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コロネの新たな商品開発
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無事にモロコシへの伝言は届いたようで、彼はラディッシュの店に走り込んで来た。
「ラディッシュ、フハーッ、お前、日中から魔法の鳥を飛ばすな! 他国の隠密が、どこに潜んでいるか分からんのだぞ! はぁあ」
息を切らしているモロコシは、よっぽど急いで来たようだ。
「ごめんよ、モロコシ。何だか嬉しくて、テンションがおかしくてさ。タハハッ」
「まったく、もう。あんたに何かあったら、エルフの王女、あんたの姉に俺が殺られるんだぞ。勘弁してくれよ。ハァ、ハァ」
ずっと笑っているラディッシュと、眉をひそめて肩で息をするモロコシ。
(ん? 何か、エルフの王女がラディッシュの姉? そんな言葉が聞こえた気がした)
でも……一応彼は私の師匠になってくれるみたいだし、これ以上の複雑設定も面倒臭い。
てな感じで、その台詞は聞いていないことにした。
実際、ラディッシュには言われていないのだ。自ら深追いするのは野暮だ。って言うか、言葉遣いに気を使いたくない。
(敬語……それってば、魔法を習っても全く才能がなくて、その後に接点がなくなりそうになってからでも良いよね?)
問題を先送りしたコロネ。
「それじゃあ私、これから仕事に行きますね。まず洋品店に行ってから、孤児院に行って来ます。何でも孤児院の裏山に、化粧水にできるハーブが鈴なりらしくて。次の販売商品用に、女の子達が配合を考えてくれているんですよ。
素材がただですから、良いものを作って大儲け予定です!」
力を込めた私の言葉に、ラディッシュとモロコシは吹き出して笑う。
「公爵令嬢が大儲けって。やる気がすごいね!」
「見たことがない商品を見て、カルチャーショックを受けているかと思ったのに。コロネはいつも変わらないな。プハハッ」
「そりゃあ、そうでしょ? 叔父達の散財で、月末の決算はいつも不安なの。それに今後、もし公爵家を出ることになっても良いように、貯金もしたいし」
「しっかりしているな」とか、「公爵家、そんなに金に困っているのか?」と、からかわれるけれど、今祖父に関心を持たれるのは避けたいコロネ。
やっと自由に動き出せているのだから。
(両親ともゆっくり過ごしたいしね)
だからコロネは、今日もお金にはシビア。けれど孤児院などの寄付金は減らさない。それは不自由なく生きてきた自分の境遇への感謝と、過去の母のように悲惨な子供達を減らす為である。
もし昔の福祉がもう少しマシだったなら、物のように引き取られたりせず、嫌になれば逃げ出してでも、孤児院に戻れたと思うから。
それに……。
今まで頑張って働いてきた、老人になった平民達のことも。高齢になって住む場所を追われ、狭い施設に押し込められたり、のたれ死ぬことがないようにしたい。
貴族ばかりが死にたくないと、体に良いと言う不老不死の薬を高額で購入したり、食べきれない食材を捨ててしまう、貧富の差は頭が痛い。
チェロスト前子爵にも言いたい。
「前子爵の娘と娘婿、本当に酷いよ。南の島で遊んでないで、活でも入れに戻っておいで。放っておくと破産するよ。もうサイダー夫妻の資金は、貴方達と別ですからね」等など。
家族と暮らす老人達が、「働けないのに、お金がかかって申し訳ない」と、情けない声を出さないで良い生活にしたい。
それは将来も楽しく生きたい、コロネの思いだ。自分達だけ楽しくても周囲が苦しんでいては、きっと心苦しい。
たとえ自己満足と言われても、関わる範囲の人だけにでも、笑っていて欲しいと思うから。
だからお金は、たくさん必要なのだ。
ただ今収支は、ややプラス程度。
微妙な増額なのだ。
セサミが爵位を引き受ければ、借金はなくなり、コロネの野望は少しずつ叶いそうなのに。
もし貴族を辞めたなら、きっともっと商売にのめり込むだろう。
◇◇◇
余談。
ラベンダーやローズマリーなどの薬理作用を持つ植物エキスは、保湿、鎮静、ひきしめ効果が期待できる。
肌質に合わせてカモミール、カレンデュラ等をうまくブレンドすれば、高級品と評価されるだろう。
貴族に売る方は箱や容器を可愛い物にして、少量しか入らないようにすれば、すぐ次が購入される? セコい作戦だが、成功しそうだ。
容器がシンプルな物は平民用で。大容量入りのお得セットを作り、安く売ると良いかな?
フルーツパーラーの、ハーブティーの種類も増やさないと! 乾燥ハーブは、子供達に新芽を選んで摘んで貰おう。
チャリン、チャリンと、小銭が会計の篭で鳴り響く音が聞こえるコロネ♪ 嬉しい幻聴は今日も健在だ。
夜の散歩が楽しみなコロネ。
魔道具を使って、モロコシとラディッシュと一緒に歩く景色。いったい、どう見えるのだろう?
