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開花
幕間
紫の君が邸を出て行った
あの日、父宮から文が来たと告げた時の彼女が頭から離れない
凛とした、すべてを見通しているような、意志の強い表情を浮かべていた
幼いばかりだった姫君は何時の間にやら立派な貴婦人になっていたらしい
ひたすらに私を慕ってくれていた小さな姫君
それが、何時の日からか何か思い悩んでいるようなそぶりがみえてきて
誰かに声をかけられると何もないといつものように微笑んではいたが、沈んでいるのは明らかで…
原因を突き止める前に、葵のことで半年程会うことがなく、再びあった時にはもうずいぶんと大人びていてた
何が原因だったのだろう?
まさか恋をしていたのか
彼女が読んでいた恋文が一瞬浮かぶがこれはない
女房に問い詰めてみたが紫の君が恋文に返事を返すことはほぼなかったらしい
どちらかというと物語を読むような気持ちだったのではないかと言っていた
だったら何が?
ぐるぐると回る疑問の言葉を取りあえず頭の隅に追いやる
今考えるべきはこれからどうするか、だ
北の方である葵が亡くなり、喪も明けた今
私の元には数々の縁談が舞い込んでいる
桃園式部卿の姫君に右大臣の六の君
だが、どうしても彼女達を妻に迎える気にはなれない
私が妻に望むのは…
そこで聞こえてきた声にふと思考が途切れた
「ぜひ姫君を私めに」
「いえ、それがしに」
「そうですなぁ…」
あれは、兵部卿の宮・・・?
「今まで行方不明になられていらっしゃったとか、さぞお辛い思いをされたことでしょう
私がお慰めできれば、と思っております」
「大層美しい姫君と伺いました
御簾ごしに対面だけでも」
!
紫の君の事を言っているのか?
これは色々と考えている時間は無さそうだ…
「兵部卿の宮様」
「ん?おや、源氏の君
どうなされました?」
「実はお話しなければならないことが…」
あの日、父宮から文が来たと告げた時の彼女が頭から離れない
凛とした、すべてを見通しているような、意志の強い表情を浮かべていた
幼いばかりだった姫君は何時の間にやら立派な貴婦人になっていたらしい
ひたすらに私を慕ってくれていた小さな姫君
それが、何時の日からか何か思い悩んでいるようなそぶりがみえてきて
誰かに声をかけられると何もないといつものように微笑んではいたが、沈んでいるのは明らかで…
原因を突き止める前に、葵のことで半年程会うことがなく、再びあった時にはもうずいぶんと大人びていてた
何が原因だったのだろう?
まさか恋をしていたのか
彼女が読んでいた恋文が一瞬浮かぶがこれはない
女房に問い詰めてみたが紫の君が恋文に返事を返すことはほぼなかったらしい
どちらかというと物語を読むような気持ちだったのではないかと言っていた
だったら何が?
ぐるぐると回る疑問の言葉を取りあえず頭の隅に追いやる
今考えるべきはこれからどうするか、だ
北の方である葵が亡くなり、喪も明けた今
私の元には数々の縁談が舞い込んでいる
桃園式部卿の姫君に右大臣の六の君
だが、どうしても彼女達を妻に迎える気にはなれない
私が妻に望むのは…
そこで聞こえてきた声にふと思考が途切れた
「ぜひ姫君を私めに」
「いえ、それがしに」
「そうですなぁ…」
あれは、兵部卿の宮・・・?
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私がお慰めできれば、と思っております」
「大層美しい姫君と伺いました
御簾ごしに対面だけでも」
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