悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき

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恋愛編

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ゆらゆら……
ふわふわ・・・

真っ暗な空間の中
体が浮いている
ここはおそらく、いつか見た夢の世界

辺りを見回すと、やはり一ヶ所だけぼんやりと光っている場所を見つけた
その場所に意識を向けると、やはり前と同じように映像が写し出される

しかしそれは前回見たゲームのものとは違い、女性と小さな少女が映し出されていた
少女はベッドに横になっており、どうやら今から就寝するようで、女性はその横に腰かけて少女の頭を優しく撫でている

……小さい頃の私と、お母様?

認識したと同時に頭の中に声が響く

『セシリー、今日あったことをお母様にお話ししてくれる?』
『はい、お母様
今日はアル様とのお約束の日でしたので、皇宮にお邪魔して参りました』
『そう、楽しかったかしら?』
『はい、とても
後、今日はアル様からそれをいただきましたの』

少女の指差した場所には一輪の薔薇が活けられた花瓶

『あら、皇太子殿下にお花をいただいたのね』
『はい、あの、お母様
アル様になにかお礼を差し上げたいのですが…何がいいでしょうか?』
『そうねぇ…
ハンカチに刺繍をしてプレゼントしてみるのはどう?』

女性の提案に少女の表情がわずかに曇る

『ししゅう…ですか
…アル様、喜んでくださるでしょうか?』
『えぇ、心を込めて作ればきっと喜んでくださるわ』
『……お母様、教えてくださいますか?』
『えぇ、勿論いいわよ』
『……なら、頑張ります』
『ふふ…いい子ね
苦手な刺繍も頑張るなんて、セシリーは皇太子殿下のことがとても大事なのね』
『もちろん!私、アル様のこと大好きですもの』

その会話を最後に映像がふっと遠退いていった
私はそれを目で追いながら、ぼんやりと考える

……そう言えば、小さい時に殿下にお花をいただいたことがあったわ
そのお礼に刺繍入りのハンカチをプレゼントしたのよね…その時の殿下の反応は…

思い出そうとすると、再び光が近づいてきて映像が写し出される
今度は先程の少女と、少女よりも少し年上の少年がお茶をしているところだった

あれは…殿下と私だわ

懐かしく思いながらその様子を眺めていると、また声が響きだす

『あの、アル様…』
『どうしたの?』
『あの…もしよければ、これを…』

おずおずと差し出された包みに少年が首をかしげる

『僕に?』
『はい…』
『ありがとう、あけてもいい?』
『どうぞ…』

少女の了承を得て少年が包みを開く
出てきたのは少し不格好な刺繍の施されたハンカチだった

『あ、あの…
この間いただいたお花がとても嬉しくて、私もなにかアル様に贈りたかったんです
でも、あまり上手くできなくて…
それでも一番上手にできたものなんですけれど……』

おどおどと言葉を紡ぐ少女
少年は目を丸くしてハンカチを見つめ、ポツリと呟いた

『セシルが刺繍してくれたの…?』
『は、はい…』

少女の返事を聞いた少年は、ほんのりと頬を赤らめ、満面の笑みを浮かべた

『とても嬉しいよ、ありがとう!』
『!』

その少年の笑顔に、今の殿下の顔が重なった

「!」

ぱっと目を開く

とくとくと高鳴る胸とほんのりと熱をもった頬
私はそっと胸に手を当てた
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