魔法少女の敵なんだが魔法少女に好意を寄せられて困ってる

ブロッコリークイーン

文字の大きさ
13 / 44

第12話

しおりを挟む
 最後の最後に美味しいところはくれてやったから倒すことが出来た。

 今回倒すことが出来たのは間違いなく余のおかげだ。

 余が桜井莉緒の父親を助けてやったから合体技を出せたのだ。

 だから実質は余の勝利と言っても過言ではない。

「本当は宇野くんはなんでここに来たの?」

 あのデカブツを倒した魔法少女どもは余に近づいてきて桜井莉緒が代表で質問を投げかける。

「余はクラスの王だからな」

 別に余も変身して瞬殺をしてやっても良かったのだがな。

 だが、ナイトメアは魔法少女の敵として認識されているから今後ややこしくなってくる。

 あと、デスゴーンにまで目をつけられているからナイトメアで助けると、魔法少女とデスゴーンにも敵となってしまうからそこは避けたい。

 だから今回はクラスの王を理由に助けたと言うことにしておく。

「いや、ただのクラス委員だから」

「ていうか、あんた何者なの」

 高宮千沙が会話を遮って聞いてくる。

「だからクラスの王だと言っているだろ」

「答えになってない」

 答えになっているだろ。

 余が王だから強いのだ。

「怪我は大丈夫なのですか?」

 九重菫は心配な表情を浮かべる。

「心配するな、余は王だからな」

「それも答えになっていませんよ」

 だからなんでなんだよ、余は王だからこんな怪我は怪我に入らない。

「というかお前らは良いのか?」

「なにが?」

「余の名前を呼んで」

「それのなにがいけないの?」

「余の名前を知っていて、同じクラスメイトで、女、余の知っている限りではほんの数人だぞ」
 
「あ」

 バカだろこいつら。

「あと、授業を抜け出した三人。ほら、もう誰だか分かった」

 まぁ余は元々知っていたがな。

「これ、やばくない?」

「バレちゃったよ」

「どうしましょう」

 魔法少女は明らかに動揺を隠せないでいる。

 ということは本当はバレてはいけなかったんだな。

「女神様に怒られるのかな?」

 女神様?

「女神様って怒るのかな?」

「絶対にバレてはいけないって言ってましたしね」

 余の敵は魔法少女以外にもいるのかよ。

 先が思いやられる。

「うっ」

 近くで桜井莉緒の父親がうめき声が聞こえた。

「おい、桜井莉緒。父親は良いのか」

「あ、お父さん」

 桜井莉緒は父親のところへ急ぐ。

 またこいつは。

「おい、変身は解かなくて良いのか」

「あ」

 桜井莉緒は急いで変身を解く。

「私たちも」

 高宮千沙と九重菫も変身を解く。

「お父さん。大丈夫?お父さん」

 桜井莉緒は父親をゆすりながら声をかける。

「うっ、莉緒か?」

「そうだよ、莉緒だよ」

「あ、宇野くんに、莉緒の友達かな?」

 どーも、みたいな感じで二人は頭を下げる。

 余は頭を下げないがな。

 桜井莉緒の父親は体を起こし、頭を抱える。

「僕はどうして……そうだ、変な奴に話しかけられて、そして…」

 デスゴーンだな。

「きっとデスゴーンだよね」

「そうですね」

 高宮千沙と九重菫も分かったようだ。

「で、僕はどうやって助かったんだ?」

「あー、魔法少女が助けてくれて、さっき帰って行ったよ」

 雑な嘘だな、いつかバレるぞ。

 ここで桜井莉緒は深呼吸をし、意を決して口を開く。

「お父さん。やっぱり私がいると邪魔なんだと思うの」

「だからそんなことないって。莉緒がいないと僕は寂しいよ」

「嘘つき、お父さんはお母さんがいないから寂しいんだよ、ほんっとにいつまで引きずってるの?早く別の良い人見つければ良いじゃん、私に気を使うんだったら私出て行くから」

