俺達の行方【続編】

穂津見 乱

文字の大きさ
54 / 106

一歩前へ

しおりを挟む
広めでお洒落なユニットバスは、大きめの浴槽と洗面台とトイレが並んでいる。

「うわっ!すげぇ~!なんか洒落てるぜ~!」

「でも、洗い場が無いぞ?!どうするんだ?これ?!」

「浴槽の中で洗うんだろ?」

「身体を洗ってからお湯を入れて浸かるのか?なんか面倒だな…。」

物珍しそうに騒ぐ俺達は修学旅行気分だ。懐かしい話で盛り上がりながら浴槽の中で身体を寄せ合う。大きめの浴槽だが、男2人ではさすがに狭い。泡まみれになりながら、お互いに身体を洗い合う。

「今度は弘人の番だ。ジッとしてろ。」

「なんか…、初めて一緒に風呂に入った時を思い出すよな。あの時も、こんな感じだった…。」

初めて剛と肌を合わせた日を思い出す。あの時も凄くドキドキした。後ろから抱きしめられて触れられて、恥ずかしくて緊張した。それから何度か肌を重ね合わせて、お互いをより強く深く求め合い受け止め合ってきた。そして、俺達の関係は在るべき姿になりつつあるのだろう。

「そうだな…。色々あったよな…。俺は弘人を追いかけるのに必死だったな…。」

「俺も、ずっと…剛を追いかけ来たな。あの頃は、まだ良く分かってなかったけど…俺も必死だったような…?ヘヘッ。」

「フフッ。俺は最高に幸せだぜ。弘人に出逢えて、お前と一緒に居られて…。これからもずっとな…。」

「うん、俺も…。剛が居てくれて、お前に出逢えてホントに良かった。剛のお陰で気付いた事も感じた事もいっぱいある。」

「………フフッ。身体も感じる?……チュッ。」

「バ、バカ!やめろ!直ぐそういう事を言うな!やるな~!やめろって!」

「ハハハ、悪い。弘人が傍に居るとどうしてもな。普段は結構平気なんだけどな?女に迫られてもやりたいとか思わねぇし…。勿論、弘人以外の男は野郎にしか見えねぇからな。」

「え?女に迫られた?!」

「例えばの話だ。俺にその気がないから女も寄り着かねぇよ。前にも言ったろ?俺の下半身はお前の為だけにある。」

「も~う、またそれ言う!」

「フフッ…。で、弘人はどうなんだ?俺だけか…?」

「当たり前だろ!剛以外は頭にない。」

「フフッ。嬉しいぜ、弘人。」

「………。あのな?剛…。」

「ん…?何、弘人?」

「俺…、この前から…、その……、なんかおかしくねぇかな…?」

「何がだ?俺は、すげぇ可愛いくてたまんねぇけど?」

「バカ…、それ言うなよ。」

「何か気にしてんのか?」

「………。なんか…、俺……、エロくなってねぇかな?」

「なんだよ、俺の方がもっとエロいぜ。俺も…抑えが利かなくなってる。お前が欲しくてたまんねぇ…。お前ともっと深く繋がりたいって思う。」

「………剛…。」

「でも、俺は待つぜ。俺は、弘人の心ごと…俺の腕に抱きしめたいって思ってる。だから、いつまでも…待ってる。」

「もう、俺の心は剛でいっぱいだ。」

「うん、俺も…、弘人でいっぱい。」

剛が優しく抱きしめてくれる。互いの想いが互いの心に染み込むように、甘く優しい時間が流れる。

石鹸で滑る手がなめらかに肌を撫でる。剛の腕に抱かれて優しく触れられるのは、気持ちが良くて幸せな気分になる。
だが、ジワジワと身体の奥が熱を帯びて甘い吐息が漏れる。

「はぁ…、ぁぁ…、ん…、剛…。」

「弘人…、好きだよ…。」

剛の低く甘い囁きと柔らかな口唇が耳を撫でる。緩やかに這う手が太腿の上を行ったり来たりしている。直に触れられていない我が身が期待に胸を膨らませ始める。そして、剛のその身も熱を帯び始めている。

