あなたの人生、なまくらですか?

桐坂数也

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盗賊は深追い注意、で逆撃。

3.代償

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見知った顔を見つけて、かがりが明らかにほっとした表情をうかべたのを、賊の一人がめざとく気づいた。

「剣を捨てろ!人質がどうなってもいいのか!?」


ここからどうやって人質全員を奪取するか。俊哉も思案した。

賊は追い詰められている。ここで自棄になって、捨て身で暴れられても困る。。


すたすたと俊哉は前に進み出た。思わぬ大胆な行動に賊は慌て、あとじさる。

「寄るな!人質がどうなっても……。」

さらに前に進む。

「剣を捨てろ!!」

「ほらよ」

俊哉は無造作に剣をほうり投げた。


予想外の行動に、賊も、追手も呆気にとられる。

「好きにしろ。その代り人質を放せ。おれが代わりになる」

「俊哉さま!」

かがりが叫んだ。

「だめです!剣を執ってください!あたしなんかのために……。」

「大丈夫だ、かがり。心配するな」

俊哉はなだめるように語り掛け、「みんな、こっちに来い。おれが代わりだ」と声を張った。

俊哉は盗賊の群れに近寄り、盗賊の頭目の真ん前に立った。

盗賊たちは戸惑っていた。自分から人質になるなど、聞いたことがない。

反対に人質たちがそこから離れようとする。

「人ひとり救えなくて、なにが神の刃だ。そんなものなら要らねえよ。貴様らにくれてやる」


あまりに無防備な俊哉の態度に、賊は顔を見合わせた。ともかくも、と、ひとりが捨てられた剣を拾おうとする。

「いいのか?神の刃だぞ。お前らに扱えるのか?神罰が降ってもしらないぞ?」

俊哉の言葉に、賊はびくっと震えて動きを止めた。見透かしたように俊哉は薄笑いをうかべている。


「うかうかしていると取り囲まれるぞ。
そら!後ろだ!」

俊哉の叫びに賊はいっせいに振り返り、武器をかまえた。

その隙を俊哉は見逃さなかった。後ろから頭目に体ごとぶつかる。
人のいる方に飛ばしたので、三人ほどがぶつかり合って転がった。

同時にかがりが、別のひとりを突き飛ばした。

「かがり!こっちに来い!」

俊哉が叫ぶ。駆け寄ったかがりの手をつかんで走り出す。

後ろから盗賊が剣を振りかぶって殺到する。俊哉はとっさにかがりを抱きかかえ、横に跳ねて転がる。

代わって飛び込んできたのは、稜水以下の剣士たち。

たちまち乱戦になった。が、俊哉の惹き起こした混乱から盗賊は立ち直れず、斬り伏せられ無力化されていった。


「かがり。大丈夫か?」

かがりを助け起こしながら俊哉が尋ねる。

「こんな無茶をして。だめじゃないか。怪我はないか」

かがりは答えず、ぎゅっと俊哉にしがみついた。

「お、おい、どうした。どこか痛くしたか?」

「俊哉さまこそ、危ないことをなさって……。だめじゃないですか。
俊哉さまにもしものことがあったら、しのぎ姉さまになんとお詫びしたらいいのか……。」

「馬鹿だな。そんなこと……。」

俊哉はかがりの頭をなでた。かがりは俊哉にしがみついたまま、顔をあげなかった。
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