2 / 34
2
本日分の依頼を終え、パーティーメンバー全員で街へ帰還中。
リーダーであるラルドと最年長のジークが前を、その少し後ろを戦士のガイアと僧侶のセド、そして私が雑談しながら歩く。何時もの並びだ。
「それでね~、そこの店の煮込み料理がサイッコーに美味しくて~…」
にこにこと笑顔で話し続けるセドに相槌を打ちながら、前を歩く2人を何とは無しに眺める。
騎士らしく逞しい体躯のラルドと並ぶと、弓使いであるジークはその長身もあいまってずいぶん細身に見える。
それでもあの大きな弓を難なく扱えるのだからそれなりに力はあるのだろうが…見た目ではかなりヒョロい。
そんな事を考えていると、不意にガイアが声をかけてきた。
「なぁアリア、これこれ」
「ん…?」
顔を向ければ目の前にぬっと突き出された大きな手。
そしてその手に掴まれているのは、小さな緑色の…
「ひぃっ…!ぎゃぁぁああ!!」
理解した瞬間、私は悲鳴を上げて目の前の背中に飛びついた。
「!!、えぇっ!なになに!?」
「魔物か?」
突然の事に驚きながらも飛びつかれたジークが抱きしめるようにして庇ってくれる。
それを更に庇うようにラルドが一歩前に出た気配がした。
そしてそれと相反するように、ガイアの笑い声が響く。
「ははっ、す、すまん。そんなに驚くとは…」
笑いながらガイアが摘んでいた芋虫をぽーんと遠くに放る。それを見て現状を把握した2人が警戒を解いて苦笑をこぼした。
「ガイア…アリアが虫嫌いなの知ってるだろ。からかうな」
「くくく、す、すんません」
ラルドがガイアを窘めてくれているが、アイツは性懲りもなく笑っている。
あのヤロウ…覚えてろ…
軽く殺意を覚えながらも、とりあえず恐怖と驚きでバクバクと高鳴る心臓を宥めようと、目の前の温もりにぐりぐりと頭を擦り付けた。
「え、えーっと…アリア…?もうダイジョーブだよ?」
頭上からかけられる戸惑った声音を無視してさらに頭を擦り付け、目一杯息を吸い込む。
ふわりと香る爽やかだけど甘い香りに少し心が落ち着いた。
…さっきのヒョロいは訂正しよう。私が全力で飛びついてもぐらつきもしなかった。手を回した感じも、しっかり筋肉がついている。
「アリア…?」
再び名前を呼ばれて見上げてみれば、戸惑って揺れる濃紺の瞳。
「…」
「…怖かったね?もうダイジョーブ。」
じっと見つめれば、戸惑ったようにうろうろと視線を彷徨わせ、へにょりと眉を下げてぽんぽんと宥めるように頭を叩かれた。
交わった濃紺の瞳は、慈しむように優しくて…
ぶわりと顔に熱が集まる。ついこの間もこんな事があった。
ばっと音がするほどの勢いで距離を取り、気を紛らわすようにガイアに向けて水球を飛ばした。
「うおっ!?アリア!いきなり何すんだ!?」
「…チッ」
「舌打ち!?やめろよ!当たったら痛いじゃねーか!」
無言で次々と水球を作っては飛ばしていく。
当たらないように自分の横に避難してきたであろうセドとラルドが自業自得だと笑っている。
何時もの光景、何時ものやり取り。
違うのはドクドクと高鳴る私の心臓だけ。
魔力を練るのは止めず、ちらりと横目でジークを伺う。
「っ!」
再び交わった濃紺はやっぱりとても優しい色をしていた。
ただでさえ熱かった頬がさらに熱を帯びる。
…あ、これ、やばいかもしれない。
自分の変化から目をそらすように、ガイアへの猛攻をさらに強めた。
リーダーであるラルドと最年長のジークが前を、その少し後ろを戦士のガイアと僧侶のセド、そして私が雑談しながら歩く。何時もの並びだ。
「それでね~、そこの店の煮込み料理がサイッコーに美味しくて~…」
にこにこと笑顔で話し続けるセドに相槌を打ちながら、前を歩く2人を何とは無しに眺める。
騎士らしく逞しい体躯のラルドと並ぶと、弓使いであるジークはその長身もあいまってずいぶん細身に見える。
それでもあの大きな弓を難なく扱えるのだからそれなりに力はあるのだろうが…見た目ではかなりヒョロい。
そんな事を考えていると、不意にガイアが声をかけてきた。
「なぁアリア、これこれ」
「ん…?」
顔を向ければ目の前にぬっと突き出された大きな手。
そしてその手に掴まれているのは、小さな緑色の…
「ひぃっ…!ぎゃぁぁああ!!」
理解した瞬間、私は悲鳴を上げて目の前の背中に飛びついた。
「!!、えぇっ!なになに!?」
「魔物か?」
突然の事に驚きながらも飛びつかれたジークが抱きしめるようにして庇ってくれる。
それを更に庇うようにラルドが一歩前に出た気配がした。
そしてそれと相反するように、ガイアの笑い声が響く。
「ははっ、す、すまん。そんなに驚くとは…」
笑いながらガイアが摘んでいた芋虫をぽーんと遠くに放る。それを見て現状を把握した2人が警戒を解いて苦笑をこぼした。
「ガイア…アリアが虫嫌いなの知ってるだろ。からかうな」
「くくく、す、すんません」
ラルドがガイアを窘めてくれているが、アイツは性懲りもなく笑っている。
あのヤロウ…覚えてろ…
軽く殺意を覚えながらも、とりあえず恐怖と驚きでバクバクと高鳴る心臓を宥めようと、目の前の温もりにぐりぐりと頭を擦り付けた。
「え、えーっと…アリア…?もうダイジョーブだよ?」
頭上からかけられる戸惑った声音を無視してさらに頭を擦り付け、目一杯息を吸い込む。
ふわりと香る爽やかだけど甘い香りに少し心が落ち着いた。
