36 / 40
指令2 未知のウイルスから人間を護りきれ!

34:半妖双子姉妹、いざ出動!

しおりを挟む
『明日、日本時間午後〇時から一分間、電波障害を発生させる。異世界から来てしまった新型ポラマセトウイルスを撲滅させるための実験だ。協力してほしい』

 一瞬、犯行予告ともとれるこの文章が投稿された。

蓮『予告状代わりのものは投稿できたよ。あとは二人、よろしく』
美『よろしくって、私まだ二回しか妖力使ったことないんだけどー!』
麻『大丈夫、私のいうとおりにやればできる』


 またも事は急に進展し、しかも実行することになってしまった。

蓮『やっとルイナのアジトが分かったから、ついでにそこを破壊するなりやるか?』
美『えっ、れんとすごい!!』
麻『アジト……。まぁ、女王から「早くこっちに戻らせるためなら、皆殺し以外やっていいよ」って言われたし』
美『なにそれ笑 女王様容赦なくて笑える』

 妖魔界の戦争は敵軍が全滅するまでするのが主流なので、皆殺しがダメと言うだけマシなのだが。

蓮『それじゃあ明日の十一時半、新宿駅西口に集合。言っておくけど俺は行かねぇからな』
麻『まぁそうだよね。了解!』
美『(○´∀`)ゞラヂャ!』

 埼玉県内でやるより、東京でやったほうが電波のやり取りが活発なので、より効果が上がると予想したからである。

「美晴は川口だからいいけどさぁ、私はもっと遠いんですけどって、あれ?」

 しかし実際にルートを調べてみると、いつも学校に行く時の所要時間とあまり変わらない。

「マジか……登校にかかる時間で、ホントは東京にも行けるんか……」

 麻里菜はボフッとベッドに横たわり、呆れ笑いをするのだった。





 麻里菜(マイ)には本来、戦闘着なるものが存在する。変化の時に少し魔力を混ぜることで、服装も変えることができるのだ。
 なぜあの格好なのかは麻里菜自身も分からない。意識的にあの格好にしているわけではない。
 ……青い巫女装束に、茶色のブーツ。何で和洋折衷なんだよ。

 美晴にも、麻里菜の魔力を飛ばしてあげれば服装チェンジはできるだろう。だが、どんな格好になるかはやってみてからのお楽しみだ。

 そのことを昨日美晴に教えたところ、「えっ、めっちゃ楽しみ! 麻里菜の巫女服姿、ぜったいかわいいじゃん!」と、自分より麻里菜の方に思考がいってしまっていたのだが。





 いつものように首にペンダント『サフィー』をさげ、山手線に揺られて新宿に向かう。
 美晴は埼京線を使うそうなので、途中からも会えず、少し寂しく感じる麻里菜。

 って、何でそんなに美晴のこと考えてるんだよ。これから一大イベントをやりに行くっていうのによ。
 向こうに着いたら会えるし。
 
 七人掛けの席の端に座り、蓮斗が出した予告状の反応をスマホで見てみる。

『何で電波とポラマセトが関係あるの?』
『うちのおじいちゃんが隔離部屋で死にそうだから、助けてほしい。今はわらにもすがる思い』
『これウソだったら批判ハンパねぇなww』
『未知のウイルス過ぎてなにもかも分からない』

 まぁ……ですよねぇ。
 電波でウイルスを殺せるなんて聞いたこともないし。しかもコンピューターウイルスじゃないウイルスなんてね。
 しかしここに書いてある声のとおり、成功しなかったら批判どころか威力業務妨害で確実にお縄だ。根拠のないことは言わないマイだけど、絶対成功させなくては。

「まもなく、新宿、新宿」

 よし、特に遅れずに来られてよかった。
 十一時二十四分。作戦決行まであと三十六分。
 改札を出るとすぐに、美晴が大きく手を振って出迎えてくれた。

「あっ、麻里菜~! 私の方が早く着いてたんだね!」
「ごめん、待たせた?」
「ううん、二・三分くらいしか待ってないよ」

 ていうか、美晴超かわいくね?

 真っ白ではないので、オフホワイトくらいの色合いだろうか。くるぶしまである、くしゃくしゃとしたシワ加工のワンピース。そのノースリーブの下にはパステルピンクの半袖シャツがのぞいている。

 私があんなワンピース着たら太って見えるのによぉ……ばっちりハマってていいなぁ。
 それにシャツもワンピースも、私が着たら浮いちゃう色なんだよ。パステルカラーでかわいくなる人ってこういうことか。

