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第二話 使命
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すると、虎は猫パンチならぬ虎パンチを繰り出してきた。
「わっ!」
避けられるわけがない。だが、左頬に当たる擦れ擦れのところでパンチは外れた。いや、この距離で外れるわけがない。敢えて左頬擦れ擦れを狙ったのだ。
「出ていけ愚か者が!!!」
虎は大声で言った。鋭利な犬歯を見せながら。不思議な現象を目の当たりにしている恐怖と猛獣に襲われる恐怖が拮抗して、俺はノックアウト寸前だった。
反撃しないと殺される。
虎は新しい一発を食らわせるべく、拳を握りしめていた。俺は虎が動作するタイミングを探る。
今だ。
虎は拳を振りかざす。と同時に相手の懐へ入り、みぞおちに膝蹴りを食らわせた。
「ぐはっ!」
断末魔と共に、虎は倒れこんだ。
「何しやがる———」
虎は腹を押さえながら俺を睨みつける。
「はははは。威勢のいい少年だ」
後ろで一部始終を見物していた招き猫が笑った。
「だが、許してやってくれ。コイツはお前に危害を加えようとしたわけではない。あそこを見ろ」
招き猫は鳥居の下辺りを自分の目で照らした。まるで車のヘッドライトである。そこには、モヤモヤした黒い物体が招き猫の如く浮いていた。大きさは丁度俺の身長位だろうか。
「あれは、今までお前に悪さをしていた悪霊だ。たった今、この猛虎が追い払ったがな。少し体が身軽になったとは思わんか」
言われてみればそんな気がする。肩がスッと軽くなったような、何かから解き放たれたような…。
「確かに…」
最近、不幸続きなのはあの悪霊のせいだったのだ。決して、俺に欠損があるわけではない。
「せっかく助けてやったのにこの仕打ちかよ。やっぱり、人助けなんかするもんじゃない」
そんなこと言われても。
「まぁ、まぁ。今日はわしの顔に免じて許してやってくれ。それと、少年。すまなかったな。脅かしてしまって。先に説明すべきだったが…その…面倒だった」
いや、面倒って。
「だが、お主の一撃は実に良かった。武術でも習っておるのか?」
話をすり替えてきた。
「いえ、帰宅部なんで」
俺は首を横に振る。むしろ嫌いな分野だ。痛いし。痣もできる。だから、小学校の体育でやった空手の授業もずる休みしていた。
「なるほど。では、生まれ持った才能ということか。これは結構。おかげでお前にコイツを任せられそうじゃ」
招き猫は虎の方を見て言った。
「いやいや、お断りっすよ。俺は。何でこんな奴と…」
「そうか?中々、お似合いだと思うぞ。今朝の少年を窓越しから見ていてそう思った。」
今朝って、まさか。
白い物体。大きな目に、尖った耳。そして、不自然に浮遊している。見た目は完全に一致していた。気のせいではなかったということか。やれやれと俺は軽い溜息を吐いた。
「それに、人助けをしたいと言ったのはお主ではないか、猛虎」
「まぁ、言いましたけど…。俺は——」
「そういえば、名を聞いていなかったな」
猫神が話を遮る。猛虎はふてくされ、あからさまにため息を吐いた。
「桐林零一です…」
俺は少し戸惑いつつ、素直に答えた。
「“れいいち“か。実にいい名だな」
招き猫がそう言うと、何も書かれていなかった小判に「喜」という文字が浮かび上がる。
「わしは、ここ黒安神社に祀られている神、猫神じゃ。見た目も相まってそう呼ばれておる」
「神様!?その見た目で?」
「おい!猫神様に向かって無礼だぞ!小僧」
虎は俺の頭を鷲掴みにした。物凄い握力だ。頭が割れるように痛い。
「離してやれ」
猫神のその一言で、虎は俺を睨みつけながら頭から手を離した。
「この血気盛んな虎は、猛虎。わしが名付けた」
猛獣の猛に虎か。神様じゃなくても名付けられそうな名前だ。よく見ると、身体が微妙に透けている。なるほど。これも嘉戸の言った通りという事か。まぁ、普通に考えてこれ程まで大きい虎は存在するわけがないのだ。
「零一」
猫神が口を開く。いつの間にか小判に書かれた「喜」という文字は消えていた。
「あの眼鏡娘、御法川美麻を知っているか?」
今までとは一変して、場に重い空気が流れる。御法川美麻。確かにそう聞こえた。何故、ここで彼女の名前が?
