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初期設定のラスト1
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※死ネタです。苦手な方はバックしてください
また
同じことを繰り返してしまった
重い体を起こして庭を眺める
未来を変えたいと強く願った少女時代
殿の正妻となれたとき、その夢が叶うのではないかと希望を持った
私を愛していると殿がおっしゃった時、夢が叶ったと思った
だが、現実はそれほど優しくない
殿が明石へと流れたころから、私たちは前世と何ら変わらない道を歩き始めた
私に子供ができることもなく、明石の君がやってきた
朱雀院の申し入れを断ることを躊躇われた殿は三ノ宮さまを迎え入れ
父との交流を絶ち、しっかりとした後ろ盾のない私は三ノ宮さま御降嫁に伴い正室の座を追われ、同時に病に臥せった
そして今、私は前世で生涯を閉じた年になっている
自分でもわかる体の衰え
もう私は長くはないのだろう
こんな状態でも気にかかるのはやはり愛しい殿のこと
現世での知識として私がいなくなった後の彼を知っている
一時期とはいえ生気をなくし、悲しみに暮れる彼を思うと胸が痛む
「っ…!ごほごほっ・・・ごほっ」
止まらぬ咳に涙ぐむ
呼吸が苦しくなり倒れこんだ
徐々に意識が遠のく
あ、もうだめかも・・・
前世はもう少し楽に死ねた気がするんだけどなぁ・・・
そんなことをぼんやりと考えていると声が聞こえてきた
「上?どこに・・・紫の上!?」
焦ったような彼の声が聞こえ身体が持ち上げらる
うっすらと目を開けると泣き出しそうな表情の愛しい人がいた
「上!!」
「と、・・・の」
「上!気を確かにもちなさい!」
「との、わたっ・・・ごほっごほごほ…」
「もう話さないで、すぐ薬師を・・・」
私を横たえ、薬師を呼ぼうとした彼を力なく引き止める
「上…?」
「との・・・ごめ、なさ」
「なぜ謝る?謝る必要なんてないよ
元気になって一緒にいるのだろう?謝る必要なんてどこにも…」
まくしたてるように話す彼の頬に手を伸ばす
はっと息をのんで行動を止めた彼に
私は力を振り絞って笑みを贈った
正直、彼を恨んだこともあった
私を愛しているといいながら、明石の君に手を付けたことも、あの方の血縁である三ノ宮さまを正室に置いたことも
全部気に入らなかった
それでも、彼を愛する気持ちは消えなくて
嫉妬に駆られて身動きができない
そんな醜い私を、貴方はもう一度抱きしめてくれたから
抱きしめて、愛していると言ってくれたから
貴方の為にもう一度一緒に生きようと決めたのだ
でもそれも無理みたい
私にはもう力が残ってない
だから・・・
「ごめ、なさい、との…」
「上…謝らないでください、頼みますから・・・」
あぁ、こんなにも悲しそうな顔をして…
ごめんなさい
私はまた貴方を置いて行ってしまう
大切な大切な愛しい人
前世も今も私は貴方を愛しております
鉛のように重い腕を持ち上げ彼の頬に触れる
「上…?」
「か、なしま・・・ないで…?