…さっきのヒョロいは訂正しよう。私が全力で飛びついてもぐらつきもしなかった。手を回した感じも、しっかり筋肉がついている。
「アリア…?」
再び名前を呼ばれて見上げてみれば、戸惑って揺れる濃紺の瞳。
「…」
「…怖かったね?もうダイジョーブ。」
じっと見つめれば、戸惑ったようにうろうろと視線を彷徨わせ、へにょりと眉を下げてぽんぽんと宥めるように頭を叩かれた。
交わった濃紺の瞳は、慈しむように優しくて…
ぶわりと顔に熱が集まる。ついこの間もこんな事があった。
ばっと音がするほどの勢いで距離を取り、気を紛らわすようにガイアに向けて水球を飛ばした。
「うおっ!?アリア!いきなり何すんだ!?」
「…チッ」
「舌打ち!?やめろよ!当たったら痛いじゃねーか!」
無言で次々と水球を作っては飛ばしていく。
当たらないように自分の横に避難してきたであろうセドとラルドが自業自得だと笑っている。
何時もの光景、何時ものやり取り。
違うのはドクドクと高鳴る私の心臓だけ。
魔力を練るのは止めず、ちらりと横目でジークを伺う。
「っ!」
再び交わった濃紺はやっぱりとても優しい色をしていた。
ただでさえ熱かった頬がさらに熱を帯びる。
…あ、これ、やばいかもしれない。
自分の変化から目をそらすように、ガイアへの猛攻をさらに強めた。
あなたにおすすめの小説
グリモワールの塔の公爵様【18歳Ver】
屋月 トム伽
恋愛
18歳になり、結婚が近いと思われたプリムローズは、久しぶりに王都の邸にいる婚約者に会いに行っていた。
だけど、義姉クレアと婚約者ジャンのベッドインを目撃してしまい、婚約破棄されてしまったプリムローズ。
プレスコット伯爵家から追い出すための名目で、金持ちの子爵様に売られるも同然の後妻に入ることになったプリムローズ。
そんなある日、夜会で出会ったクライド・レイヴンクロフト次期公爵様から結婚をもうしこまれる。
しかし、クライドにはすでに親の決めた婚約者がおり、第2夫人でいいなら……と、言われる。
後妻に入るよりは、第2夫人のほうがマシかもとか思っていると、約束だ、と頬にキスをされた。
「必ず迎え入れる」と約束をしたのだ。
でも、クライドとのデートの日にプリムローズは来なかった。
約束をすっぽかされたと思ったクライドは、その日から一向にプリムローズと会うことはなかった。
時折出す手紙のやり取り。プリムローズがどうしたいのかわからないクライドは困惑していた。
そして、プレスコット家での現状を知り、クライドはプリムローズをプレスコット伯爵邸から連れ出し、グリモワールの塔に連れて行き……。
最初は、形だけの結婚のつもりかと思っていたのに、公爵様はひどく甘く、独占欲の固まりだった。
※以前投稿してました作品を【18歳Ver】に書き直したものです。
辺境伯と幼妻の秘め事
睡眠不足
恋愛
父に虐げられていた23歳下のジュリアを守るため、形だけ娶った辺境伯のニコラス。それから5年近くが経過し、ジュリアは美しい女性に成長した。そんなある日、ニコラスはジュリアから本当の妻にしてほしいと迫られる。
途中まで書いていた話のストックが無くなったので、本来書きたかったヒロインが成長した後の話であるこちらを上げさせてもらいます。
*元の話を読まなくても全く問題ありません。
*15歳で成人となる世界です。
*異世界な上にヒーローは人外の血を引いています。
*なかなか本番にいきません
冷酷な王の過剰な純愛
魚谷
恋愛
ハイメイン王国の若き王、ジクムントを想いつつも、
離れた場所で生活をしている貴族の令嬢・マリア。
マリアはかつてジクムントの王子時代に仕えていたのだった。
そこへ王都から使者がやってくる。
使者はマリアに、再びジクムントの傍に仕えて欲しいと告げる。
王であるジクムントの心を癒やすことができるのはマリアしかいないのだと。
マリアは周囲からの薦めもあって、王都へ旅立つ。
・エブリスタでも掲載中です
・18禁シーンについては「※」をつけます
・作家になろう、エブリスタで連載しております
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~
4月2日コミカライズ配信♡二階堂まや
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。
彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。
そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。
幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。
そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?
私の意地悪な旦那様
柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。
――《嗜虐趣味》って、なんですの?
※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話
※ムーンライトノベルズからの転載です
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?