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覇権主義の刃使い、で談判。
1.邂逅
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先触れは走らせてあった。
街道から少し入った、坂の原という所で、俊哉は馬から降りた。
側にはしのぎが控える。
男衆は離れたところに見えないように控えている。いざという時の備えだが、わずか四人しかいないから、いざといっても逃げるだけだ。だがそのための準備は怠りない。
待つことしばし。
遠くに騎馬の一団が見えた。
騎馬は5、6騎。その後ろに徒士の兵士が続いている。得物はみな、剣のようだ。
先頭が御使い、召喚者であろう。簡素ではあるが、鎧をまとっている。
やがて、顔がわかるくらいに近づいた。
(ん?)
俊哉は違和感を覚えた。見おぼえがあるような気がしたのだ。
さらに近づき、騎馬の一団は、召喚者を先頭に俊哉と対峙した。
「……館脇?」
相手も俊哉を認めた。
「山名……か?」
「いや、まさか。本当に館脇なのか?」
館脇勝仁。高校の時に知り合い、その後も時おり会っては夢を語り合っていた仲間。
野心家だった。経営コンサルタントになるのだと熱く語っていた。その彼が今、目の前にいる。
ただ一人異世界に放り出されてから、初めて会う旧知の人物に、俊哉は胸が熱くなった。思わず駆け寄ってがっちりと握手をしたい気分だった。
しかし。
この世界の鎧をまとい、剣を腰に帯びた姿は、およそ俊哉の知る館脇ではなかった。
怜悧な細面は無精ひげにおおわれ、ぎらついた目つきは内に秘めていた野心を隠そうともしていない。
「山名、お前までこの世界に召喚されていようとはな。不思議な縁もあったものだ」
先に声をかけたのは館脇だった。
「同感だよ。お前も戦刃の刃となったのか」
「そうだ」
ふたりはにらみ合った。どうやら旧交をあたためる、という雰囲気ではない。
「館脇。おまえはこの世界に何を望む?」
「もちろん、覇権だ」
明快な答えに、俊哉は思わず苦笑いした。
「ずいぶんベタじゃないか。お前ほどの人間がそんなことを言うなんて意外だったよ」
館脇は押し黙っている。
かなり頭の切れる奴だと思っていた。だが住む世界が変わり、どんな心境でいるかと思えば、意外と俗っぽい。
(こいつほどの切れ者でも、そんな夢にとらわれるのだな)
ある意味、戦刃の思うつぼというか、意地悪な言い方をすれば目的どおりに躍っている、と言える。
「男なら誰でも考えることじゃないのか? その機会を得たんだ。思うまま、フリーハンドで自分の野望を実現できる。こんな舞台がほかにあるか?」
「確かにな」
勢い込んで畳みかける館脇に、俊哉はゆったりと同意した。論争したり、まして敵対するつもりはない。
「それで? お前さんはどうしたいんだい? 都に上って、天下に号令したいのか?」
「もとよりそのつもりだ」
「いいんじゃないか? 邪魔するつもりはまったくないよ」
それは俊哉の本音だったが、館脇は乗ってこなかった。目を細めて、俊哉を値踏みするように見る。
「山名。お前はどうする?」
街道から少し入った、坂の原という所で、俊哉は馬から降りた。
側にはしのぎが控える。
男衆は離れたところに見えないように控えている。いざという時の備えだが、わずか四人しかいないから、いざといっても逃げるだけだ。だがそのための準備は怠りない。
待つことしばし。
遠くに騎馬の一団が見えた。
騎馬は5、6騎。その後ろに徒士の兵士が続いている。得物はみな、剣のようだ。
先頭が御使い、召喚者であろう。簡素ではあるが、鎧をまとっている。
やがて、顔がわかるくらいに近づいた。
(ん?)
俊哉は違和感を覚えた。見おぼえがあるような気がしたのだ。
さらに近づき、騎馬の一団は、召喚者を先頭に俊哉と対峙した。
「……館脇?」
相手も俊哉を認めた。
「山名……か?」
「いや、まさか。本当に館脇なのか?」
館脇勝仁。高校の時に知り合い、その後も時おり会っては夢を語り合っていた仲間。
野心家だった。経営コンサルタントになるのだと熱く語っていた。その彼が今、目の前にいる。
ただ一人異世界に放り出されてから、初めて会う旧知の人物に、俊哉は胸が熱くなった。思わず駆け寄ってがっちりと握手をしたい気分だった。
しかし。
この世界の鎧をまとい、剣を腰に帯びた姿は、およそ俊哉の知る館脇ではなかった。
怜悧な細面は無精ひげにおおわれ、ぎらついた目つきは内に秘めていた野心を隠そうともしていない。
「山名、お前までこの世界に召喚されていようとはな。不思議な縁もあったものだ」
先に声をかけたのは館脇だった。
「同感だよ。お前も戦刃の刃となったのか」
「そうだ」
ふたりはにらみ合った。どうやら旧交をあたためる、という雰囲気ではない。
「館脇。おまえはこの世界に何を望む?」
「もちろん、覇権だ」
明快な答えに、俊哉は思わず苦笑いした。
「ずいぶんベタじゃないか。お前ほどの人間がそんなことを言うなんて意外だったよ」
館脇は押し黙っている。
かなり頭の切れる奴だと思っていた。だが住む世界が変わり、どんな心境でいるかと思えば、意外と俗っぽい。
(こいつほどの切れ者でも、そんな夢にとらわれるのだな)
ある意味、戦刃の思うつぼというか、意地悪な言い方をすれば目的どおりに躍っている、と言える。
「男なら誰でも考えることじゃないのか? その機会を得たんだ。思うまま、フリーハンドで自分の野望を実現できる。こんな舞台がほかにあるか?」
「確かにな」
勢い込んで畳みかける館脇に、俊哉はゆったりと同意した。論争したり、まして敵対するつもりはない。
「それで? お前さんはどうしたいんだい? 都に上って、天下に号令したいのか?」
「もとよりそのつもりだ」
「いいんじゃないか? 邪魔するつもりはまったくないよ」
それは俊哉の本音だったが、館脇は乗ってこなかった。目を細めて、俊哉を値踏みするように見る。
「山名。お前はどうする?」
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