【完結】恋は、友とビールとおいしい料理と

桜井涼

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第1章 香奈子編「私があなたに惹かれた理由」

10.思いもよらぬ優しいキス

「あつ…し…」

スマホに表示された名前を見た途端、後頭部を何か硬いもので殴られたかのような衝撃が走った。
なぜ…?今になって…私を苦しめるの?くらくらする頭でどうにか、やっとの思いで通話ボタンをスライドさせた。

「もし、もし…」
「香奈子、ごめん。この間は本当にごめん。オレどうかしてたんだ。」

これまで何度も心地よさを感じていた声が聞こえてきた。でも、今はその心地よさはまったくなかった。
ごめんって、どういうこと…?

「……」
「香奈子、聞いてる?オレ、謝るからさ。香奈子のこと傷つけて本当にごめん。」
「…」
「あのあと、すぐに香奈子に謝ろうと思ったんだ。でも、会社には出てきていないし、携帯にかけたけど電波が届かないって言われるしで。やっとつながって良かった。」
「……」
「オレたちやり直さないか。」
「!」

篤志の「やり直さないか」の言葉を聞いた瞬間、顔を上げた。私が電話に出たことに気を使って、車のドアに背をつけて立って待っている若だんなを見つめた。
この島に来なかったら、若だんなに出会わなかったたら、「うん」と返事をしたかもしれない。でも、今は篤志じゃない、私は違う人のことを想っている。

私が涙を流さなくていいように、毒のある言葉で刺激してくれる人。
悲しみの中にいた私をゆっくりと癒してくれた人。
私のために車や店のドアをさりげなく開けてくれる人。
自分が良いと思ったものを一番いい形で差し出してくれる人。
さりげなく歩道側に誘導してくれる人。
私の足元を心配して手をつないでくれる人。

私は、一番つらい時に支えてくれた若だんなを想っている…。そのことをはっきり認識した。

「ごめんなさい、私たちはもう終わったでしょ。やり直せないと思う。ごめんなさい」
「ちょっと…」
篤志の声が聞こえたけど、こちらから電話を切った。
そして、車の傍に立つ若だんなのところへと急いだ。
私に気づいた若だんなが笑顔でこっちを見ている。

「電話、終わりました?」
「はい」
「よりを戻したいって話じゃないんですか。もしそうなら戻した方がいいですよ」
「えっ」
「あっ、何となくなんです。あんなに悲しんでる香奈子さんを見たら、その方がいいような気がしただけで」
「いえ、私は…」

会話を遮るようにまたスマホが鳴る。篤志からだ。若だんなの方を見ると下を向いている。
今度はすぐに出てきちんと断ろうと思い、電話に出た。

「もしもし」
「香奈子、やり直せないってどういうことだよ?」
「そのままの意味。それにもうかけてこないで。私たちは終わったの」
「だから謝るって言ってるじゃないか。それでもダメなのかよ!」
「もうやめて!」

そう言って電話を切ろうとしたら、スマホをするりと私の手から取りあげた。顔を上げると若だんなが話している。

「あなたが香奈子さんの別れた元婚約者さんですか?」
「なんだよ、お前誰だよ!香奈子を出せ!」
「私は香奈子さんが宿泊されている宿の者です。香奈子さんが嫌がっている以上、電話をおつなぎすることはできません。」
「お前に関係ないだろう、宿のスタッフが客のことに干渉するなよ、いいから香奈子を出せ!」
「私は以前、都内の○○法律事務所でパラリーガルをしておりまして、現在も実家の宿を手伝いながら地元の法律事務所で手伝いをしております、本間涼太郎と申します。あなたが行っている行為は、ストーカー規制法第二条第一項第三号に違反されておられるようですが?」
「なんのことだよ。」
「ストーカー規制法第二条第一項第三号とは、面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求することです。香奈子さんが「やめて」とおっしゃっているのに強制的に交際を続けようと要求しておられるのですよね」
「!いや、その…それは…」
「これ以上香奈子さんにつきまとい、このような電話で交際を迫るような場合は、法的手段で解決したいと思っておりますので」
「たかがパラリーガルだろ。弁護士でもないくせにそんなこと…」
「パラリーガルでも弁護士先生のお手伝いをさせていただいていますので、法律には詳しいですよ。それに私から弁護士先生にお願いすることはいくらでもできますから」
「わかったよ、もう香奈子には近づかない。これでいいんだろ」
ガチャ、ツーッ

