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奉られて剣士さま、で窮地。
6.間合
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俊哉、稜水、ともにかまえたまま動かない。
お互いに相手の力量を推し量っている。
どの程度の力か。癖は。得意の技は。
俊哉の剣からはらはらと光がこぼれ、観衆が大いに盛り上がる。
だが稜水は、そんなもので惑わされなかった。
―――本当に冷静だな。いやな相手だ。
ふいに稜水が打ち込んできた。
右袈裟、左袈裟。俊哉も型通りに受ける。まだ本気は感じられない。
横に薙いだ。受ける。
ふいに鋭い突き。身を捩ってかろうじて剣で横に逸らす。
振りかぶって斬撃。跳びすさる。
(大丈夫だ。見えている)
外科医として培った目は、捨てたものでもないようだ。
さて、ここから。
勝つ。
誰にも文句を言わせないくらい圧倒的な力を見せつけなくてはならない。
俊哉は腰だめに剣をかまえ、飛び込んだ。
稜水の剣が鋭く迫る。顔のすぐ横で俊哉が受ける。鋼がぶつかって火花がはじける。
俊哉が反対側に跳ぶ。後ろに回り込まれた稜水が振り返って後ろに飛び、間合いをとる。
その間を空けず俊哉が踏み込む。
「!」
反射的に顔の前に剣を上げた稜水。胴が一瞬がら空きになる。
だがそれにかまわず稜水の脇をすり抜け、舞うように身体をひねって後ろ手に反対側の胴に剣を叩きこむ。
俊哉の剣から飛んだ光の粉が、稜水の腰の辺りを打った。寸止め。
観衆が一瞬息を呑み、次いで歓声が沸き上がった。
「お見事。ただ勝つだけでなく、派手に勝つとはな」
剣を降ろした稜水が声をかけてきた。本当にいやになるくらい冷静だ、と俊哉は顔をしかめた。
だが稜水の声に悪意はない。
そこから先は無礼講だった。
領主をはじめ人々に囲まれてしまった俊哉は、しのぎに近づくことすらできなかった。
宴が果てたのは夜半である。
領主の家人が、神官を家まで送ってくれた。
俊哉は神官に従って、しのぎを背負って歩いていた。さすがに力尽きたようだ。今夜のはたらきを思えば無理もない。
まだたった二日なのに、ずいぶんと経ったような気がする。この娘にはどれだけ助けてもらっただろう。
この恩に報いることができるだろうか。
今はただ、礼を言うことしかできない。
「しのぎ。ありがとな」
しのぎは静かな寝息で答えるだけだった。
お互いに相手の力量を推し量っている。
どの程度の力か。癖は。得意の技は。
俊哉の剣からはらはらと光がこぼれ、観衆が大いに盛り上がる。
だが稜水は、そんなもので惑わされなかった。
―――本当に冷静だな。いやな相手だ。
ふいに稜水が打ち込んできた。
右袈裟、左袈裟。俊哉も型通りに受ける。まだ本気は感じられない。
横に薙いだ。受ける。
ふいに鋭い突き。身を捩ってかろうじて剣で横に逸らす。
振りかぶって斬撃。跳びすさる。
(大丈夫だ。見えている)
外科医として培った目は、捨てたものでもないようだ。
さて、ここから。
勝つ。
誰にも文句を言わせないくらい圧倒的な力を見せつけなくてはならない。
俊哉は腰だめに剣をかまえ、飛び込んだ。
稜水の剣が鋭く迫る。顔のすぐ横で俊哉が受ける。鋼がぶつかって火花がはじける。
俊哉が反対側に跳ぶ。後ろに回り込まれた稜水が振り返って後ろに飛び、間合いをとる。
その間を空けず俊哉が踏み込む。
「!」
反射的に顔の前に剣を上げた稜水。胴が一瞬がら空きになる。
だがそれにかまわず稜水の脇をすり抜け、舞うように身体をひねって後ろ手に反対側の胴に剣を叩きこむ。
俊哉の剣から飛んだ光の粉が、稜水の腰の辺りを打った。寸止め。
観衆が一瞬息を呑み、次いで歓声が沸き上がった。
「お見事。ただ勝つだけでなく、派手に勝つとはな」
剣を降ろした稜水が声をかけてきた。本当にいやになるくらい冷静だ、と俊哉は顔をしかめた。
だが稜水の声に悪意はない。
そこから先は無礼講だった。
領主をはじめ人々に囲まれてしまった俊哉は、しのぎに近づくことすらできなかった。
宴が果てたのは夜半である。
領主の家人が、神官を家まで送ってくれた。
俊哉は神官に従って、しのぎを背負って歩いていた。さすがに力尽きたようだ。今夜のはたらきを思えば無理もない。
まだたった二日なのに、ずいぶんと経ったような気がする。この娘にはどれだけ助けてもらっただろう。
この恩に報いることができるだろうか。
今はただ、礼を言うことしかできない。
「しのぎ。ありがとな」
しのぎは静かな寝息で答えるだけだった。
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