29 / 69
三分咲き
7
「えっ…と?どうなされたのですか?いきなり…」
「別に意味はありませんよ?少し貴女に会いたくなっただけです
貴女が奥方になるまではよく遊びに来ていたでしょう?」
「はぁ…」
向かいでにこにこと笑う紅葉のお兄様に、私は困惑するばかり
何でここにいるの?
「えっと…今日は殿が宴を開かれると伺いましたが…?
こちらにいらしてよろしいのですか?」
「いいんですよ」
「え、でも…「あぁ、そう言えば」…如何なされました?」
いつもと違い、少し強引に話を進める彼に間を空けて言葉を返す
こういう時のこの方は何かたくらんでることが多い
今日は何かしら?
「最近体調が優れないそうですね、ご機嫌は如何ですか?」
かけられた言葉にピンと来た
なるほど、今日ここに来たのは殿の差し金ね?
「ご心配をおかけしてしまいましたか?
今日は気分がいいので大丈夫ですわ」
「それはよかった
源氏の君も心配していましたよ、最近はまともに会うことも出来ないと…」
探るように言葉を選ぶ紅葉のお兄様
私はしばらく黙ってからため息をついた
「紅葉のお兄様ったら…はっきり言ってくださればいいのに“どうして源氏の君と会うのを拒むのか”って」
「おや、そんなつもりは無かったのですがね
……で?何故です?」
否定したにもかかわらず聞いてくる彼に苦笑する
「紅葉のお兄様には分りませんわ
女のつまらぬ嫉妬ですもの」
「おや、誰よりも愛されているのに嫉妬ですか?」
「ふふ、女とは“沢山の中の一番”ではなく“たった一人”になりたいものですのよ」
「と、言うと?」
「つまりは私は殿が他の女性と関係していることがつまらない…
それだけならよかったのですがねぇ…」
ふぅ、と息をついて目を伏せると彼は不思議そうに私を見つめてきた
「それだけではないと?」
「えぇ、頭では唯の我侭だという事くらい理解しております
そう、頭では分っているのですがね・・・」
「頭では、ですか?」
「気持ちが付いていかないんです
殿が他の女性に触れた手で私に触れると思うとどうしようもなくなるの
頭もお腹も痛むし気分が悪くなる
このままではいけないと分ってはいるのですよ?
でもどうしても殿に触れられないの」
こんなこと、殿に直接はいえない
そんなことすれば人一倍拒絶されることが苦手な彼は壊れてしまうから
愚痴を言うかのごとく、思っていることを吐き出せば、紅葉のお兄様はしばらく何か考えてから大きく頷いた
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。