悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき

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恋愛編

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「セシル、レオナルド」

名を呼ばれ、ピクリと肩が跳ねる
そんな私の反応をよそに、一緒に歩いていたレオナルド様が振り返って声の主にむかって軽く手をあげた

「やぁ、アルベルトじゃないか
元気だったかい?」
「あぁ、お前も元気そうだな
…二人も今ついたところか?」
「うん、そうだよ
さっきたまたまそこで会ったんだ」
「そうか」

レオナルド様の説明に殿下が納得したように頷く

「君も今ついたの?いつも数日前には戻ってきてるのにめずらしいね」
「今回は少し執務がおしてな
一応終らせてはきたが…」

私は会話をするお二人の邪魔にならないように一歩引いて頭を下げつつ、そっと殿下を盗み見た

…なにかしら?気持ちを自覚したせい…?
なんだか殿下がレオナルド様並みにキラキラして見えるわ…

天色のさらさらの髪も意思の強そうな瞳も
冷たく見える整った容姿も、低く落ち着いた声すらも…
全てがどことなく輝いている気がする

戸惑ったまましばらく殿下を見つめていると、視線に気がついた彼が此方を向いて微笑んだ

「セシルも、離宮に行って以来だな
あれから疲れはでてないか?」
「ぁ…は、はい
お気遣いありがとうございます」

いきなり声をかけられたことと、あまり慣れていない笑顔を向けられ、一瞬たじろぐ
なんとか笑みを浮かべて答えれば、殿下は安堵したような表情でそうかと呟いた

その表情に胸の奥がきゅんと疼く

…!
だ、だめだわ
私ったら浮かれすぎよ…!
殿下がかっこよく見えるどころか、可愛いとまで思うなんて…
いや、お顔は元々整ってらっしゃるんだけど、そうじゃなくて…
こう…雰囲気というか…

頭のなかでぐるぐるとそんなことを考えているうちにも、レオナルド様と殿下の会話は続く

「荷物置いたらランチを一緒にしないかってセシリア嬢を誘ってたんだ
アルベルトもどうだい?」
「あぁ…もうそんな時間だったか
そうだな一緒させてもらおう」
「うん。是非
…セシリア嬢もいいかい?」

声をかけられてパッと顔をあげる

視界に映るのはいつも通りキラキラ笑顔のレオナルド様と、いつもよりも何故だかキラキラしている殿下

「…申し訳ございません。お誘いは嬉しいのですが、戻り次第研究室に顔を出すように教授から言い遣っているのを今思い出しました
用事が終るのがいつになるかわかりませんので、お待たせするわけにも参りません
…残念ですけれど、今回は遠慮させていただきますわ」

一息に言いきって、ポカンとしている二人にむかって頭を下げる

「申し訳ございません、少々急ぎますのでお先に失礼いたします」

挨拶をして預けていた荷物を受け取り、足早にその場を後にした

とにかく一度落ち着かなくては…
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