 桜井莉緒は完全に頭に血が昇っている。

「別に僕はもう妻のことは引きずってないよ」

「だから嘘つかないでよ。お父さんは知らないと思うけど怪人化になっている時に寂しいって言ってたんだよ」

 余が桜井莉緒の父親を引きずり出そうとした時だな。

 あと、そういうことを言うと魔法少女だとバレるぞ。

「あれがお父さんの本音なんだって、口でなんて言おうが本心は寂しいんだよ」

「莉緒。僕はね」

「もういいって」

 桜井莉緒は父親の発言を遮る。

「ちょっ落ち着きなって」

「少し冷静に」

 高宮千沙と九重菫はあまりに冷静が欠けているのを見て、桜井莉緒を止めようする。

「二人は黙ってて」

 止めるようとした二人を一蹴する。

 あーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーどうするかなぁ。

 もう余はこいつらを助ける義理なんてほんの少しもない。

 むしろ敵だ。

 もしかしたらまた桜井莉緒の魔法が使えなくなる可能性すらあるから助けない方が莫大なメリットがある。

 だが、見てしまったんだよなぁ。

 桜井莉緒の父親の過去を。

「おい」

「なに?邪魔しない」

 パチンッ

 桜井莉緒の頬を両サイドからシンバルのようにビンタをかました。

 桜井莉緒は体がビクッとする。

 両手で頬を挟んで無理矢理余の方を向かせて強引に目を合わせる。

「一旦頭を冷やせ」

「なにずんの」

「お前は父親が引きずってると言っているが、本当に引きずってるのはお前なんだろ」
 
「え」

「お前の父親は最初から変わってない。最初から母親の死に変わってしまったのはお前なんだよ」

 これが余が桜井莉緒の父親の過去から見た真相だ。

「な、桜井莉緒の父親」

 余の仕事はここまでだ。

 あとは桜井莉緒の父親に任せる。

「え、うん」

 いきなりのパスに驚く桜井莉緒の父親。

「妻が亡くなってから莉緒は変わった」

 そして桜井莉緒が変わっていったことを語っていく。

「最初は妻の代わりになろうとしていたけど徐々に料理も服のたたみ方も癖も仕草も服装も髪型も朝はパン派になったのも好きな色も全部妻の真似をするようになったね」

 桜井莉緒は母親の代わりではなく、母親になろうとしていたのだ。

「妻の代わりになろうと頑張ってくれるのはありがたいんだけど、妻になろうとしなくて良いんだよ」

 桜井莉緒は思い当たる節があるのか俯いてたまま話を聞く。

「僕はね莉緒と一緒にいたいんだよ。僕と妻の娘の桜井莉緒と」

 やっと自分の気持ちを伝えることが出来たな。

「最近は妻になりきった莉緒だったから寂しかったんだよ」

 これが桜井莉緒の父親にとっての負の感情だったのだ。

 あの時サビシイィィィィと言っていたのはこれが原因である。

「ねぇ莉緒。もう一度やり直そう、家事とかも全部分担しよう。次は妻になろうとする莉緒じゃなくて、僕と妻の間に生まれてきた桜井莉緒として」

 桜井莉緒の父親の目から涙がこぼれ落ちる。

「どうかな?もう一度僕と一緒にあの家にいてくれるかな?」

「おどうさーん」

 桜井莉緒は涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになりながら父親に抱きつく。

「ゔんゔん。私もお父さんと一緒にいたい」

 これが家族の絆というやつなのか。

 余には一生味わうことが出来ないのだろうな。

 ようやく終わった。

 怪人化も倒せたし、桜井莉緒と父親のことも解決出来たし、良かった良かった。

 あれ?全く良くない。

 なにをやっているのだ余は、これだったら余が魔法少女の味方みたいではないか。

 本来の目的を見失っていてしまっていた。

 過去に戻れるのなら今すぐにでも戻りたい。

「あ、宇野くん」

 桜井莉緒が余を呼ぶから桜井莉緒の方を見る。

「ありがとう」

 え?

 こいつ今、余にありがとうって言ったのか?
 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする

エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》  16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。  告白されて付き合うのは2か月後。  それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。  3人のサブヒロインもまた曲者揃い。  猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。  この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?  もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!  5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生! ※カクヨム、小説家になろうでも連載中!

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...