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退院したばかりでも。

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家庭環境が悪く、バイトをしながら貧乏な寮生活を送っていた俺の名は、神崎天音(カンザキアマネ)。

ある日、向井絢斗(ムカイケント)という研修医と出会い、生活が一変した。

彼はかっこよくて背も高く、お金持ちで、……その上、ドSだった。

自他共に認めるドMの俺には、ピッタリの彼氏だ。


(本編「コドクニアラズ」でたまにセックスシーンが入るが、これは、その部分を加筆修正して再録した話である。ただエロに注目しただけの短編。)

とある探偵もどきを行い、犯人に殺されそうになった俺は、ケントさんに救出され、なんとか助かった。



2週間の入院生活の後、一度ケントさんのおうちに外泊することになった。




「はあ、さすがに体力落ちたな。ケントさん、あとで散歩しましょうよ。ここら辺、緑が多くて気持ち良さそう」

久しぶりに病院の外に出ると、それだけで疲れた。小さな段差や障害物、音や風、ちょっとしたことに体力を奪われ、病院内がいかに病人に優しい造りだったのか実感した。

マンションのエレベーター内でケントさんを散歩に誘うと、ケントさんは
「えー、部屋で3日間いちゃこりゃする」

「なっ、何ですか、いちゃこりゃって!!」

「セックス」

わざと、低音を響かせてケントさんはささやいた。

この人はもーと思いながらも、素直に嬉しかった。












「ま、待って、ぇあっ」

ケントさんは後ろからしがみつき、強い力でオレの首筋に噛みついた。

「あ゛ッ」

「やっぱダメだ、もうがまんできない」

「ちょっケントさっんッ」

「黙って」

「んっ!!」

玄関で靴を脱ぐ前に押し倒され、両手首を強く握られた。唇を舐められ、舌先を絡ませ、吸い付き、ケントさんの妖艶な唾液が咥内に流れ込み、オレの喉を通った。ゴクン、と喉がなると、ケントさんは目を合わせ、
「えっろ……」
と笑った。

靴を脱がされた俺は、抱きかかえられてソファまで連れていかれた。L字型のソファの角に3つほど置かれたクッションに、そっと背中から下ろされた。ケントさんの首に絡ませた腕を、離すのが惜しくて、ケントさんを潤んだ瞳で見つめた。
「あまねもヤる気になってるじゃん」