「ラディッシュ、フハーッ、お前、日中から魔法の鳥を飛ばすな! 他国の隠密が、どこに潜んでいるか分からんのだぞ! はぁあ」
息を切らしているモロコシは、よっぽど急いで来たようだ。
「ごめんよ、モロコシ。何だか嬉しくて、テンションがおかしくてさ。タハハッ」
「まったく、もう。あんたに何かあったら、エルフの王女、あんたの姉に俺が殺られるんだぞ。勘弁してくれよ。ハァ、ハァ」
ずっと笑っているラディッシュと、眉をひそめて肩で息をするモロコシ。
(ん? 何か、エルフの王女がラディッシュの姉? そんな言葉が聞こえた気がした)
でも……一応彼は私の師匠になってくれるみたいだし、これ以上の複雑設定も面倒臭い。
てな感じで、その台詞は聞いていないことにした。
実際、ラディッシュには言われていないのだ。自ら深追いするのは野暮だ。って言うか、言葉遣いに気を使いたくない。
(敬語……それってば、魔法を習っても全く才能がなくて、その後に接点がなくなりそうになってからでも良いよね?)
問題を先送りしたコロネ。
「それじゃあ私、これから仕事に行きますね。まず洋品店に行ってから、孤児院に行って来ます。何でも孤児院の裏山に、化粧水にできるハーブが鈴なりらしくて。次の販売商品用に、女の子達が配合を考えてくれているんですよ。
素材がただですから、良いものを作って大儲け予定です!」
力を込めた私の言葉に、ラディッシュとモロコシは吹き出して笑う。
「公爵令嬢が大儲けって。やる気がすごいね!」
「見たことがない商品を見て、カルチャーショックを受けているかと思ったのに。コロネはいつも変わらないな。プハハッ」
「そりゃあ、そうでしょ? 叔父達の散財で、月末の決算はいつも不安なの。それに今後、もし公爵家を出ることになっても良いように、貯金もしたいし」
「しっかりしているな」とか、「公爵家、そんなに金に困っているのか?」と、からかわれるけれど、今祖父に関心を持たれるのは避けたいコロネ。
やっと自由に動き出せているのだから。
(両親ともゆっくり過ごしたいしね)
だからコロネは、今日もお金にはシビア。けれど孤児院などの寄付金は減らさない。それは不自由なく生きてきた自分の境遇への感謝と、過去の母のように悲惨な子供達を減らす為である。
もし昔の福祉がもう少しマシだったなら、物のように引き取られたりせず、嫌になれば逃げ出してでも、孤児院に戻れたと思うから。
それに……。
今まで頑張って働いてきた、老人になった平民達のことも。高齢になって住む場所を追われ、狭い施設に押し込められたり、のたれ死ぬことがないようにしたい。
貴族ばかりが死にたくないと、体に良いと言う不老不死の薬を高額で購入したり、食べきれない食材を捨ててしまう、貧富の差は頭が痛い。
チェロスト前子爵にも言いたい。
「前子爵の娘と娘婿、本当に酷いよ。南の島で遊んでないで、活でも入れに戻っておいで。放っておくと破産するよ。もうサイダー夫妻の資金は、貴方達と別ですからね」等など。
家族と暮らす老人達が、「働けないのに、お金がかかって申し訳ない」と、情けない声を出さないで良い生活にしたい。
それは将来も楽しく生きたい、コロネの思いだ。自分達だけ楽しくても周囲が苦しんでいては、きっと心苦しい。
たとえ自己満足と言われても、関わる範囲の人だけにでも、笑っていて欲しいと思うから。
だからお金は、たくさん必要なのだ。
ただ今収支は、ややプラス程度。
微妙な増額なのだ。
セサミが爵位を引き受ければ、借金はなくなり、コロネの野望は少しずつ叶いそうなのに。
もし貴族を辞めたなら、きっともっと商売にのめり込むだろう。
◇◇◇
余談。
ラベンダーやローズマリーなどの薬理作用を持つ植物エキスは、保湿、鎮静、ひきしめ効果が期待できる。
肌質に合わせてカモミール、カレンデュラ等をうまくブレンドすれば、高級品と評価されるだろう。
貴族に売る方は箱や容器を可愛い物にして、少量しか入らないようにすれば、すぐ次が購入される? セコい作戦だが、成功しそうだ。
容器がシンプルな物は平民用で。大容量入りのお得セットを作り、安く売ると良いかな?
フルーツパーラーの、ハーブティーの種類も増やさないと! 乾燥ハーブは、子供達に新芽を選んで摘んで貰おう。
チャリン、チャリンと、小銭が会計の篭で鳴り響く音が聞こえるコロネ♪ 嬉しい幻聴は今日も健在だ。
夜の散歩が楽しみなコロネ。
魔道具を使って、モロコシとラディッシュと一緒に歩く景色。いったい、どう見えるのだろう?
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