紫の桜(番外編)

れぐまき

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番外編

可愛い子供たち(姫誕生後)

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「ふぎゃー!!!」
「あらあら、如何したの?」
「おや、すっかりお母様らしくなられましたね」
「ふふ、そうですか?」
「・・・」
「ん?夕霧、どうしたんだい?」
「…なんでもないです」

「「・・・?」」


最近、夕霧様のご様子がおかしい

出産となれない赤ちゃんの世話に掛かりっきりだった私がその事に気が付いたのは、情けないことに紅葉のお兄様に指摘されてからだった

言われてみれば邸に来ると真っ先に抱きついてきていたのも、最近はなくなった
以前ほど頭も撫でていない

どうしてだろう?
嫌われてしまったのだろうか?

不安になってお兄様や帥の宮様に相談してみると、彼らはきょとんとした後、笑って解決策を教えてくださった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


眠った赤ちゃんを乳母に預け、私は夕霧様と二人っきりで部屋にいる
夕霧様はちょこんと座って俯いてしまった

以前なら楽しそうにお絵かきやお話をして遊んでいたのだけど・・・

「夕霧様?今日はお絵描きはなさいませんの?」
「…」

聞いてみたけど反応はない

「夕霧様?
・・・私の事、お嫌いになってしまいましたか?」
「!ち、ちがいます!」

勢いよく帰ってきた否定の言葉にほっと胸をなでおろす

よかった、嫌われてはなかったみたい
でも、それならどうして最近様子がおかしかったのかしら?

首をかしげていると夕霧様はぽつぽつと話し出した

「あの・・・おばあさまがね」
「お祖母さまが?」
「むらさきのうえさまを、赤さまからとっちゃだめ、っておっしゃったから・・・」
「私を?
「…ぼく、むらさきのうえさまが赤さまのおそばばかりにいるの、いやだったんです
それをおばあさまにいったの」
「あら…」
「そしたら、おばあさまがね、ぼくにはおばあさまも、おじいさまも、おじうえもおそばにいるけど、赤さまには、むらさきのうえさましかいないって」
「まぁ…」
「だから、赤さまから、むらさきのうえさまをとっちゃだめですよって…
それに、ぼくは本当は、むらさきのうえさまにもあんまり会っちゃだめなんだって・・・」
「・・・」
「でもね、会えなくなるのはイヤだから、だから、ぎゅってするのは、がまんしようと思ったの・・・」

目をうるうるさせながらそう言う夕霧様
私はそっと彼を抱きしめ、出来るだけ優しく頭を撫でる

「夕霧様、確かに、姫には私しかおりません
でもね?それで夕霧様が我慢される事はないのですよ?」
「でも…」
「いいですか?子供とは、母に甘えて育つもの
私は姫の母ですが、夕霧様の母でもあるつもりです」
「…?むらさきのうえさま、ぼくのお母さまなの?」
「ふふ、私は殿…夕霧様のお父君の妻ですもの」
「・・・?どういうことですか?」
「少し難しいですわね。要するに、夕霧様は私に甘えてくださってかまわないという事ですわ
それで会えなくなってしまうことなどありませんし、私はそうしていただいた方が嬉しいです」
「本当に?」

ぱぁ、と明るくなった夕霧様の表情に笑顔を返す

「はい、ただ、姫はまだ小さくて、一人では何も出来ません
だからどうしても、姫の事を先に考えてしまうこともあります」
「・・・うん」
「でも、それは仕方のないこと
夕霧様は分ってくださいますわよね?姫のお兄様なのですから」
「え?おにいさま?」
「えぇ、夕霧様は姫のお兄様なのですよ?」


にっこり笑ってそう言うと、夕霧様の表情がポカンとしたものから徐々に嬉々としたものに変わっていく

「ぼく、おにいさまなの!?」
「はい、そうですよ
ですから夕霧様、姫の事、可愛がってあげてくださいね?」
「はい!!」


元気よく返事をする夕霧様
私はまた笑って彼を抱きしめた



その日以降、夕霧様は以前のように最初には私に抱きついてくるようになり
そして、姫の事もすごく可愛がってくれるようになった

紅葉のお兄様が如何したのかと問うと、お兄様だからあたりまえだと答えたらしい

とても嬉しい事だが、少し度がすぎているような所もあったりする
将来、親離れ・妹離れできるか心配になったりするけれど・・・


まぁ、今は心配するよりも、この可愛らしい子供達を愛でていようと思います
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