「ええ、知ってます。一応、同じクラスなんで。あんまり話したことは無いですけど…」
今後も話すことはないのだろう。彼女に嫌われているのだから。
「彼女を守って欲しいのだ」
「守る?」
「そうだ。今、眼鏡娘が置かれている状況はお主も知っておろうな?」
俺は頷いた。きっと、二階堂の執拗な虐めのことだろう。
「彼女はこの先、様々な脅威に晒される。自身では解決できない程の脅威に。それは、徐々に強大なり、やがて彼女を滅ぼすだろう」
猫神の話を聞いていると、昨日の夕暮れ時に浮かべた御法川の表情を思い出す。というか、ずっと頭から離れないのだ。あの時の彼女は、俺だけでなくこの世の全てに怯えているようであった。
「そんな眼鏡娘を守ることが出来るのは、お主と猛虎だけなのだ」
隣の猛虎ならともかく、俺には無理だ。彼女を助ける理由も無ければ、守る力も無い。
「俺には出来る気がしません」
はっきりとそう言った。それを聞くなり、猫神は声を荒げた。
「お主にしか出来ないと言っておろうが。それとも何だ?神様であるわしを信じられないというのか!!」
小判には「悲」という文字が浮かび上がってきた。途端に、猫神は子供の様にわんわん泣き始めた。
「わしは…わしはダメな神様なんだ!!うえーん」
泣き叫びながら猫神は不規則に宙を高速で漂っている。わめき声は徐々に大きくなり、俺は思わず耳を塞いだ。
「分かったっすから!落ち着いて!ほら、小僧!お前も何か言え!」
虎は俺を横目で見ながら促した。
「ああもう!…引き受けますよ!だから、泣き止んでください!」
「それは、真か?」
渋々、俺は頷いた。すると、小判に書かれた文字は「悲」から消え、猫神は素に戻った。
「泣き落とし作戦、大成功じゃ。わーい、わーい」
泣き止むと、今度ははしゃいだ声で再び飛び回る。まったく、落ち着かない神様だ。
「はぁ、何でこの俺がこんな冴えないガキと組まなければいけないのだ」
猛虎が愚痴をこぼす。それは、こっちのセリフだ。幽霊と行動を共にするというだけでも不気味なのに、何だってこんな巨大な猛獣と。それに、幽霊に何ができるというのだ。心の中でふと思っていると、猫神は宙に浮遊したまま静止した。小判からは「大喜」の文字は消え、打って変わって深刻そうな雰囲気を醸し出している。
「早速だが、事態は急を要する」
「それって…一体、どんな?」
「眼鏡娘———御法川美麻は、明日激しい暴漢に遭う」
「暴漢…」
昨日の下駄箱での出来事を思い出した。きっと、あの時も——。二階堂は、確かにいけ好かない奴だ。だが、暴漢を働くほど野蛮な奴ではなかった。それに、二階堂には別の中学に付き合って四ヶ月の彼女がいると、嘉戸から聞いたことがある。彼がそんな行為に及ぶ理由が分からない。
「二階堂 博太は“奴ら“の力に飲まれる寸前だ。完全に飲まれてしまう前に、何としても”奴ら“を撃退し、彼女を救い出すのだ。彼女の為に。そして、この町の為に」
第三話へ続く
「わっ!」
避けられるわけがない。だが、左頬に当たる擦れ擦れのところでパンチは外れた。いや、この距離で外れるわけがない。敢えて左頬擦れ擦れを狙ったのだ。
「出ていけ愚か者が!!!」
虎は大声で言った。鋭利な犬歯を見せながら。不思議な現象を目の当たりにしている恐怖と猛獣に襲われる恐怖が拮抗して、俺はノックアウト寸前だった。
反撃しないと殺される。
虎は新しい一発を食らわせるべく、拳を握りしめていた。俺は虎が動作するタイミングを探る。
今だ。
虎は拳を振りかざす。と同時に相手の懐へ入り、みぞおちに膝蹴りを食らわせた。
「ぐはっ!」
断末魔と共に、虎は倒れこんだ。
「何しやがる———」
虎は腹を押さえながら俺を睨みつける。
「はははは。威勢のいい少年だ」
後ろで一部始終を見物していた招き猫が笑った。
「だが、許してやってくれ。コイツはお前に危害を加えようとしたわけではない。あそこを見ろ」
招き猫は鳥居の下辺りを自分の目で照らした。まるで車のヘッドライトである。そこには、モヤモヤした黒い物体が招き猫の如く浮いていた。大きさは丁度俺の身長位だろうか。
「あれは、今までお前に悪さをしていた悪霊だ。たった今、この猛虎が追い払ったがな。少し体が身軽になったとは思わんか」
言われてみればそんな気がする。肩がスッと軽くなったような、何かから解き放たれたような…。
「確かに…」
最近、不幸続きなのはあの悪霊のせいだったのだ。決して、俺に欠損があるわけではない。
「せっかく助けてやったのにこの仕打ちかよ。やっぱり、人助けなんかするもんじゃない」
そんなこと言われても。
「まぁ、まぁ。今日はわしの顔に免じて許してやってくれ。それと、少年。すまなかったな。脅かしてしまって。先に説明すべきだったが…その…面倒だった」
いや、面倒って。
「だが、お主の一撃は実に良かった。武術でも習っておるのか?」
話をすり替えてきた。
「いえ、帰宅部なんで」
俺は首を横に振る。むしろ嫌いな分野だ。痛いし。痣もできる。だから、小学校の体育でやった空手の授業もずる休みしていた。
