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叩きのめしてぇ過去(さっきまで)の自分

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「ねぇ、何時もはこんなに長引くほどうるさくないし、煩いのも半端じゃないくらいうるさいよ!やっぱり変だよ!!」
結衣が再びこの煩さに可笑しいと言った。
確かにそうだ。何時もうるさくてもこの教室前を通りすぎるまでの間。つまりほんの一時だけなのである。なのに女子の黄色い声は大きくなるばかり。正直に言おう
「可笑しいとかそれを考える前に、このうるささから早く解放されたい。推しカプネタ考えられないつらいむ。」
そういうと結衣はカヤらしいと笑った。桜の花はちょうど満開でふわりと窓の隙間から入ってくる。
それと同時にまるで乙女ゲーのヒーローの登場シーンのように一人の男子生徒が入ってきた。
結衣は目を見開いた。それもそのはずだ。先程まで騒がれていた三神優という人物が入ってきたからだ。まず彼は今までこの教室に入ってきたことがない、というか基本クラスから動かない。何か用事でもあるのだろうか。
金色の髪に白い肌。アクアマリンのような瞳。お前は2.5次元かという見た目。例えが酷いがこれは精一杯誉めている。いやぁ~桜が似合いますね。コレが私の推し登場シーンと置き換えると…最高かよ。いつのまにか私は自分の世界に逆戻り。空想…いや、妄想してしまっていた。暫く沼に浸っていた私の耳に
「あの…」
という透き通った芯のある声が入ってきた。
結衣の声ではない。首をかしげ結衣の方を見るとぽかんとした顔で横を見ていた。不思議に思って私も横を見て…ん???
透けるような金色の髪に白い肌。アクアマリンの瞳。話しかけてくるような人物ではない人、三神君が横にいたのだ。
「ええっと、何か用事でもあった?先生なら多分職員室にいると思うけど…」
流石に突っ立ってられても困るので、そう声をかけてみるが相変わらずキョロキョロと眼を動かし黙っている。いや、君。周りを見てくれ、女子の黄色い声が煩いし君が近くにいることによって嫉妬深い?女子の睨みが怖いのだが。
そうこうしているうちに、彼は覚悟を決めたかのように唇をきゅっとしめ此方に視線を向けた。
「日比野カヤさん、ずっと、ずっと前から貴女の事が好きでした。」
いや、ちょっと待ってだってねぇ、私貴方と話したこともないし

「実質今日会ったのが初めてでは?」

やっべぇ心の声がもれたんご

辺りは騒然とし、結衣はあちゃ~とでもいいたげに頭をかかえそんな中彼はもう一度口を開いたのだった
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