俺達の行方【続編】

穂津見 乱

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満たされてゆく欲望

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石鹸の香りと湯上がりのしっとりとした肌。まだ少し濡れた髪の毛に小さな雫が光って見える。
薄暗い部屋の明かりに浮かび上がるその肌が艶かしい。

顎から喉へ、そして浮き出た鎖骨から広がる胸板の滑らかなラインが男の色気に満ちている。以前よりも盛り上がってきた胸筋は緩かな双丘となり、その中心に薄茶色の綺麗な円、その真ん中にある可愛らしい突起はほんのりとしたピンク色に見える。

その肌を味わうように手の平でなぞり、更に愛おしく指先で辿ってゆく。

聞こえるのは剛の静かな息づかい。その呼吸に合わせてゆっくりと動く胸板、唾を飲み込み小さく上下する喉仏、首元の金の鎖がキラリと光って艶かしさに華を添える。

愛おしいその肌に口唇を押し当てる。柔らかく口づけて舌でも味わう。口唇と舌に感じるその体温、肌の質感、微かな剛の匂いとその味。指先で触れるのとは違う感動が俺の身体をざわつかせる。

胸板から脇腹、そして腰へと手を這わせてゆく。肋骨が触れる場所、筋肉で覆い隠せない身体の急所は剛の急所でもあるらしい。その肌が小さく波打ち震えた。

ゆっくりと口唇を這わせて舌でなぞる。時折震える肌をくすぐるようにして舌先を動かしてみる。腹筋がキュッとしまって小さく身を捩る。逃げる肌を追いかけるように舌を伸ばしてくすぐるとピクピクッと震えて応える。

《うわ!カワイイ》

指先でなぞっては舌を這わせてくすぐって楽しむ。剛の手が伸びてきて小さく抵抗を示した。しつこくやると拒まれてしまいそうだ。

肋骨から下は緩やかなラインを描きながら腰へと続く。柔らかいながらも引き締まった腰。指でなぞり舌を這わせると腹筋がググッと締まって少し浮かび上がる。その中心にある臍は縦長く少し上を向いている。引き締まった下腹部に色気を添える絶妙なバランスだ。

《臍まで色っぽいな》

そこに口唇を押し当て軽く吸い付いて舌でなぞる。舌先を突っ込むようにくすぐると、腹筋がキュッと締まり微かに肌を震わせる。感じているのかこそばゆいのかは分からない。

愛おしいその身体に手を這わせ、指でなぞり、口づけを繰り返し、何度も舌で味わう。唾液で濡れる口唇と肌が触れる度に軽い小さな音がする。チュッと吸い付いては舌先でくすぐる。
剛の息づかいと俺の口づけする音だけが重なり合うように静かな室内に響く。

剛の身体が少しずつ熱を帯びてゆくのが分かる。時折、身体がビクンと反応しては小さく震える。それが少しずつ身体中に広がって肌が波打つように震え始める。その息づかいも徐々に大きくなってゆく。
俺の脳も身体も熱く痺れて、愛おしいその身体に夢中になる。


引き締まった腰の直ぐ下、骨盤の蝶骨部が浮き出て…艶かしい下半身へと俺を誘う。ゆっくり手を滑らせてゆくと、腰からお尻へと膨らみ柔らかな感触に変わる。剛の身体はスラリとしていて腰からお尻も引き締まって見える。その意外な柔らかさに感動する。身体の中で一番肉厚で柔らかい部分だろう。滑らかな手触りと柔らかな感触に心が踊る。

《うわ~、剛のお尻、カワイイ~!》

手の平で包み込みようにして撫でる。時折、筋肉がキュッと収縮して引き締まったり緩んだりする。まるで、可愛らしい生き物のように思えてずっと触っていたくなる。

剛が敏感に感じる下腹部や腰周りをじっくりと攻める。筋肉がギュギュッと収縮しては小さく痙攣する。指でなぞっては舌を這わせ、軽く強く何度も吸い付いてやる。

「はぁ……あ…っ、……あぁ……」

剛の息づかいに交じって時折漏れる小さな声。肌を震わせては少し腰を捩る。ずっと身体で応えてくれている剛の反応も徐々に大きくなっている。俺の腕の中でジワジワと剛の興奮が高まってゆく。俺の脳もどんどん興奮して大胆になってゆく。

そして、いよいよ…。
剛の身体の中心部に視線を移す。既に興奮し始めているのは分かっていたが、なるべく視界に入れないようにしていたのだ。
俺自身、最初は緊張と戸惑いと不安を感じていたものの…既に興奮しきった脳は更なる欲望を求め、胸は高鳴るばかりだ。

《お楽しみはこれからだ!》

自分の中にある欲望が俺を豹変させたかのように…俺が俺でなくなってゆくような感覚。

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