「……ケントさんのこと、好きなんです」

「オレも」

ケントさんの舌を迎え入れた咥内に、クチュクチュと卑猥な音が鳴り響く。

顔の向きを変え、舌の絡め方を変え、グチュリ、グチュリと繋がった咥内は熱を帯びて身体中をとろけさせた。


クチュ、



クチュ、



クチュ、


っは、はぁ━━っ

酸素不足になり、以前より早く息が上がる。


力が抜け、絡ませた腕を下ろした。クッションに乗せた指先が、かすかに震える。

「はぁ、はぁ」
ケントさんの唇が離れると、少し顔をそむけ荒く呼吸をした。

ケントさんは親指で優しく頬をさすり、目元をさすり、耳にキスを落とした。




「疲れたな、なにか飲むか?」


「ご、ごめんなさい……」


はぁ、はぁ、と息を吐き、ぼやけた視界を調整しようとまぶたを閉じると、重くて開けれなくなった。

はぁ、はぁ、はぁ……










「……ああ、悪いな。荷物だけ今度渡す……」


ケントさんが、電話をかけていた。ぼんやりと、ソファからケントさんの後ろ姿を眺める。

暖かくて、肌触りの良い毛布がかけられていた。

「……ケントさん、すみません……寝ちゃいました」

「起きたか。お茶飲む?」

「飲みます……」

コップを口元に近付け、ゆっくりと傾けてくれた。

コクン、コクン、

少し口の端からこぼれた滴を、ケントさんが指先でぬぐってくれた。

「あまね、年末はどうするつもりだ?」

「年末ですか……去年は寮にいましたね……」

「直哉と実家に帰る予定だったんだがキャンセルしたから、ここで過ごさないか?」
ケントさんはK県出身で、高校時代の同級生である結城直哉さんは親友だ。

嬉しい。

「いいんですか?」

嬉しい。

「体力戻ってないから、寮で過ごすのも大変だろ。今年、学校もあと数日じゃないか?  終わったら来いよ」

嬉しい。

ケントさんはフッと笑って、
「めちゃくちゃシッポ振ってるの見える。お前仔犬だなぁ」

「あっえっ?  そんな感じでした?」

「そんな感じ。一生懸命、ご主人様の足元で、シッポ振って見上げてる雰囲気」

「うう……恥ずかしい」

「なんかアナルプラグで、シッポついてるやつあるみたいだな。買ってみるか」

「なっ━━━!!  や、やめて」
な、なに言ってるんだ?!  この人は!!

「色々グッズ買ってさあ、遅れた誕生日祝い、いやらしく奉仕してくれよ」
ケントさんの誕生日、法事が入っててお祝いできなかったのである。

「や、やだッ」

恥ずかしくなり、真っ赤になりながらケントさんの頭にクッションを投げる。

「お、元気になったか?  今からしてもいい?」

「だ、だめです」

「なんでだよ、さっきエロい目つきで誘ってきてだろ」

そう言ってケントさんは毛布をはがし、ズボンと下着を脱がした。

ローションを垂らし、後孔をほぐしていく。

「━━やッ、ケントさん、やめてッ」

「久しぶりだからゆっくり拡げてやるよ」

クチュ、クチュ、

グチュ、グチュ、

1本から2本、徐々に拡げられていく。

「指でこするメスイキ好きだろうけど、今日はオレの入れていい?」

「あっ━━━あっ♡」

「ケントさんの入れてください、て言って」

「あ、やだっ━━━あ゛あ゛ッ」

肉壁をかき回し、果てる寸前まで刺激する。

「ほら、言えよ」

「あ゛━━━ケ、ケントさんのッほしぃ━━━」







ケントさんは、陰茎をゆっくりと後孔にあてがう。

ひと月ぶりのセックスで緊張したが、ケントさんは少しずつ挿入してくれた。


「あっ━━━あっ!!」

緩やかなストロークで、奥を優しく突いていく。グチュグチュといやらしく犯される音がリビングに広がり、快感と同時に羞恥で悶える。

「あッ、あッ、あッ」

「今日は優しくしてやるよ」
と言いつつ、ケントさんは俺をうつ伏せにして、さらに深く突いていった。

「あ゛あ゛━━━っお゛、奥にあたるぅ゛」

「尻だけ上げておねだり上手だなぁ、あまね」

「あ゛っやッ━━」

「退院したばっかで、もうこんなにいやらしく咥えこむんだな、お前は」

「あ゛ぅッ」

「年末年始には、もっとたくさんいやらしいことするよな?」

「や゛だッ」

「嬉しいだろ?アナルがキュンキュンひくついてる。楽しみだなぁ。バイブ買って、雑踏の中散歩して、ギュルギュル動かすのもいいな」

「やっ━━ケントさッ!!」

「それとも公開セックスするか?  みんながいる前で、あまねがかわいくイクのを見てもらうか」

「あ゛あ゛━━━ッ」
俺は、ドクドクと濃い精液を放出した。

「はぁーはぁーッ」

「言葉でイッちゃったな」

「はぁー、はぁー、ケントさんのばかぁー」

くにゃりと倒れ込み、へばっていると、ケントさんはまた仰向けに戻してグニュグニュと突いた。

「あ゛あ゛っ」

「うっ゛」
ケントさんも俺の中で果てたようだった。






「明日からは自制するわ」
と、ケントさんは俺の身体をタオルで優しく拭きながら言った。




これ、嘘です。


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