電話が切れたようで若だんながため息をついた。そして、私のスマホを返してくれた。

「香奈子さん、これでもう大丈夫です」
「あっ…あの。」
「はい?」
「法律がどうのって…」
「話していませんでしたね。今でも島内の弁護士事務所で週に何日かと、宿が暇なときに手伝いに行っているくらいなので話さなくてもいいかと…」
「いえ、ありがとうございました。私、篤志の威圧的な言葉を初めて聞いて怖くて。どうしようって」
「大丈夫です、オレが守ってあげます」

そういうとふわっと若だんなに抱きしめられた。若だんなの胸の鼓動が聴こえてきて。温かくて触れているところが全部熱を持っている。さっき握られた手よりもずっとずっと…。
私の想いが通じたんだってそう感じた。

「オレ、香奈子さんのこと好きになりました」

耳元で若だんなの声が聞こえてきた。私も好きって言おうと思ったけど、若だんなに体を離されて。

「すみません。こんなこと言うつもりなくて。香奈子さんを困らせるつもりじゃなかったんです。本当にすみません、今の忘れてください」

そういうと、助手席側に私を乗せた。
私はあっけに取られて何も言えなかった。だって、若だんなに好きと伝えても私は明日東京に帰る。一時の気持ちをぶつけられて、若だんなに前のときのような失恋した気持ちを味わってほしくなかった。だから、私は黙っていた…。

運転席に乗った若だんなが何か言う前に、もう少しだけ二人だけの時間を過ごしたい、そう思った。

「あの、海に連れて行ってください。最後のお願い…」

下を向いてそう言うのが精一杯だった。

「わかりました。遊覧船にでも乗りますか。船の底から海底が見えるんですよ」
「じゃあそこに連れて行ってください」

エンジンをかけた若だんながこっちを向いて笑って頷いた。


遊覧船に乗って空はしゃぎした私は、船底を見過ぎて酔ってしまい、早々に宿に戻ることになった。心配したのか若だんなは、助手席を倒し窓を開けて私が楽な体制になれるようにしてくれた。そして、売店に戻って行ったかと思うと、ブランケットを買ってきたらしく私に掛けた。そして、宿までゆっくりなスピードで運転してくれた。
信号で止まると、こちらを見ては「大丈夫ですか?」と手をなでてくれた。

宿に着いてからは、私をおぶって部屋まで連れて行ってくれて、布団を敷いて休ませてくれた。
部屋を出るとき、

「香奈子さん、夕飯は部屋まで持ってきますね。無理して階段から落ちたら危ないんで。無理しないで寝ててください。あとで、何かスッキリする飲み物を持ってきますから」
「ごめんなさい。迷惑かけて…」
「迷惑なんて思ってないですから」

そう言うと、若だんなは静かにドアを閉めて部屋を出て行った。
若だんなが階段を降りていく足音が聞こえる…。その音を聞きながら今日会ったことを思い出していた。そのうちに眠りについてしまった。


目を覚ますと、お膳と机の上にはメモと水が置かれていた。誰かが寝ている間に様子でも見に来たようだ。体を起こすと、帰ってきたときにはひどかっためまいと吐き気が治まっている。
机の上のメモを手に取ってみたら、「目が覚めたら電話をください。温かいおかゆをお持ちいたします。 涼太郎」と書かれていた。名前の下には若だんなの携帯番号も書かれている。時計を見ると、すでに夜9時。さすがにこの時間にかけるのはまずいだろうと思った。
起き上がってお膳を見ると、漬物や小鉢類にはラップがかかっている。茶碗は裏返してある。

「あ~だからおかゆか。でも、お腹空いてない…かな」

今日も波の音が聞こえる。
若だんなとの距離が波のように近づいたり離れたりしているかのよう。でも、明日には帰らなければならない。私の気持ちは伝えていないけれど、私もきちんと伝えて遠距離でもいいからもっと若だんなのことを知りたい。最初は何も言わない方がいいと思ったけど、勇気を出して言ってくれた若だんなには私の気持ちを知ってほしい、そう思った。
若だんなからのメモを手に取り、電話をかけた。

「もしもし、香奈子さんですか?」

1コール鳴ってすぐに若だんなの声がしたので、驚いてしまった。まさか、かかってくるのをずっと待っていたのだろうか…。

「すみません、今目が覚めてメモに気がついたのでこんなに遅くなってしまいました」
「大丈夫ですよ、具合はどうですか?」
「起き上がれるまでになりました。ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
「そんな、これくらいなんともないです。今からおかゆをお持ちしますから待っていてくださいね」
「いや、食欲が…」

話が終わる前に切れてしまった。おかゆを持ってきてくれるというので少し待っていよう。
でも、なんて伝えたらいいの?「私も好きです」なんて、失恋して傷心旅に来た女の口から出たらびっくりするだろうし、次の相手を探す目的で来たなんて思われたら?なんて言って気持ちを伝えたらいいのかまったくわからないまま、ノックの音がした。

