわと痛みに変わっていく。引かれながら歩く私の目の前には冷たい床の石目だけが、どこまでも続いていた。
地下牢? 辺境の修道院? ――上等よ。
帝都から追い出されてクロードに会えなくなるのは身を引き裂かれるように辛いけれど……それでも、生きていられれば、いつか逃げ出すこともできるはず。
そして……クロードに会うことだって、きっと。
薄暗い屋敷のなかを進む私の胸のうちには、彼への恋の炎が、まだ確かに灯っていた。
呼び出しに応じる形で、私は懇意にして頂いているさる高貴な方のお屋敷から、数日ぶりにグレイハート邸へ向かった。
外は雨。雨は嫌いじゃない。馬車が時おり水溜まりを踏む音が心地いい。立ち上る泥と草のにおいも、なかなか悪くない。
正門前で馬車が止まるや否や、衛兵が無言で近づいてきた。軽蔑を込めた視線で私を一撫でし、無言のまま背を向ける。無機質な足音に先導され、当主の書斎へと辿り着く。
扉をくぐると、ひたりと、静まり返った空気がまとわりつく。
厚いカーテンに遮られた室内は暗く、辛気臭い。仄かなシャンデリアの明かりだけが、黒檀の大机越しにグレイハート侯爵の顔を照らしていた。深い皴が刻まれた冷たく武骨な見た目は、まるで古びた石像だ。
大机の手前には左にアデライド、右にレオがそれぞれ椅子に座っていた。
アデライドは私が入ってくるなり、ものすごい形相でこちらを見てきた。悪い魔女のような顔。憎しみと怒りで歪み、醜いったらなかった。それとは対照的に、レオはといえば、すっかり気力を失った情けない顔をしていた。どちらの顔も、あまりに極端で、思わず笑いそうになる。
アデライドは私の表情の変化に気が付いたのか、音を立てて椅子から立ち上がり、こちらにまっすぐ指先を突きつける。
「あなた……よくも、よくも……またこの家の門をくぐれましたね……!」
「呼ばれたので来ただけですが」
顔もあわせず言ってやると、甲高い罵声が彼女の口から次々と叫ばれる。……貴族のくせに、随分小物っぽい反応ですこと。
金切り声を遮るようにグレイハート侯爵が鋭く咳払いをする。瞬間、アデライドはぐっと口をつぐみ、この場に再び静寂が戻った。
グレイハート侯爵は見たことがないほどの眼光で、私を見た。色素の薄いヘーゼルの瞳はレオと同じ色なのに……圧が、全く違う。
彼は、岩のように重く、固い声で告げる。
「……エリナ・バレット。今日、ここに呼ばれた理由はわかっているな」
じわりと手汗が滲む。首筋にも、冷たいものが伝った気がした。
でも、この空気に負けたくなくて、私は改めて背筋を伸ばし直す。だって、クロードは『私の強さに憧れる』と言ってくれた。だから最後まで……強くありたい。
「さあ。心当たりが色々あって分かりません」
決意して吐いた言葉は、我ながら挑発的に聞こえた。アデライドは興奮を隠そうともせず、私に一歩踏み出す。
「何ですかその態度は! どれだけ私たちを馬鹿にするつもりです?!」
しかし、グレイハート侯爵に目で制され、わなわな震えつつ、椅子に腰を下ろした。
「アデライドから、君が我がグレイハート家の財産を隠れて売り払ったと聞いているが、それは真実か?」
ようやく本題か。貴族というのは何事にも前置きが長くてまどろっこしい。
「はい。真実です」
「その行いが罪だと、分かっていたのかね」
「……ええ」
『ルクレール』でクロードに出会ってから、私は彼に溺れていった。彼の顔が見たくて、彼の声が欲しくて……次から次へとシャンパンを注いでもらった。
けれど、当然のことながらそれには金が必要だった。はじめは独身時代に贈ってもらった宝飾品を売って金を作っていたけれど、そんなものはすぐ、底をついた。
ならば、とやったことはふたつ。ひとつめは、高貴なお方に『相談』をして援助頂くこと。ふたつめは、グレイハート家の倉庫に眠っていた金目の物を密かに売り払うこと。
そうしなければ私は『ルクレール』に通えず、心を壊しただろう。だから私の行いは、心を生かすためにやったこと。……開き直ってる? ええ、その通り。
――開き直って何が悪い?!
「あなた! この女は……この女は、私とレオの想い出の品を何もかも盗んで、売ってしまったのよ! レオが初めて食事をした、銀のスプーンもよ!」
アデライドが掠れ、上ずる声で訴えるようにグレイハート侯爵に叫ぶ。侯爵は微動だにせず、アデライドに目を向けることさえしない。
「……その他、社交界で複数の男性から援助を受けていると聞いている」
「はい。義母でもない方に毎日いびられて大変だとお話したら、哀れに思って下さった方がお金を恵んで下さいました」
アデライドは私を振り返り、キィっと短く唸った。……へえ、貴族って、本当にこんな風に鳴くのね。
「いびられて?! 家庭教師までつけて、教育を授けてあげて……その言いざまはなんなの? その上、レオというものがありながら、この女は……!」
「そ、そんな……エリナ、その話は嘘じゃ、なかったの……?」
アデライドが髪を振り乱す横で、レオがようやく動揺したような素振りを見せる。久しぶりに会ったけれど、のろまなのは相変わらずのようだ。
「窃盗の上、家の評判を下げるような売春まがいの行為……君をこれ以上、我が家に置いておくことはできない」
アデライドとレオの発言など最初からなかったかのように、グレイハート侯爵は私にそう、宣告した。
少し前まで、自分を殺してでもしがみつこうとしていたこの家。けれど今、そこから追い出されることを宣告され……逆に、胸の重しが失せた気がした。
「さらに、君を自由にする気もない。我が家の醜聞がこれ以上広まることは、到底許容できない」
私は自由になった肺で、深く、大きく息を吸い……覚悟を決め、ただひとつ、問う。
「……私を、どうするおつもりですか」
「辺境の修道院へ送る。そこで一生を送りなさい」
……どんな沙汰が下されるかと思えば、そんなことか。噂話で聞いていた罰より、よほど温情にあふれている。
「そんな、生温い! きちんと我が家としても仕置きを……」
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アデライドがほとんど額がぶつかるような距離でグレイハート侯爵に食い下がったが、あっさりとその提案は却下された。ざまあない。
「父上、あの……」
レオが少し顔を引き締め立ち上がり、何かを言いかけたが……。
「も、申し訳ありません……」
グレイハート侯爵の視線を受けると、すぐに小さくなって椅子に座った。彼が何を主張しようとしたのか分からないが……驚くぐらい興味が湧かなかった。私の中で、彼は終わってしまったのだと、改めて実感する。
「話は終わりだ。……エリナ・バレットを連れていけ。準備が整うまで地下牢につないで、逃さぬように」
侯爵の命令を受け、ふたりの衛兵が私の背後に立つ。乱暴に後ろ手を縛られ、追い立てられるように部屋を出る。
手首に食い込む縄の感触が、じわじわと痛みに変わっていく。引かれながら歩く私の目の前には冷たい床の石目だけが、どこまでも続いていた。
地下牢? 辺境の修道院? ――上等よ。
帝都から追い出されてクロードに会えなくなるのは身を引き裂かれるように辛いけれど……それでも、生きていられれば、いつか逃げ出すこともできるはず。
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