「なぁ、剛…?」

「ん…?何、弘人?」

「やっぱり…、挿れるのって…痛いんだよな…。」

「………。まぁ…、そうだな…。」

「………。だよな…。」

「何、考えてる…?俺が言った事、気にしてるのか?」

「いや…、まぁ…、有るような…無いような…。」

「フフッ…。気にするな。今すぐ望んでる訳じゃない。いつかは…そうなれたらいいなって思ってるけどな。」

「………うん、俺も…。」

「それに…、今日は…ちょっと強引にしたからな。悪かった。」

「………?!あっ!そうだ!お前…もしかして…?!」

「………。……フフッ。」

「笑い事じゃねぇよ!?何で…?!」

「ごめん。離れる前に…弘人の味を覚えておきたかった。それに、お前だって俺に…しただろ?」

「ぐ…っ!?……まぁ、あの時は…お前を守りたいって思った。お前を手放したくねぇし、俺のもんだ!って思ったからな。」

「ありがとな。弘人、マジ嬉しい!」

「でも、もうダメだぞ!」

「何で?気持ち良くなかったのか?」

「………。……最強に気持ち良すぎる。」

「じゃあ、また後でやってやる。」

「だから、ダメだって!」

「分かった。約束する。もう、飲み込まない!だから、やっていい?」

「バカ!それ意味違うし!」

「ハハハ、分かったよ。じゃあ、ケツ触っていいか?」

「だから~、それもおかしいだろ!?」

《も~う!ムードぶち壊しだな!》

楽しそうにふざけて笑う剛。俺の気持ちを汲み取ってくれているのだろう、サラリと会話を躱してしまう。

《でも…、当分会えないんだよな…。本当なら、剛だって…》

《いや、でも、いきなりだしな…。準備も心構えもあるし…、やっぱり無理だろ…》

俺の心が揺れ動く。いつかは剛に抱かれる日が来るという事は俺自身が感じている。身体の奥底でその想いの炎が小さくゆらゆらと燃え始めていた。

《でも…、離れ離れになる前に、少しでも剛の想いに応えたいよな…》

「………。剛、ちょっとだけなら…触ってみてもいいぞ。」

「え…?マジで…言ってんのか…?」

「前に…お前、言っただろ?俺が少しずつやってやるって…。」

「分かった。弘人がいいなら…俺も、ちょっとだけ触りたい。」

剛が少し甘えるように身体を擦り寄せてくる。可愛らしく頬にチュッとキスをしてくる。俺の気持ちが嬉しいのだろう、どうやら照れているらしい。

「フフッ。じゃあ…弘人、ちょっとだけいいか?」

剛に促されるように壁に手を着いて腰を浮かせると、スルリとお尻を撫でられる。そのまま秘部へと伸びてくる指先。

俺は何だか胸がドキドキして身体が僅かに緊張する。石鹸でヌルヌルする指先に軽く触れられた瞬間、反射的にお尻がキュッと締まる。軽く撫でられてくすぐったくなる。

「弘人、どう?嫌じゃないか?」

「ああ、ちょっとくすぐったい。でも、大丈夫。」

「じゃあ、もう少しな…。これは?」

「あ…、うん……、大丈夫……。」

「弘人、まだいけるか?」

「はぁ……、ぁあ……、剛……。」

「少しは気持ちいい…?」

「あ…、あぁ……、剛に触られるの…気持ちいい…。」

指先で軽く擦られ、ゆるゆると撫でられ、クイクイと刺激され、徐々に大きく大胆に動き始めた長い指。陰嚢の裏から秘部までを探るように動きながら上手く刺激してくれる。いつしか秘部を触られる事への躊躇も無くなり、もっと触って欲しくなる。

《なんか変な気分…。ケツ触られるのこんな感じなんだ…。触られると妙に興奮してくるよな…?やっぱり俺って変なのかな…?》

「はぁ…っ…、ぁぁ…、剛…、もっと触ってみて…。」

ジワジワと熱くなってゆく股間、剛の指の動きに合わせて腰が揺れ始める。

剛の指先が秘部をクルクルと撫でてくる。少しずつ力が込められてゆき、何となく違和感を感じ始める。そして指先がズルッと滑り込んで来た。反射的に腰が逃げる。

「弘人、悪い。ちょっと指が滑った。でも、痛くはないだろ?俺も自分でやったけど、1本なら何ともないからな。」

「うん、大丈夫。でも、やっぱり…ちょっと違和感あるよな。」

「なぁ、弘人。今度は俺ので擦っていいか?間違っても絶対入らねぇから。指より俺のがいいだろ?弘人のケツ触ってたら興奮してきた。」

「……うん。俺も、なんか興奮してる。」

お互いに疼き始めた身体が熱くなってきている。剛の昂ぶりを感じた俺の身体は期待に熱くなる。

《剛ので擦られると思うだけでケツがムズムズする…!やっぱり、俺って自分で思ってる以上にエロいのかもな…?》

「あぁ…っ!」

剛の熱を秘部に感じて思わず声が出た。直に伝わってくるリアルな感覚、その硬めの男根の熱圧が身体の中心にグッと押し付けられる。剛とのセックスの時に感じた感動と興奮が蘇る。

《あの時の剛はこんな感じだったのか…。熱い…。それに、なんか…嬉しい…》

剛が軽く動かしているのだろう。小さく上下しながらすり寄ってくる感じが愛おしく思える。

《剛ってやっぱり可愛いよな。それに、これ気持ちいい…》

「はぁ…っ…、ん…、剛…、なんか気持ちいい…。剛は?気持ちいい?」

「これ、弘人も気持ちいい?俺も気持ちいいぜ…。」

秘部に感じる剛の熱が上昇してゆくのが分かる。ずっと戯れついてくる剛のその身が愛おしくなる。そのまま受け入れて包み込んでやりたくなる。

《剛、すげぇ可愛い…。すげぇ愛おしい…。このまま挿れられてもいいかも…?セックスするって意味って…こういう気持ちからなんだな…。男とか女とか関係ねぇよな…》

「はぁ…、あぁ…っ、弘人…、すげぇ気持ちいい…。」

剛の興奮が上昇している。秘部に感じる硬さが増して擦られる圧が強くなってくる。濡れた淫美な音が大きくなってゆき、その動きが激しく荒くなる。時折、グッと押し付けられて反射的に秘部がキュッと締る。強く押し付けられると鈍い痛みで身構えてしまう。

《やっぱり痛いな。これは入らねぇ…。挿れるなんて無理だな。剛のを受け入れるって…すげぇ覚悟が要りそうだな…》
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ
BL
☆完結済みです☆ 番外編として短い話を追加しました。 男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ) 中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。 一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ) ……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。 て、お前何考えてんの? 何しようとしてんの? ……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。 美形策士×純情平凡♪

処理中です...