「はい」
「おかゆをお持ちしました」
「どうぞ」
「失礼します」

そう言って入ってきたのは、女将さんだった。若だんなじゃなくてホッとした気持ちと、がっくりした気持ちが入り混じっていた。

「お客さん、お加減はいかがですか?」
「だいぶ良くなりました。ご迷惑をおかけしてすみません」
「いえいえ、遊覧船で気分が悪くなってしまう方は時々いらっしゃいますからね。」

そう話しながら、お膳にある茶碗におかゆをよそってくれた。

「うちの若だんなはちゃんとご案内できましたでしょうか?」
「はい、とても楽しかったです。佐渡ヶ島がこんなに良いところだなんて知りませんでした。自然豊かで海と山とでは魅せる表情というか景色がまったく違っていて。すごく好きになりました」
「それはよかったです。次は海水浴ができる夏にでも遊びに来てください」
「はい!ぜひそうします」
「では召し上がった夕食はお膳ごと廊下に出しておいてくだされば結構ですので」
「わかりました。こんな夜遅くなのにありがとうございました」
「とんでもございません。ごゆっくりお過ごしくださいませ」

そう言うと、女将さんは頭を深々と下げて部屋を出て行った。
温かそうな湯気の立っているおかゆ達がのったお膳の前に座って、小鉢のラップを取り食べ始めた。おかゆの優しい味が若だんなの優しさに何となく似ていた。

しかし、胃の方はまだ復活していないようで、おかゆ以外はほとんど手を付けられなかった。申し訳ないとはわかっていたが、ラップを元に戻し、廊下に出すことにした。

それから横になってぼーっと波の音を聞いていると、またノックの音がした。きっとおかみさんが残したお膳を下げにきたついでに具合でも聞きにきたのかと思って、「どうぞ」と声をかけた。
ガチャ。
ドアを開けたのは若だんなだった。

「えっ、どうして?」
「大丈夫か様子を見に来たんですよ。ダメでしたか?」
「いえ大丈夫です」
「中に入ってもいいですか?」
「あっはい、どうぞ」

私は寝ていた布団から起き上がり座り直した。若だんなもドアを閉めると私の近くに来てあぐらをかいて座った。

「…」
「……」

お互い気まずい空気が流れ、しばらく黙って座っていた。

「明日、何時のフェリーで帰るんですか?」

最初に口を開いたのは若だんなだった。

「朝食を食べたら出ようかと。その時間だと何時になりますか?」
「9時半のジェットフォイルがありますね。新潟に着くのは10時37分です」
「じゃあそれで、朝のうちにタクシーを呼んでおいてもらえますか?」
「オレが送ります。見送りくらいさせてください」
「だって、平日ですよ。仕事があるんじゃないですか」
「香奈子さんを1人にしたら乗り過ごしてしまうんじゃないかって心配なんですよ」
「私、子どもじゃないんですけど」

顔を見合わせてクスッと笑い合った。最初もこんな感じで子ども扱いというか、人生の迷子扱いされたなぁって思い出してしまった。

「オレが送り出したいんですよ、香奈子さんのこと」
「どうして?」
「オレの大事なお客さんだから」
「!」

その言葉を聞いて涙がこぼれ落ちた。

「私、若だんなのこと昨日から宿の人っていう目で見ていませんでした。ずっと気になっていて若だんなの姿、目で追いかけて。好きになりかけているのかなって、自分の気持ち、よくわからなくて…。でも、今日手をつながれたときとか、篤志から電話がかかってきたときとか、若だんなを好きになった理由がいっぱい出てきて。あ~私この人のこと好きになったんだなって…失恋して恋なんてしたくないって思っていたのに何でか……」

泣きながら若だんなのことが好きだという気持ちが涙と一緒に出てしまった。こんなことを話すつもりなんてなかったのに。若だんなが明日の帰る時間なんて聞くから、つい気持ちを抑えることができなくなってしまったんだ…。

「香奈子さん、泣かないで」
「わかってるんですけど…涙が止まらなくて…」

若だんなにもう一度抱きしめられた。

「こんなにいろんなことを考えさせてしまったんですね。オレのせいです、ごめんなさい」
「違います。きっと私、若だんなに拾われたときから気になっていたんだと思います」

若だんなは何も言わず、私の頭をずっと優しくなでてくれていた。心臓の音が聞こえる。心地いい音。でも、ずっとこのままでいることはできなくて、そっと若だんなから離れようと顔を上げた。若だんなと視線が合ったその瞬間。優しいくちびるが降ってきた。重なり合ったくちびるはとても柔らかくて、私はとろけてしまいそうになった。何も考えられなくなった…。
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