わたくしが、いな、くても…あな、たなら・・・だいじょうぶ」
「嫌だ!貴女がいなければこの世に意味なんて…!!」
「との…おしたい、して…おりました・・・
いまも、むかしも…きっ、と・・・これからも、ずっと、あなただけを・・・」
「上…」
「わた、くしは…あなたにであえて・・・しあわせでした」
どんな形であれ、死ぬ間際まで貴方のお側にいることができたのですから…
ぱたりと、力なく頬に添えていた腕が落ちた
ゆっくりと瞼も閉じていく
「上?紫の上・・・」
悲しまないで
貴方に愛していると言っていただけただけで
私は十分幸せでした
「私も、貴女と出会えて幸せでした・・・
愛していますよ、紫の上」
また
同じことを繰り返してしまった
重い体を起こして庭を眺める
未来を変えたいと強く願った少女時代
殿の正妻となれたとき、その夢が叶うのではないかと希望を持った
私を愛していると殿がおっしゃった時、夢が叶ったと思った
だが、現実はそれほど優しくない
殿が明石へと流れたころから、私たちは前世と何ら変わらない道を歩き始めた
私に子供ができることもなく、明石の君がやってきた
朱雀院の申し入れを断ることを躊躇われた殿は三ノ宮さまを迎え入れ
父との交流を絶ち、しっかりとした後ろ盾のない私は三ノ宮さま御降嫁に伴い正室の座を追われ、同時に病に臥せった
そして今、私は前世で生涯を閉じた年になっている
自分でもわかる体の衰え
もう私は長くはないのだろう
こんな状態でも気にかかるのはやはり愛しい殿のこと
現世での知識として私がいなくなった後の彼を知っている
一時期とはいえ生気をなくし、悲しみに暮れる彼を思うと胸が痛む
「っ…!ごほごほっ・・・ごほっ」
止まらぬ咳に涙ぐむ
呼吸が苦しくなり倒れこんだ
徐々に意識が遠のく
あ、もうだめかも・・・
前世はもう少し楽に死ねた気がするんだけどなぁ・・・
そんなことをぼんやりと考えていると声が聞こえてきた
「上?どこに・・・紫の上!?」
焦ったような彼の声が聞こえ身体が持ち上げらる
うっすらと目を開けると泣き出しそうな表情の愛しい人がいた
「上!!」
「と、・・・の」
「上!気を確かにもちなさい!」
「との、わたっ・・・ごほっごほごほ…」
「もう話さないで、すぐ薬師を・・・」
私を横たえ、薬師を呼ぼうとした彼を力なく引き止める
「上…?」
「との・・・ごめ、なさ」
「なぜ謝る?謝る必要なんてないよ
元気になって一緒にいるのだろう?謝る必要なんてどこにも…」
まくしたてるように話す彼の頬に手を伸ばす
はっと息をのんで行動を止めた彼に
私は力を振り絞って笑みを贈った
正直、彼を恨んだこともあった
私を愛しているといいながら、明石の君に手を付けたことも、あの方の血縁である三ノ宮さまを正室に置いたことも
全部気に入らなかった
それでも、彼を愛する気持ちは消えなくて
嫉妬に駆られて身動きができない
そんな醜い私を、貴方はもう一度抱きしめてくれたから
抱きしめて、愛していると言ってくれたから
貴方の為にもう一度一緒に生きようと決めたのだ
でもそれも無理みたい
私にはもう力が残ってない
だから・・・
「ごめ、なさい、との…」
「上…謝らないでください、頼みますから・・・」
あぁ、こんなにも悲しそうな顔をして…
ごめんなさい
私はまた貴方を置いて行ってしまう
大切な大切な愛しい人
前世も今も私は貴方を愛しております
鉛のように重い腕を持ち上げ彼の頬に触れる
「上…?」
「か、なしま・・・ないで…?
わたくしが、いな、くても…あな、たなら・・・だいじょうぶ」
「嫌だ!貴女がいなければこの世に意味なんて…!!」
「との…おしたい、して…おりました・・・
いまも、むかしも…きっ、と・・・これからも、ずっと、あなただけを・・・」
「上…」
「わた、くしは…あなたにであえて・・・しあわせでした」
どんな形であれ、死ぬ間際まで貴方のお側にいることができたのですから…
ぱたりと、力なく頬に添えていた腕が落ちた
ゆっくりと瞼も閉じていく
「上?紫の上・・・」
悲しまないで
貴方に愛していると言っていただけただけで
私は十分幸せでした
「私も、貴女と出会えて幸せでした・・・
愛していますよ、紫の上」
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