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五分咲き
7
「だーぅ!」
「おやおや、元気がいいね」
部屋に入り、姫を抱き上げて楽しそうに笑う殿を微笑ましく眺める
「殿」
「ん?」
「姫の名は、もうお決めになられましたか?」
「あぁ、そうだ
まだ教えていなかったね」
にっこり笑いながらこちらに歩み寄る殿から姫を預かる
「えぇ
教えてくださいな」
「この子の事は“明石の姫君”と呼ぼうと思うんだ」
「・・・え?」
さらりと落とされた爆弾発言に身体が硬直する
殿は私の様子に気づかず言葉を続けた
「私があちらにいる時に、この姫は生まれただろう?
須磨でもよかったのだけど、あそこは本当に何もない寂しい所だから・・・
それに比べて明石はいい所だったからね」
殿の言葉は私の耳をすり抜けていく
変わりに私の頭を占めるのは“明石の姫君”という呼び名
如何いう事?
明石の君のお子様だから、ちい姫は明石の姫君と呼ばれていた
その呼び名が、私の娘の呼び名に…?
じゃぁ、明石の君のお子様は?
もしかして、明石の君にお子は出来なかったの?
私が姫を身ごもったから?
殿のお帰りが早くなってしまったから?
私が、お話を変えてしまったから・・・?
ぐるぐると頭の中で渦巻く疑問に目眩を起こし、身体がふらついた
殿が慌てて支えてくださる
「上?大丈夫かい?顔色が悪いが・・・」
「…えぇ」
思い切って聞いてしまおうか?
明石の君にお子が出来たかどうかを・・・
「・・・との」
「ん?」
「あ、の…」
「どうしたんだい?」
「明石で、出会った方・・・は?」
「え…?」
心配そうに歪められていた表情が、不思議そうなものに変化する
「いつぞやの、文で書いていらっしゃったでしょう?
明石で思いがけない夢を見たと
その方のお子様こそ、“明石の姫君”とお呼びするのに相応しいのでは?」
問い詰めるような語調になってしまったが殿は気にした素振りはなく、笑って口を開いた
「何を言い出すかと思えば…
確かにそうかもしれませんが、彼女にお子はおりませんし、問題はないでしょう?
彼女は今の所京に来る気はないと仰っていますから、子を授かることもないでしょうからね」
「・・・・・・そう、です、か…」
物語が変わっていく・・・
私に都合のいいほうへ・・・
「おやおや、元気がいいね」
部屋に入り、姫を抱き上げて楽しそうに笑う殿を微笑ましく眺める
「殿」
「ん?」
「姫の名は、もうお決めになられましたか?」
「あぁ、そうだ
まだ教えていなかったね」
にっこり笑いながらこちらに歩み寄る殿から姫を預かる
「えぇ
教えてくださいな」
「この子の事は“明石の姫君”と呼ぼうと思うんだ」
「・・・え?」
さらりと落とされた爆弾発言に身体が硬直する
殿は私の様子に気づかず言葉を続けた
「私があちらにいる時に、この姫は生まれただろう?
須磨でもよかったのだけど、あそこは本当に何もない寂しい所だから・・・
それに比べて明石はいい所だったからね」
殿の言葉は私の耳をすり抜けていく
変わりに私の頭を占めるのは“明石の姫君”という呼び名
如何いう事?
明石の君のお子様だから、ちい姫は明石の姫君と呼ばれていた
その呼び名が、私の娘の呼び名に…?
じゃぁ、明石の君のお子様は?
もしかして、明石の君にお子は出来なかったの?
私が姫を身ごもったから?
殿のお帰りが早くなってしまったから?
私が、お話を変えてしまったから・・・?
ぐるぐると頭の中で渦巻く疑問に目眩を起こし、身体がふらついた
殿が慌てて支えてくださる
「上?大丈夫かい?顔色が悪いが・・・」
「…えぇ」
思い切って聞いてしまおうか?
明石の君にお子が出来たかどうかを・・・
「・・・との」
「ん?」
「あ、の…」
「どうしたんだい?」
「明石で、出会った方・・・は?」
「え…?」
心配そうに歪められていた表情が、不思議そうなものに変化する
「いつぞやの、文で書いていらっしゃったでしょう?
明石で思いがけない夢を見たと
その方のお子様こそ、“明石の姫君”とお呼びするのに相応しいのでは?」
問い詰めるような語調になってしまったが殿は気にした素振りはなく、笑って口を開いた
「何を言い出すかと思えば…
確かにそうかもしれませんが、彼女にお子はおりませんし、問題はないでしょう?
彼女は今の所京に来る気はないと仰っていますから、子を授かることもないでしょうからね」
「・・・・・・そう、です、か…」
物語が変わっていく・・・
私に都合のいいほうへ・・・
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