 心の中で嫉妬がたらたらと流れつつ、麻里菜は直接褒めてみる。

「美晴、その格好めっちゃかわいいね!」
「ありがと~麻里菜もかわいいじゃん! アースカラー似合うの羨ましい~」
「え、あ、アースカラー?」

 麻里菜が着ているのは、カーキのシャツにマスタードのストレートパンツ、ブラウンの五分袖のカーディガンである。制服以外でスカートはあまり穿きたがらない。

「麻里菜、イエベのオータムじゃん……かっこいい」

 パーソナルカラーという概念を知らない麻里菜は、知らず知らずのうちに買っていた服が茶系と黒系、たまに緑しかない。

「なんで茶色を着てこんなに垢抜けてるの~! いいな~」

 お互いがお互いを羨ましがる、何とも奇妙な結果になったところで、集合時刻の十一時半になって蓮斗から電話がかかってきた。

「よし、まず駅前からは離れて、人通りの少ないところに行って。変化するんだろ?」
「うん。麻里菜、ここから離れて人通りの少ないところに行け、だって」
「了解」

 マスク姿の女子高生二人は、一本 脇道に入っていった。





「いくら脇道といえ、お昼近いから車通りもすごいね」

 麻里菜はここでふと思いつき、声をひそめて美晴に提案してみる。

「じゃあ、変化したら私の魔法で透明化しようか。そうしたら人目も気にせずできるからさ」
「おっ、麻里菜天才じゃん! それなら今変化してもいいんじゃない?」
「そうだね。けっこう妖力使うから、耳としっぽつきで。それじゃあ……」

 麻里菜と美晴はお互いの目を見てうなずき、周りを見渡して誰もいないことを確認してから、手を額にぴたりとくっつける。

「「妖怪変化」」

 黒髪と茶髪の少女たちは、金髪と銀髪の異様な雰囲気をまとった妖怪に姿を変えた。

「空間に溶けこめ、パースピクース」

 麻里菜は手の中に集まった白い光を振りまくようにし、自身と美晴に魔法をかける。身につけているものまでしっかり透明にしていく。
 試しに、妖力を解放すると使えるようになる『脳内会話テレパシー』を美晴にやってみる。こうすれば声を出さなくとも会話ができるので、声で二人の存在がバレないようになる。

『美晴、私の声聞こえる? 今、妖力を使ってテレパシーしてる。透明化の魔法だけど、私たち二人だけにはもやのように見えてるからね』

 美晴は麻里菜をじっと見てから「すごい……」とつぶやき、胸に手を当てた。

『ぅ……。ぁ……』

 美晴もマネしようとしているみたいだ。麻里菜も妖力でなるべくその言葉を拾おうとしている。

『ま……な。ま……り……。ま……りな』

 さすが、飲みこみが早い美晴。

『き……こえ……た?』
『うん、途切れ途切れだけど』
『これなら……声出さなくても……麻里菜と……話せる』

 最近は、目配せだけで何を言いたいのか分かることもあるが、やはりこれができるだけで『戦い』においては有利である。

 テレパシーでおしゃべりしつつその練習をしている間に、十一時五十五分、作戦決行五分前を迎えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。 王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。 だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。 行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。 冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。 無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――! 王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。 これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

「魔神」を拾ったら、なぜか懐かれてトップ配信者に!? 最強の美少女魔神と、巨大すぎるワンコ(フェンリル)と送る、バズりまくりの同

伊部 なら丁
ファンタジー
現代日本、ダンジョン配信全盛期。 視聴者数「0人」が定位置の底辺配信者・ソラは、ある日、ダンジョンの未踏破区域で「人類の天敵」とされる伝説の魔神と遭遇する。 死を覚悟したソラだったが、絶世の美少女の姿をした魔神・ティアグラが興味を示したのは——ソラの持っていた「焼きそばパン」と「スマホ」だった!?

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~

秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。 五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。 都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。 見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――! 久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――? 謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。 ※カクヨムにも先行で投稿しています

香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫
キャラ文芸
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞受賞しました(^_^)/  香を操り、死者の想いを知る一族がいる。そう囁かれたのは、ずっと昔の話だった。今ではその一族の生き残りすら見ず、誰もが彼ら、彼女たちの存在を忘れてしまっていた。  ある日のこと、一人の侍女が急死した。原因は不明で、解決されないまま月日が流れていき……  その事件を解決するために一人の青年が動き出す。その過程で出会った少女──香 麗然《コウ レイラン》──は、忘れ去られた一族の者だったと知った。  香 麗然《コウ レイラン》が後宮に現れた瞬間、事態は動いていく。  彼女は香りに秘められた事件を解決。ついでに、ぶっきらぼうな青年兵、幼い妃など。数多の人々を無自覚に誑かしていった。  テンパると田舎娘丸出しになる香 麗然《コウ レイラン》と謎だらけの青年兵がダッグを組み、数々の事件に挑んでいく。  後宮の闇、そして人々の想いを描く、後宮恋愛ミステリーです。  シリアス成分が少し多めとなっています。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...