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事業計画を立案中、で呻吟。
6.来訪
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「刃の軍団が行く手を薙ぎ払いながら都を目指している」
そう聞いたときは、なんの冗談かと俊哉も思ったが、話に誇張はあっても冗談ではないらしい。
市場で噂を聞いた俊哉は、なじみの青果卸の亭主に詳報を求めた。
この亭主とは前々から話をしていて、いろいろな計画を画策していた。ひとつは物流網の整備、もうひとつは情報のネットワーク、つまりは民間の諜報活動である。
「ああ、その話は聞いているよ。軍団とは大げさだが、本当に剣の刃が何人もいるらしいな」
亭主は噂話をざくっとまとめてくれた。
「詳しいことはわかるかい? 人数とか、今どこにいて何処に向かっているとか」
「数十人の集団らしい。それだけなら大きな盗賊団と変わりないけどな。その頭目が、あんたと同じ戦刃の御使いらしいよ」
いよいよ来たか。
「北の方から手勢を増やしつつ、まっすぐ都を目指しているという話だ。途中いくつかの村を斬り従えただの、豪傑を斬り伏せただの、いろいろと尾ひれがついちゃいるが、目指すは都らしい」
「ということは、この辺りには来ないかな?」
「それは定かでないねえ。なにしろまだ噂だから」
情報網の整備が追いつかなかったか。仕方がない。それはこれからの課題だ。
領主の館へ取って返す。早駆けができればもっと時間の節約になるのだが。それも今後の課題だ。
(課題ばかりだな)
俊哉は苦笑するしかない。この世界に来てまだひと月と経っていない。できないことを嘆くより、手持ちの札で出来ることを考えるしかない。
刃の軍団の噂は、領主のところにも届いていた。こちらは自分たちの治安に係わる問題なので、関心も高いようだ。
「で、どんな具合になっている?」
かなり近いところまで来ているらしい。人数は五十人ほど。「戦刃の遣い」を自称する剣士を先頭に、剣の刃の使い手が五人ほどいるらしい。
今まで聞いたこの世界の風習では、刃は一軍にほぼ一人。それぞれが一騎打ちで雌雄を決する。二人以上いないのは、どちらが上だとか指揮権がどうだとか、角突き合わせる結果にしかならないからだろう。
ところがこの軍団は、そんなしきたりに囚われていない。斬新である。
(やっかいだな)
実力至上主義、と言えるだろうか。すると俊哉の「威光」もどこまで通じるか分からない。
ともあれ。
「領主さま」
俊哉は進み出て発言の許しを請うた。
「私が物見に出て、かの軍団の動向を見て参ります」
「ううむ。だが危険ではないか」
領主が気にしているのは、俊哉の身の安全というより、この地域の安全であろう。
ここは街道から外れている。うまくすれば軍団は直進し、ここには近寄らないかも知れない。それをわざわざ出て行っては、やぶへびにならないとも限らない。
「ですが、刃の噂が先方に届いているかもしれません。なれば街道まで出て談判に及んだ方が、この地に注意が向けられる可能性は低いかと」
召喚者が、同じ召喚者に会いに来る可能性は高い。だとすればここで迎え撃つより、離れた場所でまず会談の機会を持った方がこの地に被害が及ぶ恐れは少ないだろう。
仮に戦闘に突入した場合、この地にいた方が有利ではある。だが戦力を考えた場合、ここにいるメリットはあまりない。むしろ自分のせいでここが戦火に巻き込まれ、焼け野原にされたりしては、俊哉としても見るに忍びない。
この地はこの世界で俊哉が得た、貴重な地盤だ。大事にしたいし、見知った人々をひどい目に合わせたくもない。
さりとて、なにか算段があるかというと。
(まずは相手を確かめてからだな)
なんの情報もなしにあれこれ詮索しても意味がない。相手がどんな人物で、何を目的としているのか。話はそれを確認してからだ。
そう聞いたときは、なんの冗談かと俊哉も思ったが、話に誇張はあっても冗談ではないらしい。
市場で噂を聞いた俊哉は、なじみの青果卸の亭主に詳報を求めた。
この亭主とは前々から話をしていて、いろいろな計画を画策していた。ひとつは物流網の整備、もうひとつは情報のネットワーク、つまりは民間の諜報活動である。
「ああ、その話は聞いているよ。軍団とは大げさだが、本当に剣の刃が何人もいるらしいな」
亭主は噂話をざくっとまとめてくれた。
「詳しいことはわかるかい? 人数とか、今どこにいて何処に向かっているとか」
「数十人の集団らしい。それだけなら大きな盗賊団と変わりないけどな。その頭目が、あんたと同じ戦刃の御使いらしいよ」
いよいよ来たか。
「北の方から手勢を増やしつつ、まっすぐ都を目指しているという話だ。途中いくつかの村を斬り従えただの、豪傑を斬り伏せただの、いろいろと尾ひれがついちゃいるが、目指すは都らしい」
「ということは、この辺りには来ないかな?」
「それは定かでないねえ。なにしろまだ噂だから」
情報網の整備が追いつかなかったか。仕方がない。それはこれからの課題だ。
領主の館へ取って返す。早駆けができればもっと時間の節約になるのだが。それも今後の課題だ。
(課題ばかりだな)
俊哉は苦笑するしかない。この世界に来てまだひと月と経っていない。できないことを嘆くより、手持ちの札で出来ることを考えるしかない。
刃の軍団の噂は、領主のところにも届いていた。こちらは自分たちの治安に係わる問題なので、関心も高いようだ。
「で、どんな具合になっている?」
かなり近いところまで来ているらしい。人数は五十人ほど。「戦刃の遣い」を自称する剣士を先頭に、剣の刃の使い手が五人ほどいるらしい。
今まで聞いたこの世界の風習では、刃は一軍にほぼ一人。それぞれが一騎打ちで雌雄を決する。二人以上いないのは、どちらが上だとか指揮権がどうだとか、角突き合わせる結果にしかならないからだろう。
ところがこの軍団は、そんなしきたりに囚われていない。斬新である。
(やっかいだな)
実力至上主義、と言えるだろうか。すると俊哉の「威光」もどこまで通じるか分からない。
ともあれ。
「領主さま」
俊哉は進み出て発言の許しを請うた。
「私が物見に出て、かの軍団の動向を見て参ります」
「ううむ。だが危険ではないか」
領主が気にしているのは、俊哉の身の安全というより、この地域の安全であろう。
ここは街道から外れている。うまくすれば軍団は直進し、ここには近寄らないかも知れない。それをわざわざ出て行っては、やぶへびにならないとも限らない。
「ですが、刃の噂が先方に届いているかもしれません。なれば街道まで出て談判に及んだ方が、この地に注意が向けられる可能性は低いかと」
召喚者が、同じ召喚者に会いに来る可能性は高い。だとすればここで迎え撃つより、離れた場所でまず会談の機会を持った方がこの地に被害が及ぶ恐れは少ないだろう。
仮に戦闘に突入した場合、この地にいた方が有利ではある。だが戦力を考えた場合、ここにいるメリットはあまりない。むしろ自分のせいでここが戦火に巻き込まれ、焼け野原にされたりしては、俊哉としても見るに忍びない。
この地はこの世界で俊哉が得た、貴重な地盤だ。大事にしたいし、見知った人々をひどい目に合わせたくもない。
さりとて、なにか算段があるかというと。
(まずは相手を確かめてからだな)
なんの情報もなしにあれこれ詮索しても意味がない。相手がどんな人物で、何を目的としているのか。話はそれを確認してからだ。
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