「なるほど。では、生まれ持った才能ということか。これは結構。おかげでお前にコイツを任せられそうじゃ」
招き猫は虎の方を見て言った。
「いやいや、お断りっすよ。俺は。何でこんな奴と…」
「そうか?中々、お似合いだと思うぞ。今朝の少年を窓越しから見ていてそう思った。」
今朝って、まさか。
白い物体。大きな目に、尖った耳。そして、不自然に浮遊している。見た目は完全に一致していた。気のせいではなかったということか。やれやれと俺は軽い溜息を吐いた。
「それに、人助けをしたいと言ったのはお主ではないか、猛虎」
「まぁ、言いましたけど…。俺は——」
「そういえば、名を聞いていなかったな」
猫神が話を遮る。猛虎はふてくされ、あからさまにため息を吐いた。
「桐林零一です…」
俺は少し戸惑いつつ、素直に答えた。
「“れいいち“か。実にいい名だな」
招き猫がそう言うと、何も書かれていなかった小判に「喜」という文字が浮かび上がる。
「わしは、ここ黒安神社に祀られている神、猫神じゃ。見た目も相まってそう呼ばれておる」
「神様!?その見た目で?」
「おい!猫神様に向かって無礼だぞ!小僧」
虎は俺の頭を鷲掴みにした。物凄い握力だ。頭が割れるように痛い。
「離してやれ」
猫神のその一言で、虎は俺を睨みつけながら頭から手を離した。
「この血気盛んな虎は、猛虎。わしが名付けた」
猛獣の猛に虎か。神様じゃなくても名付けられそうな名前だ。よく見ると、身体が微妙に透けている。なるほど。これも嘉戸の言った通りという事か。まぁ、普通に考えてこれ程まで大きい虎は存在するわけがないのだ。
「零一」
猫神が口を開く。いつの間にか小判に書かれた「喜」という文字は消えていた。
「あの眼鏡娘、御法川美麻を知っているか?」
今までとは一変して、場に重い空気が流れる。御法川美麻。確かにそう聞こえた。何故、ここで彼女の名前が?
「ええ、知ってます。一応、同じクラスなんで。あんまり話したことは無いですけど…」
今後も話すことはないのだろう。彼女に嫌われているのだから。
「彼女を守って欲しいのだ」
「守る?」
「そうだ。今、眼鏡娘が置かれている状況はお主も知っておろうな?」
俺は頷いた。きっと、二階堂の執拗な虐めのことだろう。
「彼女はこの先、様々な脅威に晒される。自身では解決できない程の脅威に。それは、徐々に強大なり、やがて彼女を滅ぼすだろう」
猫神の話を聞いていると、昨日の夕暮れ時に浮かべた御法川の表情を思い出す。というか、ずっと頭から離れないのだ。あの時の彼女は、俺だけでなくこの世の全てに怯えているようであった。
「そんな眼鏡娘を守ることが出来るのは、お主と猛虎だけなのだ」
隣の猛虎ならともかく、俺には無理だ。彼女を助ける理由も無ければ、守る力も無い。
「俺には出来る気がしません」
はっきりとそう言った。それを聞くなり、猫神は声を荒げた。
「お主にしか出来ないと言っておろうが。それとも何だ?神様であるわしを信じられないというのか!!」
小判には「悲」という文字が浮かび上がってきた。途端に、猫神は子供の様にわんわん泣き始めた。
「わしは…わしはダメな神様なんだ!!うえーん」
泣き叫びながら猫神は不規則に宙を高速で漂っている。わめき声は徐々に大きくなり、俺は思わず耳を塞いだ。
「分かったっすから!落ち着いて!ほら、小僧!お前も何か言え!」
虎は俺を横目で見ながら促した。
「ああもう!…引き受けますよ!だから、泣き止んでください!」
「それは、真か?」
渋々、俺は頷いた。すると、小判に書かれた文字は「悲」から消え、猫神は素に戻った。
「泣き落とし作戦、大成功じゃ。わーい、わーい」
泣き止むと、今度ははしゃいだ声で再び飛び回る。まったく、落ち着かない神様だ。
「はぁ、何でこの俺がこんな冴えないガキと組まなければいけないのだ」
猛虎が愚痴をこぼす。それは、こっちのセリフだ。幽霊と行動を共にするというだけでも不気味なのに、何だってこんな巨大な猛獣と。それに、幽霊に何ができるというのだ。心の中でふと思っていると、猫神は宙に浮遊したまま静止した。小判からは「大喜」の文字は消え、打って変わって深刻そうな雰囲気を醸し出している。
「早速だが、事態は急を要する」
「それって…一体、どんな?」
「眼鏡娘———御法川美麻は、明日激しい暴漢に遭う」
「暴漢…」
昨日の下駄箱での出来事を思い出した。きっと、あの時も——。二階堂は、確かにいけ好かない奴だ。だが、暴漢を働くほど野蛮な奴ではなかった。それに、二階堂には別の中学に付き合って四ヶ月の彼女がいると、嘉戸から聞いたことがある。彼がそんな行為に及ぶ理由が分からない。
「二階堂 博太は“奴ら“の力に飲まれる寸前だ。完全に飲まれてしまう前に、何としても”奴ら“を撃退し、彼女を救い出すのだ。彼女の為に。そして、この町の為に」
第三話へ続く
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